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【市況】明日の株式相場に向けて=16日危機説の逆目は出るか

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 週明け14日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比145円高の2万5307円と反発。前週は週後半(10日)に970円あまりの急騰で買い方が一矢報いた感もあったが、週末はメジャーSQ通過後に再び下値模索の動きが鮮明となり、日経平均は500円を超える下げとなっていた。贔屓(ひいき)目に見ても大勢トレンドは下落相場の色が濃い。

 きょう全体相場が大きく下値模索の展開となって2万5000円台を割り込んだ場合、いつの間にか2万5000円ラインを挟んでの往来が主戦場となった感は拭えなくなる。10日の急騰は絶好の戻り売りチャンスだったと現時点では言い切れないが、そう後悔するような展開となっては、マーケット心理は一段と冷え込んでしまう。その意味でもきょうプラス圏で引けたことは意味があり、市場センチメントの悪化に歯止めをかけた。

 ウクライナ情勢が依然として不透明ななか、前週末の米国株市場の引け味が悪かったこともあって、きょうは2万5000円台割れもやむなしというムードがあった。それを覆して、一時日経平均は470円近い上昇で2万5600円台まで駆け上がった。ただ、いかんせん上値も重い。終盤の失速は戻り売り圧力の強さを物語った。米株価指数先物の上昇は東京市場にポジティブに作用したものの、中国や香港、韓国などアジアの主要株市場をみれば総じて軟調であり、特に香港ハンセン株指数の下げが目立つ状況にあった。

 香港での新型コロナウイルスの感染者数は高止まりしている状況だが、中国本土でも新型コロナ感染者数増加が顕著となっており、これが株式市場にも影を落としている。深センではきょうから20日までの予定でロックダウンが行われる見通しだが、世界の生産工場である深センがフリーズすることにより、グローバルベースでも企業業績に影響が及ぶ可能性が出てきた。市場関係者によると「iPhone生産などへの影響を先読みして一部投資家がアップル<AAPL>株を空売りする動きもみられる」(ネット証券マーケットアナリスト)と指摘する声も出ていた。

 東京市場では円安が急速に進み、あれよという間に1ドル=117円台後半まで円安が進んだ。輸出企業にとって恵みの雨といいたいところだが、コモディティ価格の高騰が懸念される現状は、円安により輸入コストの上昇に輪をかけることで、歓迎される材料ではない。全体相場は依然として先行き不透明感が強く、「待つ」ことが基本戦略。今週16日はFOMCの結果発表とパウエルFRB議長の記者会見が予定されるほか、ロシアのソブリン債の利払い開始日、更にややオカルト的な話ではインド占星術(アナンド予言)絡みの危機説も、この日に重なっている。ただ、今の相場環境だと逆に売り方の方が怖いかもしれない。

 キャッシュポジションに余裕を持たせて、小口での参戦であれば個別株の短期売買に活路を見出すやり方はある。きょうの東京市場は“GoTo期待”で旅行関連やレジャー関連などに買いが入った。カラオケ関連の鉄人化計画<2404>、コシダカホールディングス<2157>などが大きく買われたが、これに持続性が伴うかは別として、傷んだ相場でも株心が失われていないことを意味している。また、こういう地合いだからこそ、原点に立ち返って電気自動車(EV)5G といった色褪せない花形テーマの周辺で好業績銘柄に照準を合わせてみるのは有効かもしれない。5G関連では山王<3441>が上方修正を発表したが、この流れにあやかった5G関連の底値買い妙味株としては、大泉製作所<6618>や双信電機<6938>などがある。

 また、太陽光発電関連ではウエストホールディングス<1407>が2月以降、全体相場とは波動の異なる強い足を示しているが、直近はAbalance<3856>なども激しく動意づいている。テスホールディングス<5074>などは相対的に出遅れ感があり、信用買い残もそれほど重荷にならない水準でマークしておく価値はありそうだ。

 あすのスケジュールでは、国内では特に目立ったイベントはないものの、海外では重要経済指標が目白押しとなる。1~2月の中国工業生産、1~2月の中国小売売上高、1~2月の中国固定資産投資、1~2月の中国不動産開発、3月のZEW独景気予測指数、3月のNY連銀製造業景気指数、2月の米卸売物価指数、1月の対米証券投資など。なお、FOMCが16日までの日程で行われる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年03月14日 17時12分

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