【市況】明日の株式相場に向けて=「サイバー&エネルギー」関連株が躍動
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
前日の欧州株市場は一部の北欧諸国の株価を除き総じて軟調。ロシアとウクライナの停戦交渉はそう簡単には話が進まないであろうというのは、コンセンサスとして市場は織り込んでいたが、底入れ反転を期待するには時期尚早だ。ロシアと地続きの欧州株市場が強気に切り替わるにはまだ時間を要す。「ウクライナ情勢は予断を許さず、プーチン大統領を追い詰めれば、通常兵器の延長線上での使用を想定した小規模の核ミサイル、いわゆる戦術核兵器のカードを切る可能性が否定できない」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。
こうしたなか、中露を敵に回しながら国内ではインフレ圧力の払拭に腐心せねばならないバイデン米大統領も大変だが、11月の中間選挙は民主党大敗のシナリオが現実味を帯びてきた。もっとも、株式市場的にはこのシナリオは必ずしも崩壊を意味しない。トランプ勢力復権の可能性は米国株にとっては光明となり得るからだ。目先的には今回のウクライナ・ショックとの距離感を掴みつつあるようで、前日はNYダウが一時500ドル超の下げをみせるなど荒れた値動きとなったが、ナスダック指数が終盤に強さを発揮しプラス圏に切り返したのは、バトンを受ける東京市場にとっては心理的に追い風となった。
マーケットの体感温度は大分暖まっている。注目すべきは個人投資家の土俵であるマザーズ市場の動向だ。マザーズ指数も日経平均と同様にきょうで3連騰だが、違う点が一つある。それは昨年11月末以降、約3カ月にわたって強力な上値抵抗ラインとなっていた25日移動平均線を、日経平均に先行して大陽線で上に抜けてきたことだ。マザーズ指数は下値模索期間が長かっただけに相応のインパクトがある。ちなみに前日時点の騰落レシオ(25日移動平均)は86%台にとどまっており、陰の極からようやく脱し振り子が戻り始めた段階。個人投資家目線では、チャンスを迎えているようにも映る。
きょうは東証1部では海運株が文句なしの主役だったが、裏庭ではサイバーセキュリティー関連株が一斉高に咲き誇っているのも見逃せない。マザーズ銘柄で信用貸借銘柄であるFFRIセキュリティ<3692>の垂直上昇トレンドに地合いの変化を感じる。前日取り上げたNo.1<3562>やフォーカスシステムズ<4662>の他に、セキュリティー関連でTDCソフト<4687>、インテリジェント ウェイブ<4847>なども注目してみたい。また、システム開発周辺でも、金融系で強みを持つ銘柄に優位性がある。ロシアへの金融制裁が仮想通貨を刺激するというのが相場の相場たるゆえんだが、セキュリティーとはまた別の切り口でアイエックス・ナレッジ<9753>が大底圏で動意含みだ。同様の観点でキューブシステム<2335>も目を向けておきたい。両銘柄とも業績内容が良く指標面で割高感がない。そして、もう一つの流れはエネルギー関連株だ。ウクライナ有事も絡み資源価格の上昇が止まらない。原油やLNG価格の高騰はクリーンエネルギーや再生可能エネ関連株を覚醒させる。木村化工機<6378>や助川電気工業<7711>など原子力関連が激しく動意しているのは周知の通りだが、東京エネシス<1945>や太平電業<1968>なども要マークとなる。
あすのスケジュールでは、2月のマネタリーベース、10~12月の法人企業統計など。また、東証1部にビーウィズ<9216>が新規上場する。海外では2月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、2月の独失業率、2月のADP全米雇用リポート、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が注目されるほか、パウエルFRB議長の下院での議会証言にもマーケットの関心が高い。また、カナダ中銀が政策金利を発表する。(銀)
出所:MINKABU PRESS