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【特集】横山利香「令和時代の稼ぎたい人の超実践! 株式投資術」― (14) 株の売り時を分析できるグランビルの法則(下)

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆株式投資で最も難しいのは売りのタイミング

 今回は、4つの「売りの法則」を見ていきます。下記の(1)~(4)が4つの「売りの法則」です。株価が移動平均線から上に大きく乖離した場合、株価は下にある移動平均線に引き寄せられる習性があります。「売りの法則」は基本的に、移動平均線が下落しているにも関わらず株価が一時的に上昇する動きを捉えて、戻り売りのタイミング(売りシグナル)とします。

(1)移動平均線が上昇から横ばい、または下落に転じる時に、株価が移動平均線を上から下に突き抜ける
(2)移動平均線が下降トレンドにある時に、株価が移動平均線を上に突き抜ける時
(3)移動平均線が下降トレンドにある時に、株価が移動平均線近辺まで上昇したものの、上に突き抜けることなく再び下落した時
(4)移動平均線よりも株価が大きく上昇した時

 図3の東証マザーズ指数のチャートにそれぞれの「売りの法則」4つを表示しました。(ここではわかりやすくするため、株探プレミアムの機能を使って200日移動平均線1本のみを表示しています。この機能については前回の当コラムをご参照ください)。


●図3 東証マザーズ指数とグランビルの法則(1)~(4)
【タイトル】


 (1)移動平均線が上昇から横ばいにある時に、東証マザーズ指数が移動平均線を下から上に突き抜けているのがわかりますので、「売りの法則(1)」になります。その後、高値圏での推移が続きましたので、ここから再び上昇していくのか、それとも下落していくのかは判断が難しいところでしたが、他の移動平均線が下向きで下落トレンドの継続を示唆していた通り、そのまま下落していきました。しっかりと利益を確定しておきたい売りのポイントだったと言えるでしょう。

 (2)移動平均線が下降トレンドにある時に、東証マザーズ指数が下から上に突き抜けていますので、「売りの法則(2)」になります。移動平均線を再び下回った株価は、その後、コロナショックという不測の事態によって、さらに下落していきます。株価が下落している時にはこのような底抜けする事態も想定して、安易な買いは避けた方がよいでしょう。

 (3)移動平均線が下降トレンドにある時に、東証マザーズ指数が移動平均線近辺まで上昇しましたので、「売りの法則(3)」になります。この動きは一時的な上昇にとどまり、その後、株価は移動平均線を越えられずに失速し、下値を大きく切り下げて下降トレンドの継続を確認する形になりました。結果論ではありますが、2018年1月から続くこの下降トレンドはコロナショックの時まで下げ止まらなかったわけですから、どこで買っても損をしやすい時期であり、トレンド転換を明確に確認するまでは中長期保有を前提とした売買は避けたい期間でした。

 (4)東証マザーズ指数が移動平均線を大きく上回って上昇していますので、「売りの法則(4)」になります。上の「売りの法則(3)」でも触れましたが、東証マザーズ指数はこの高値をつけた18年1月から株価が長期にわたって下落を続ける苦しい時期を迎えます。やはり、移動平均線が下向きの下降トレンドにある時は、下げ止まりを確認してから購入しても遅くはないと言えるでしょう。

 株を買う時には儲かるイメージしかありませんので、「よっしゃー、買いだー」と躊躇せずに買い出動できる場合が多いものです。しかし、利益確定のタイミングとなると、「この前はあんなに高かったからまた戻るだろう」とか「含み損だったけど、やっぱり戻ってきた。まだ高値があるはずだ」などと都合よく考えて、売り時を逃してしまうことは珍しくありません。株式投資で最も難しいのは売りのタイミングですが、そもそもスタート時点で「でっかく儲けよう!」などと欲に負けているわけですから、利益確定のタイミングを逃してしまうのも当然の結果なのかもしれません。

 冷静に機械的に売りタイミングを判断できる人は投資家の中でも少数にすぎないのですから、テクニカル分析を積極的に活用すべきなのです。株式市場に上場している銘柄は数千にものぼり、他の多くの銘柄が上げ下げを繰り返している中で、あえて1つの銘柄にこだわる必要は全くありません。

 株を売る時につい欲に負けてしまいがちだという人こそ、利益を積み上げるための1つの方法としてグランビルの法則を活用してみてはいかがでしょうか。

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