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【特集】田部井美彦氏【下期相場入り目前、再びの3万円大台は通過点か】(1) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

―22年3月期も中間地点に到達、ここからの見通しは―

 27日の東京市場は上値こそ重かったものの内需株を中心に底堅さを発揮した。日経平均は前週末の急伸の余韻冷めやらぬなか、利益確定売りをこなしプラス圏で推移する場面もあった。今年は3万円台に入ると値動きが重くなり2万円台に押し戻される展開が繰り返されてきたが、今回は3万円大台ラインを足場に一段の上値追いが期待できるのかどうか。個人投資家にも人気の高いベテラン市場関係者2人に全体相場の展望と物色の方向性について聞いた。

●「相場環境良好で下値切り上げ続く」

田部井美彦氏(内藤証券 投資調査部 リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト)

 日経平均株価は3万円を下値に、年末から年明けにかけて3万2000~3万3000円を目指す展開を想定している。相場環境は良好であり、日経平均株価は上下動を繰り返しながらも、下値を切り上げる展開が見込めるだろう。

 夏場は、業績が好調なのに米国など海外市場の上昇についていけなかった。これはワクチン接種の遅れなどが要因だが、今週には自民党総裁選が終わり、その後は11月の衆院選を意識しながら追加経済対策を評価する動きが期待できる。また、10月下旬から本格化する決算発表では、業績の上方修正や増配も見込める。

 米国のテーパリング(量的緩和縮小)の動きが出ているが、突然浮上したものではないうえに、米国の金利上昇は円安要因に働く面もある。中国の恒大集団問題は短期解決ならポジティブ要因となるが、長期化すれば上値を抑える要因となるだろう。

 自民党総裁選に関しては、市場が最もポジティブに評価するのは積極的な財政出動を訴えている高市早苗氏だとみている。続いて、河野太郎氏だろう。

 個別銘柄では、海運株にはまだ一段の評価余地がありそうだ。特に商船三井 <9104> に注目している。同社はドライバルク船やタンカー、コンテナ船などをバランスよく保有している。例年11~12月は海運業界は閑散期となるが、今年は高水準の用船需要が見込めるのではないか。株価は連結PERや配当利回り面からも割安感は強いだろう。

 また、高い非鉄需要が続くなか、商社の三菱商事 <8058> は配当利回りも高く再評価余地があるだろう。更に、半導体関連株では荏原 <6361> やメック <4971> などに注目している。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券リサーチ・ヘッド&チーフ・ストラテジスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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