【市況】米国株式市場見通し:FOMCに注目
FRBは15-16日の2日間、FOMCの開催を予定しており、注目だ。ウクライナ情勢の行方にも依然不透明感が強く、警戒感が先行し引き続き買い難い相場環境になりそうだ。停戦交渉を進める傍ら、ロシアは攻撃の手を緩めておらず、全要求が満たされるまで停戦に応じる意向はないと強気だ。政府はロシアが科学兵器使用も辞さない可能性を警告しており、事態が一段と悪化する可能性も含め、地政学的リスクは依然高い。最悪のシナリオは織り込まれていないため警戒だ。
加えて、金融を含め、ロシアでのビジネス撤退や営業の一時停止を決定する企業の動きも拡大しつつあり、制裁を含めた影響ははかり知れない。他国に比べて、ロシアのエクスポージャーが少なく経済への影響は限定的と見られているものの、アルミやリチウムなど電気自動車、半導体などの製造にかかせない原材料の供給がひっ迫、生産にも影響を与えるだろう。貴金属や燃料価格の上昇はインフレ高進をさらに加速させることにも警戒だ。
ウクライナ戦争による影響には多大な不透明感があるとしながらも、FRBのパウエル議長はすでに、3月会合で0.25ptの利上げを支持する方針を議会証言で明らかにしている。実施されると、2018年以降初めての利上げとなり、利上げサイクルの開始となる。
株式相場はFRBの利上げをほぼ織り込んでいると見られるが、今後の焦点は利上げのペースやバランスシート縮小開始のタイミング及びペースで、パウエル議長の会見や、メンバーの予測に注目したい。ウクライナ戦争は商品価格の上昇に繋がりインフレの著しい上方リスクになり得るため相場の売り材料になる。一方で、欧州市場からの資金の流入や新型コロナ規制の撤廃にともなう経済の正常化を見込んだ買いが下値を支えそうだ。
経済指標では、2月生産者物価指数(PPI)、3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、1月対米証券投資(15日)、2月小売売上高、2月輸入物価指数、1月企業在庫(16日)、2月住宅着工件数・建設許可件数、3月フィラデルフィア連銀景況、週次新規失業保険申請件数、2月鉱工業生産・設備稼働率(17日)、2月中古住宅販売件数(18日)などが予定されている。PPIは前月から伸びがさらに拡大し、過去最大を記録する見通し。ウクライナ戦争後、エネルギー価格が急騰しているため、今後さらに上昇することになるだろう。
主要企業決算では、住宅建設会社のレナー、台所用品小売りのウィリアムズ・ソノマ(16日)、ディスカウント小売りのダラー・ゼネラル、運送会社のフェデックス、ゲーム販売のゲームストップ、眼鏡販売のウォービーパーカー(17日)などが予定されている。
ウィリアムズ・ソノマはコスト上昇の中でも強い需要に支えられて前年比で伸びの拡大が期待される。また、ダラー・ゼネラルは前年から減益予想も、過去2年間、予想を覆す傾向がありポジテイブサプライズにも期待できそうだ。ほか、世界マクロのベンチマークとなるフェデックスの決算にも注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ