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【特集】上方修正ラッシュで脚光、先高シグナル点灯の「大幅増額&割安」厳選6銘柄 <株探トップ特集>

先行き懸念材料が多いなかでも上方修正が相次いだ4-9月期決算発表シーズンが終わった。ここでは通期計画を大幅増額修正した企業の中から、割安感が強い銘柄を6社リストアップした。

―中間決算発表出そろう、上値期待が大きく膨らむ好業績のバリュー株にロックオン!―

 22年3月期上期の決算発表がおおむね出そろった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ業績の回復が鮮明となった第1四半期(4-6月)に続いて、上期決算でも多くの企業が前年同期の実績を上回る好業績を打ち出し、通期見通しを上方修正する企業が相次いだ。上期決算シーズンに上方修正する企業は、業績の先行きに自信を持つケースが多く、一段の上振れや来期業績の拡大が期待される有力株としてマークしたい。今回は通期業績予想の上方修正に踏み切った企業のうち、株価指標面で割安感が強く上値余地が大きいとみられる銘柄を探った。

●上方修正相次ぐ、業績回復には格差も

 「株探」集計では、10月1日から11月12日の期間に、22年3月期通期の経常利益予想を引き上げた企業は560社に上った。新型コロナ感染再拡大の影響などで先行きに慎重姿勢をみせていた企業が多かったこともあり、およそ4社に1社が上方修正した格好だ。業種別に見ると、市況の急激な改善を背景に収益が上振れする見通しとなった海運鉄鋼のほか、 半導体をはじめとする電子部品などの需要拡大が追い風となる電気機器セクターに上方修正する企業が目立つ。

 一方、期初に立てた業績予想が下振れする見通しの企業も多く、12日までに241社が通期経常利益予想を下方修正している。継続的な緊急事態宣言の実施が逆風となる鉄道会社、半導体不足によるマイナス影響が大きい自動車業界、資源高が重くのしかかる電力などに業績見通しを引き下げる動きが多く見られた。業績回復は業種によってばらつきが生じている。

 今回は大幅な業績上方修正が評価され株価が上昇した銘柄のうち、株価指標面に割安感のある企業にスポットを当てた。以下では、22年3月期の経常利益予想を上方修正した企業を対象に、株価が1株あたり純利益の何倍まで買われているかを示す「PER」(株価収益率)が低位で、株価の水準訂正が進むことが期待できる6社を紹介していく。

【IDEC】

 制御機器大手のIDEC <6652> は半導体製造装置、自動車関連、工作機械、ロボット業界などの旺盛な設備投資ニーズを捉え、業績が絶好調に推移している。上期(4-9月)業績は主力の産業用スイッチを中心に販売が大きく伸び、売上高348億5600万円(前年同期比37.3%増)、経常利益50億2200万円(同3.3倍)といずれも上期ベースの過去最高を塗り替えた。併せて、高水準な受注高や拠点再編による固定費削減効果を踏まえ、通期の経常利益予想を従来計画の62億円から92億円(前期比2.2倍)へ上方修正し、4期ぶりに最高益を更新する見通しとなった。配当予想も年80円(従来計画は50円)に大きく引き上げ、配当利回りは3%台に浮上しているほか、予想PERも11倍台と割安圏にあり投資妙味は大きい。

【ホシデン】

 ホシデン <6804> はコネクターやスイッチといった機構部品を主力とする電子部品メーカー。5日に発表した上期業績は経常利益段階で74億1000万円(前年同期比62.8%増)とコロナ禍前の水準を上回って着地した。主力のゲーム機向けが新型コロナ感染拡大による海外主力工場の稼働停止で大きく減少したものの、自動車関連向け音響・表示部品、スマートフォンや健康機器関連向け部品の伸長で補った。また、円安進行によるプラス効果も利益を押し上げた。好決算を受け、通期予想の上方修正に踏み切っている。併せて、株主還元方針を変更し、配当性向30%程度を目指すと発表。これに伴い、今期配当を従来計画の20円から55円に大幅増額修正した。株価は年初来高値圏に急浮上したが、予想PER7.3倍、PBR0.6倍近辺と割安感が強く一段高への期待が膨らんでいる。

【メイコー】

 プリント基板大手メイコー <6787> の上期業績は、昨年落ち込んだ車載向けを中心に販売が回復し、経常利益53億4700万円(前年同期比9.5倍)と急拡大をみせた。コロナ影響で中国とベトナムで一時的に操業度の調整を行ったものの、その後は全工場がフル稼働に近い水準で推移し、今後の増産に備えた部品在庫積み上げの需要も追い風になった。併せて、通期の同利益予想を従来計画の87億円から110億円(前期比93.1%増)へ引き上げている。足もとでは、自動車の電装化が進むなか、先端車載基板の量産工場を22年中に建設する計画を示すなど、成長投資にも余念がない。株価は9日に約13年10ヵ月ぶりに4000円を突破したが、予想PER11倍台と割高感はなく、更なる上値に期待したいところだ。

【丸文】

 丸文 <7537> は海外サプライヤーを中心とした豊富な品揃えに強みを持つ独立系のエレクトロニクス商社。世界トップクラスの半導体商社である米アロー・エレクトロニクス<ARW>との合弁会社を通じて海外事業を積極展開し、21年3月期の海外売上高比率は6割に上る。足もとの業績は、産業機器向けをはじめとした幅広い分野で半導体や電子部品の引き合いが強く、また電子デバイスの組立・検査装置や医用機器も好調に推移し、上期の経常利益は21億400万円と実に15年ぶりの高水準をたたき出した。これを反映する形で、通期の同利益予想を従来計画の30億円から45億円(前期実績は3300万円)へ増額修正している。指標面では予想PER7倍台、PBR0.5倍と極めて割安感が強く、上値に大きな期待を内包している。

【バルカー】

 バルカー <7995> は配管のつなぎ目に使われる気体や液体の漏れを防ぐ工業用シール材の大手。10月27日に発表した上期業績は、半導体製造装置などの先端産業市場向けを中心に、主力のシール製品や機能樹脂製品の出荷が拡大し、経常利益は28億1500万円と前年同期比で6割近い大幅増益となった。併せて、通期の同利益は56億円(前期比52.5%増)になりそうだと発表。足もとの業績動向を踏まえ、前回予想の40億円から上方修正した。旺盛な半導体需要を背景にシール部門の受注拡大が続いており、19年3月期に記録したピーク益(57億9100万円)の更新にも期待がかかる。指標面では予想PER12倍近辺と割安サインが点灯しているほか、4%を超える配当利回りも注目ポイントだ。

【イーグランド】

 首都圏を中心に中古住宅の再生販売を展開するイーグランド <3294> は、コロナ禍における生活様式の変化に伴って高まる中古住宅需要が業績に追い風となっている。上期は、主力とする低価格帯の居住用物件などの販売が増加したうえ、活況な中古住宅市場を背景に販売単価も上昇し、経常利益は14億3200万円と前年同期比2.8倍に膨らんだ。仕入れ件数がコロナ禍前の水準に回復するなか、下期も好調が続く見通しで、通期の同利益予想を22億7000万円(前期比70.0%増)へ引き上げている。業績上振れに伴い、今期2回目となる配当増額(従来比11円増の69円)に踏み切ったほか、35万株または4億円を上限とする自社株買いを8月から実施するなど、株主還元の切り口でも魅力が高い。

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