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【特集】プラチナは底入れ、景気回復見通しに支えられ新規買いは強まるか <コモディティ特集>

MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行
 プラチナ(白金)の現物相場は、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大や半導体不足による自動車メーカーの減産、供給過剰見通しを受けて昨年11月以来の安値903ドルをつけたのち、売られ過ぎ感から買い戻しなどが入って下げ一服となった。その後は米国債の利回り上昇によるドル高を受けて戻りを売られたが、予想を下回る米雇用統計をきっかけに買い戻し主導で急伸し、8月4日以来の高値1039ドルをつけた。戻り高値を突破したことでテクニカル面でも改善がうかがえる。

 米連邦準備理事会(FRB)が11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の縮小(テーパリング)開始を発表することが見込まれており、景気回復見通しも下支え要因となる。今後発表される経済指標で景気回復見通しが強まると、新規買いの意欲が強まり、プラチナは堅調に推移するとみられる。ただ、米国のインフラ投資法案や債務上限引き上げ問題の行方も警戒されており、協議の行方を確認したい。中国の不動産会社の経営危機や電力不足に対する懸念もある。需要が伸び悩むと、値固めが長引く可能性もある。

●プラチナは米ISM製造業景況指数の上昇などが支援

 コロナショック後の米ISM製造業景況指数は今年3月の64.7をピークとして低下傾向にあったが、7月の59.5を当面の底として9月に61.1に上昇した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受けて景気減速が懸念されたが、ワクチン接種が進むなか、デルタ株の感染拡大が一服し、景気は再び拡大しつつある。

 ただ、9月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比19万4000人増と9ヵ月ぶりの小幅な増加にとどまった。事前予想の50万人増を大きく下回り、労働市場の改善が遅れているが、これは教育関連の減少がその要因であり、学校再開で関係者が戻るようなら改善が進むとみられる。

 一方、半導体不足を受けて自動車メーカーが追加減産を発表したことは、プラチナの自動車触媒向けの需要回復を遅らせる要因となる。半導体不足に対する今後の対応を確認したい。

 米国のインフラ投資法案の行方も当面の焦点である。米民主党は9月27日の成立を目指していたが、党内の調整が難航し、米下院での採決が延期された。ペロシ米下院議長は10月末までに下院での成立を目指すとしている。

 一方、米債務上限引き上げ問題で与野党は対立していたが、12月上旬までの拡大で合意し、当面のデフォルト(債務不履行)懸念が後退した。ただし、数ヵ月間の拡大であり、数週間後には協議を再開する必要があるとみられる。協議が難航すれば景気の先行き懸念につながることになりそうだ。

●NYプラチナで大口投機家が一時売り越し

 プラチナETF(上場投信)残高は10月11日の米国で38.11トン(8月末38.73トン)、英国で19.77トン(同19.34トン)、南アフリカで13.65トン(同14.62トン)となった。合計で1.16トン減少し、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大や米FRBのテーパリング見通しなどを受けて投資資金が流出した。景気回復見通しで投資資金が戻るかどうかを確認したい。

 一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月14日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は1067枚の売り越しと、米中の貿易戦争に対する懸念から売り圧力が強まったことから、2019年2月以来の売り越しとなった。ただし、翌週には買い戻されて買い越しに転じており、10月5日時点では5515枚の買い越しまで拡大した。大口投機家の動向は相場の底入れを示している。

(MINKABU PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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