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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「彼岸底シナリオは実現するか?」

株式評論家 富田隆弥

◆3月10日の日本株市場は全面高となり、日経平均株価は前日比でおよそ1000円の大幅高になった。インフレ警戒や米国の利上げ懸念、そしてウクライナ・ショックと年初から厳しい地合いを強いられてきただけに、久しぶりにスカッとする上昇ぶりだった。だが、この急騰で日本株が底入れしたとはまだ言えない。

◆急騰の要因は、9日のNYダウが前日比653ドル(+2%)上げたことに加え、石油輸出国機構(OPEC)に加盟するUAE(アラブ首長国連邦)の駐米大使が原油の増産を支持したことで、原油先物価格(WTI)が108.70ドルと12%急落したことがある。もう一つ見逃せないのは、11日のメジャーSQ(先物・オプション特別清算日)を控えて、先物主体にショートカバー(買い戻し)が一時的に加速したことだ。

◆日経平均株価のチャートは、好転を確認するにはまだほど遠い。10日の反発で2万5690円まで戻したが、日足チャートは4日に2万6000円ラインを割り込んで9日に2万4681円まで下げていたので、10日の急騰は割り込んだ2万6000円ラインに向かってアヤ戻りを見せたといった段階である。チャートで好転の兆しを確認するには、少なくとも25日移動平均線(10日時点2万6653円)の突破が必要だ。

◆ただし、年初の1月5日高値2万9388円から日足は二段下げ(N波による計算値は2万4536円)となり、RCI(順位相関指数)は日足、週足ともに底値圏に到達し、日柄面では昨年9月14日高値から6カ月(高値期日)を迎え、チャートは底打ちが近いことを示唆する。

◆15~16日にFOMC(米連邦公開市場委員会)、18日は日銀金融政策決定会合と米国メジャーSQ、そして21日が彼岸と3月のスケジュールはまだ忙しい。最大の懸念要因は言うまでもなくロシア(プーチン大統領)の動きであり、先行き不安は拭えない。ただ、11日に「全人代」が終わり、中国が近々ウクライナとの仲裁交渉に乗り出すことも想定される。不透明感が漂うマーケットだが、株式市場は「彼岸底」になる可能性を秘めていると言える。反発して好転を確認するか、それともセリング・クライマックスになるか、チャートから目が離せない。

(3月10日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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