【特集】田部井美彦氏【日経平均急上昇、衆院選通過でどうなる11月相場】(2) ＜相場観特集＞

―週明けはリスクオン鮮明、2万9000円台を大きく回復―

　週明け1日の東京株式市場は日経平均株価が急伸し2万9000円台を大きく回復した。注目された衆院選は自民党が単独で絶対安定多数の261議席を確保、これを受けて目先的には政局不安が後退、市場のセンチメントが大きく改善している。今週はFOMCや米雇用統計など重要日程が重なるほか、本格化する企業の決算発表などへの関心が一段と高まる。11月相場の展望について、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「自民党勝利で買い戻し流入、政策期待で年初来高値も」

田部井美彦氏（内藤証券　投資調査部　リサーチ・ヘッド＆チーフ・ストラテジスト）

　衆院選に対して、市場には自民党が単独で過半数を取れないのではないのか、という懸念も出ていた。それだけに、絶対安定多数（261議席）を確保したことはポジティブサプライズと受け止められたようだ。衆院選を経て、政策が通りやすくなる可能性が高まった。政権の安定を評価して海外投資家などは、買い戻しを入れてくるだろう。

　衆院選に対する不透明感もあり、9月下旬から株価を下げたが、その水準を取り戻す動きが期待でき、まずは3万円回復を目指す動きが見込めるだろう。今後1ヵ月程度では、日経平均株価の上値は9月の年初来高値（3万670円）を更新し3万1000円前後が期待できると思う。下値は2万9000円程度だろう。

　まずは、「Go To キャンペーン」などの政策が打ち出され、その後に補正予算などが固まってくるのではないか。当面は、岸田政権の実行力を確認していくことが予想される。「分配政策」の内容などには警戒感もあるが、その点が問われるのはまだ先だろう。

　こうしたなか、今後は脱炭素やデジタルトランスフォーメーション（DX）などに関連する銘柄が買われるとみている。パナソニック <6752> はDX支援を収益源のひとつに育てるために企業買収を行ったことなどが注目できる。昭和電線ホールディングス <5805> は、高性能モーターなどに使われ、優れた導電性を誇り脱炭素などにも寄与できる無酸素銅線で高い実績を持つ。

　霞ヶ関キャピタル <3498> [東証Ｍ]は、太陽光発電施設や保育園などを手掛けるほか、物流施設で幹線道路沿いの大型倉庫と地方を結ぶ中間倉庫を手掛けている点に注目している。更に、水素関連の川崎重工業 <7012> などにも期待している。


（聞き手・岡里英幸）

＜プロフィール＞（たべい・よしひこ）
内藤証券リサーチ・ヘッド＆チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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