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【特集】プラチナは堅調も、ロックダウン再導入の欧州景気への影響見極め <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は、インフレ懸念の高まりによる金急伸を受けて堅調となり、7月16日以来の高値1103ドルをつけた。10月の米ISM非製造業景気指数(NMI)が66.7と1997年の調査開始以降で最高となるなど経済指標が改善していることに加え、インフラ投資法案が成立したことも支援要因となっている。

 10月の米小売売上高は前月比1.7%増と事前予想の1.4%増を上回り、3ヵ月連続で増加した。高インフレでも個人消費は堅調である。ただ、10月の米ISM製造業景気指数は60.8と前月の61.1から低下した。半導体不足で自動車生産が減少し、供給網の制約が経済活動を抑制している。

 一方、欧州で新型コロナウイルスの新規感染者が増加し、オランダが12日に部分的なロックダウン(都市封鎖)の再導入を発表した。ワクチン接種が停滞するなか接種義務化の動きも出ており、今後の感染抑制につながるかどうかを確認したい。

 10月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は54.2と前月の56.2から低下し、6ヵ月ぶりの低水準となった。他の欧州諸国もロックダウンを再導入すると、景気の改善が遅れるとみられる。中国経済も不動産会社の経営不安が回復の足かせとなっており、世界経済の先行き懸念が残ると、プラチナの高値での買いを見送る向きが出てくるとみられる。

●金や原油の動きも確認

 の現物相場はインフレ懸念の高まりを受けて上値を試し、6月14日以来の高値1876ドルをつけた。10月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.2%上昇と、前月の5.4%上昇や事前予想の5.8%上昇を上回り、31年ぶりの大幅な伸びを記録した。金融当局者はインフレは一過性との見方を示しているが、予想外に高インフレが続き、景気の先行き懸念が出ている。金堅調はプラチナの支援要因だが、株安に振れる場面も見られ、株価の動向も確認したい。

 10月米CPIの内訳を見ると、ガソリンが前年同月比49.6%上昇しており、原油や石油製品の上昇がインフレの背景にあることがわかる。ニューヨーク原油は、石油輸出国機構(OPEC)プラスの増産抑制や需要増加見通しを受けて2014年10月以来の高値84.25ドルをつけた。在庫増加を受けて上げ一服となったが、米経済の堅調から押し目は買われやすい。ただ、バイデン米大統領はエネルギー価格を抑制する方策を米国家経済会議(NEC)に指示した。対策の行方と効果があるかどうかも今後の焦点である。

●プラチナは大口投機家の買い意欲が強まるかどうかを確認

 プラチナETF(上場投信)残高は11月15日の米国で37.94トン(9月末38.13トン)、英国で20.32トン(同19.63トン)、11日の南アフリカで13.14トン(同13.66トン)となった。景気回復期待を受けて英国で投資資金が流入したが、戻り場面で利食い売りが出ており、合計で0.02トン減少した。欧州の新型コロナウイルスの感染増加もあり、景気見通しと投資資金の動向を確認したい。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万7630枚(前週1万5364枚)となった。9月14日の1067枚の売り越しを底にして買い越しに転じ、拡大傾向にある。買い戻し主導の動きとなったのち、直近9日の週に1390枚の新規買いが入った。今後、大口投機家の買い意欲が強まると、上値を伸ばす可能性が出てくる。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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