【通貨】為替週間見通し:底堅い値動きか、米金融正常化の思惑でドル買い継続も
米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより
【今週の概況】
■米利上げ期待で安全逃避のドル買い強まる
今週のドル・円は上昇。ロシアとウクライナとロシアは停戦に向けた協議を行ったが、ウクライナ情勢を巡る懸念は払しょくされていないため、安全逃避的なドル買いが広がった。3月15-16日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利の引き上げが確実視されており、米長期金利が反発したこともドル買いにつながったようだ。
11日のニューヨーク外為市場でドル・円は一時117円36銭まで上昇した。米国の利上げを織り込むドル買いが継続した。後で否定されたが、ロシアのプーチン大統領が「停戦交渉である程度の前向きな動きがあった」と述べたことも材料視された。ドル・円は117円28銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:114円78銭-117円36銭。
【来週の見通し】
■底堅い値動きか、米金融正常化の思惑でドル買い継続も
来週のドル・円は底堅い値動きか。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融正常化に向けた利上げ再開が織り込まれ、ドル買いを引き付ける展開となりそうだ。また、ウクライナ情勢の混迷が続き、安全逃避のドル買いも継続するとみられる。
今週発表された2月米消費者物価コア指数(CPI)は1月実績を上回り、インフレ高進が鮮明となった。ただ、いずれも市場予想と一致したことから、FRBによる過度な引き締め期待を弱めたようだ。来週15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.25ポイントの利上げが予想されるが、足元では資源相場が急騰しており、インフレ抑制の目的で金融引き締めの姿勢が提示された場合、金利高・ドル高の要因となりそうだ。
一方、ロシアとウクライナの停戦交渉は合意への道のりが険しく、トルコを交えた3カ国外相会談も不調に終わった。ロシアのプーチン大統領は「停戦交渉である程度の前向きな動きがあった」と述べたが、ロシアはウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟を取り下げるまで攻撃を続ける可能性があるため、安全逃避のドル買いがただちに縮小する可能性は低いとみられる。
なお、欧州中央銀行(ECB)理事会は資産買入れ規模の縮小を決め、改めて緩和政策からの転換を示した。ただ、ECB内には早急な金融引き締めに慎重な意見も根強く、ユーロ売り・米ドル買いがすみやかに縮小する可能性は低いとみられる。ウクライナ問題をうけたエネルギー供給不安もユーロ売りの要因となり、ドルの上昇を支援しよう。
【米連邦公開市場委員会(FOMC)】(3月16日結果判明)
FRBは3月15-16日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利の引き上げに踏み切る。引き締めの規模やペースが注目され、市場観測を上回る内容なら金利高・ドル高の要因となる。
【米・2月小売売上高】(16日発表予定)
16日発表の2月小売売上高は前月比+0.4%と、1月の+3.8%から伸びが大幅に鈍化しそうだ。ただ、個人消費は好調を持続しているとみられ、株高・円安要因となろう。
予想レンジ:116円00銭-118円50銭
《FA》
提供:フィスコ