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【特集】年間成績16勝1敗2分、「過去から未来へのストーリー」で勝率を引き上げる技
第31-2回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(ケーススタディ編)
登場する銘柄
前回記事「100万→10億→数十万円、それでも累計2億円を獲得した技」を読む
年間成績16勝1敗2分のうんばばさん(ハンドルネーム)の2回目は、お宝発掘の確度を上げる取り組みに焦点をあてる。それがIR(投資家向け広報)部門に行う電話取材だ。
IR取材を行う投資家は『株探』で何人も取り上げてきた中で、うんばばさんに注目するのは、プロの立場で取材経験を積んだことがある点。投資顧問業に従事した頃に磨いたノウハウが今に生きている。
取材の目的はシナリオの再点検だ。企業サイトや開示資料を読み込んでも理解しにくい部分を解消するのが主な目的になる。
IR取材で意識しているのが、"ストーリー"を描けること。質問は「過去→現在→未来」の順に展開する。特に意識しているのは過去の部分。聞きたいテーマ以外にも、会社や主力事業の成り立ちや関連マーケットの成長経緯まで幅広くカバーする。
以下、具体的なポイントを見ていこう。
リターン獲得したイボキン株、IRの見解が背中を押す
IR取材が大きな利益につながった銘柄が、ビルやプラントの解体から産業廃棄物処理、金属リサイクルまで手掛けるイボキン<5699>だ。
今年6月中旬に3000円超で購入し、翌月から翌々月にかけて3500~5000円の間で持ち分の大部分を利確。トータルで獲得した利益は400万円だ。
成功のポイントは、同社の業績を左右する「鉄スクラップ価格」の見通しに自信を持てたことだ。鉄スクラップとは「鉄くず」を指し、市場価格が上がると主力の「金属リサイクル事業」にプラスになる。
そうしたスクラップ市場の変遷や展望についてIR担当者の見解を聞けたことが、うんばばさんの投資判断を支えることになった。
■イボキンの日足チャート(21年4月~9月)
目を付けたのは今年6月、鉄スクラップ価格の高止まりがきっかけだ。日本や中国の鉄鋼メーカーが鉄スクラップを主原料とする「電炉」を増やしていることで、足元の価格が高騰していた。
高炉と比べて二酸化炭素(CO2)排出が少ない電炉は、「脱炭素」の観点から今後ますます比率を高める動きが出てくるかもしれない。そこで「これは長期的なテーマになる」とも感じたうんばばさんは、鉄スクラップ価格の上昇が業績的にも株価的にも有利に働くイボキン株を有望視した。
確かめたかったのが「鉄スクラップ価格は、持続的に上がり続け、それによって自分の想定通りに業績拡大が続くのか」だった。同社のIR部門に電話で問い合わせた結果、最終的にそのシナリオに自信を持つことができた。
その裏では後述する2つの対策が奏功している。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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登場する銘柄
取材/真弓重孝・高山英聖、編集・構成/真弓重孝(株探編集部)
うんばばさん(ハンドルネーム・40代・男性・専業投資家) | |||
日本株運用資産 | 3000万円 | ||
累積投資元本 | 100万円 | ||
累積リターン | 2億円 | ||
投資スタイル | ファンダ分析によるテーマ×グロース狙い | ||
主な保有期間 | 短中期(1週間~1カ月) | ||
保有銘柄数 | 6~10銘柄 | ||
投資開始年 | 2003年 | ||
他の投資対象 | なし | ||
自身の性格分析 | 楽観的 | ||
好きな言葉 | なし | ||
うんばばさんとは: 専業投資家であり2児のパパ。得意技はテーマ投資。 時流を読み、ニュースや決算資料から大化けしそうな材料を掴むのが得意。 大学卒業後に経験した投資顧問業時代に、決算資料の読み込みやIR取材を何十社も こなしたことが、今のファンダメンタルズ分析の基礎になっている。 平日は朝からパソコンの前に座り、銘柄分析&トレードに集中。 しかし最近は中学受験を控えた子どもの勉強指導につい熱が入り 「どっちが本業かわからなくなってきている」と笑う。画像は、愛車のテスラ。 |
前回記事「100万→10億→数十万円、それでも累計2億円を獲得した技」を読む
年間成績16勝1敗2分のうんばばさん(ハンドルネーム)の2回目は、お宝発掘の確度を上げる取り組みに焦点をあてる。それがIR(投資家向け広報)部門に行う電話取材だ。
IR取材を行う投資家は『株探』で何人も取り上げてきた中で、うんばばさんに注目するのは、プロの立場で取材経験を積んだことがある点。投資顧問業に従事した頃に磨いたノウハウが今に生きている。
取材の目的はシナリオの再点検だ。企業サイトや開示資料を読み込んでも理解しにくい部分を解消するのが主な目的になる。
IR取材で意識しているのが、"ストーリー"を描けること。質問は「過去→現在→未来」の順に展開する。特に意識しているのは過去の部分。聞きたいテーマ以外にも、会社や主力事業の成り立ちや関連マーケットの成長経緯まで幅広くカバーする。
以下、具体的なポイントを見ていこう。
リターン獲得したイボキン株、IRの見解が背中を押す
IR取材が大きな利益につながった銘柄が、ビルやプラントの解体から産業廃棄物処理、金属リサイクルまで手掛けるイボキン<5699>だ。
今年6月中旬に3000円超で購入し、翌月から翌々月にかけて3500~5000円の間で持ち分の大部分を利確。トータルで獲得した利益は400万円だ。
成功のポイントは、同社の業績を左右する「鉄スクラップ価格」の見通しに自信を持てたことだ。鉄スクラップとは「鉄くず」を指し、市場価格が上がると主力の「金属リサイクル事業」にプラスになる。
そうしたスクラップ市場の変遷や展望についてIR担当者の見解を聞けたことが、うんばばさんの投資判断を支えることになった。
■イボキンの日足チャート(21年4月~9月)
注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、
同値は「グレー」。以下同
目を付けたのは今年6月、鉄スクラップ価格の高止まりがきっかけだ。日本や中国の鉄鋼メーカーが鉄スクラップを主原料とする「電炉」を増やしていることで、足元の価格が高騰していた。
高炉と比べて二酸化炭素(CO2)排出が少ない電炉は、「脱炭素」の観点から今後ますます比率を高める動きが出てくるかもしれない。そこで「これは長期的なテーマになる」とも感じたうんばばさんは、鉄スクラップ価格の上昇が業績的にも株価的にも有利に働くイボキン株を有望視した。
確かめたかったのが「鉄スクラップ価格は、持続的に上がり続け、それによって自分の想定通りに業績拡大が続くのか」だった。同社のIR部門に電話で問い合わせた結果、最終的にそのシナリオに自信を持つことができた。
その裏では後述する2つの対策が奏功している。
※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。
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