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【市況】明後日の株式相場に向けて=「米株高効果」による「分配」に期待

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 週明け22日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比28円高の2万9774円と続伸。あすが勤労感謝の日で休場ということも関係してか、売り買いともに腰が入らない動きとなった。東証1部の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数はいずれも1000ちょっとで拮抗、どっちつかずで方向感が定まらない。

 ドイツやオーストリアで新型コロナウイルス感染者数が急増し、オーストリア政府が全土でロックダウンを実施したことは、本来ならば市場センチメントに大きく影響を与えるだけのインパクトがある。ところが、渦中のドイツでDAX指数は0.4%弱の下げにとどまり、米国株市場でも景気敏感株の比重が高いNYダウは下げたものの、ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は上値指向を継続し最高値を更新。この時点で、インフレに対する恐怖感で相場が崩れることはあっても、新型コロナがもたらす恐怖に対しては、既にマーケットは免疫獲得済みということが明らかとなった。ただ、東京市場では日経平均が3万円に近づくと売り板が厚くなる傾向は相変わらずで、前週末に岸田政権が55兆7000億円規模の経済対策を明らかにしても、上値追いの活力が生まれない。来年からの議論開始で実施まで1年以上のモラトリアムがあったとしても、金融所得課税の強化を政策指針に掲げた時点でマーケットは岸田首相の本音を見抜き白けてしまったのかもしれない。

 もっとも米国株が強さを維持し続ければ、その“分配”は日本にも回ってくる。日経平均の3万円突破はあくまで時間の問題との見方が市場では大勢を占める。ただし、最大の関心事は来年2月に任期を迎えるパウエルFRB議長の続投があるかないかで、市場では「イエレン財務長官の後押しがあったとしても(パウエル氏の)続投は難しく、ブレイナード理事が有力だ」(ネット証券マーケットアナリスト)という声がある。そして、「ブレイナード氏はかなりのハト派で知られるが、政治に忖度する傾向が強いので、テーパリングの前倒しや利上げの選択肢を意外と容易にチョイスする可能性がある」(同)と指摘する。バイデン大統領の支持率低下は、米国民のインフレに対する不満が主要因。となれば、ブレイナード氏への議長交代となった場合、潮目が変わる可能性は念頭に置いておく必要がある。

 きょうの東京市場で個別株は、裾野の広い半導体関連 の中小型株を物色する動きが続いている。半導体製造装置関連では超純水装置を手掛ける野村マイクロ・サイエンス<6254>。同社の業績は絶好調だが、株価面でもここもみ合いを経てチャートの形が良くなっており、5100~5200円どころはマークしておく価値がある。

 また、半導体製造装置だけでなく、半導体素材やその周辺株にも投資マネーが流れ込み始めている。半導体用特殊ガスを生産する関東電化工業<4047>の1000円トビ台は食指が動く水準。同社は2次電池に不可欠な電解質LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を製造しており、EV関連としても存在感を高める可能性がある。更に、半導体フォトマスクやメタルマスク、スクリーンマスクなどを手掛ける竹田印刷<7875>は半導体関連の穴株的位置づけにあるが、22年3月期に4割営業増益で年16円配当を実施する優良企業にして、0.3倍台のPBRは安過ぎるといえそうだ。

 半導体関連以外では、イベント展示や販促支援を行う博展<2173>がリオープン(経済活動再開)関連として妙味を内包。11月中旬にマドを開けて急浮上したあと500円台前半でもみ合っている状態だが、これが2段上げに向けた踊り場になるかどうか着目したい。

 脱炭素関連では、再生可能エネルギー分野に注力する構えにある機械商社、東京産業<8070>が静かに年初来高値奪回を視野に入れている。今年5月には再生エネの開発・運営で実績の高いアール・エス・アセットマネジメント(東京都港区)と合弁会社を設立し、再生エネ分野で、ワンストップ体制でサービスを提供していく礎を築いている。

 あすのスケジュールでは、東京市場は勤労感謝の日で休場となる。海外では11月の仏購買担当者景気指数(PMI)、11月の独PMI、11月のユーロ圏PMI、11月の英PMI(いずれも速報値)が発表される。また、同様に米国でも11月のPMI(速報値)が発表される。なお、ヒューレット・パッカード<HPQ>の8~10月決算発表も予定され、マーケットの関心が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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