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【特集】「メタバース」で広がる新成長局面、VR関連株は再評価本番 <株探トップ特集>

TGSのVR会場新設、大手企業が相次ぎ参入する「メタバース」など、ここVR関連のトピックに関心が集まっている。5G時代に本格普及が見込まれるVRに注目したい。

―東京ゲームショウが今月末開幕、仮想空間に大手企業の参入相次ぐ―

 ゲーム見本市「東京ゲームショウ(TGS)」が今月末に開幕する。1996年の第1回開催から25周年となる今年のTGSでは、同イベントとしては初の試みとなるVR(仮想現実)会場の新設が話題を呼んでいる。ビッグイベントにおけるこうした取り組みは、VRに対する一般の関心を高めることになり、普及を後押しする一つの契機となり得る。また、ここVR分野における新たなテーマとして「メタバース(仮想空間 )」が浮上しており、大手企業の参入が相次ぐなど注目を集めている。5G時代に本格的な普及期を迎えることが見込まれるVRの動向を追った。

●TGS初のVR会場

 今月30日から10月3日までの日程で開催されるTGSは、昨年に引き続きオンライン開催となるが、今年は新たにVR会場が設置されることとなった。来場者はアバター(分身)として参加し、バーチャル上で出展企業の展示スペースやコンテンツを楽しむことができるほか、ECサイト「Amazon」と連携した物販なども行われる。この企画には、オフィシャルVRテクノロジーパートナーとして参画するNTT <9432> グループをはじめ、出展企業としてディー・エヌ・エー <2432> やガンホー・オンライン・エンターテイメント <3765> 、コーエーテクモゲームス(横浜市西区)、スクウェア・エニックス(東京都新宿区)などが名を連ねている。

 今回この会場のシステムは、電通グループ <4324> とその出資先でVRスタートアップのambr(アンバー、東京都中野区)が手掛けた。アンバーが法人向けに提供しているメタバース構築プラットフォームを活用し、大型イベントのVR化を推進するシステムを共同開発した。電通グループは今後、TGSへのシステム提供を通じて得たノウハウを生かし、イベント向けVRソリューションの展開を目指していく考えにある。

●関連銘柄をマーク

 TGSは毎年話題にのぼるイベントだけに、今回のVR会場の新設は大きな注目を集めることになりそうだ。今後、マーケットでもVRの本格普及に向けた動きに関心が向かうとみられ、関連銘柄へのマークは怠れない。

 ソフトバンク <9434> は15日、ゲームやアプリ開発などを手掛けるポケット・クエリーズ(東京都新宿区)と協業し、10月から遠隔で集合研修や作業支援ができるサービス「VR遠隔支援」を提供すると発表した。技術者不足が課題となっている製造業などでの活用を目指しており、通信ネットワークやクラウド環境もあわせて提供する。なおポケット・クエリーズは、エムティーアイ <9438> が2019年に持ち分法適用会社化している。

 サイバネットシステム <4312> は4月、ホンダ <7267> とVRを活用した新技術を共同開発したと発表、自社のVR設計レビュー支援システムに同技術を実装した。ブイキューブ <3681> は8月に、バーチャルイベントシステムを手掛ける米タッチキャストの製品を国内独占販売することを明らかにした。メタリアル <6182> [東証M]は、旅行や音楽などをVRで体験できるサービスに注力しており、ここ相次ぎ提供を始めている。このほか関連銘柄として、傘下でVR動画配信サービス「360Channel」を手掛けるコロプラ <3668> 、VR映像配信サービス「VR MODE」を提供するエムアップホールディングス <3661> をはじめ、Kudan <4425> [東証M]、ピクセラ <6731> [東証2]、メディア工房 <3815> [東証M]などに注目。

 また、ゲーム開発向けミドルウェアなどを手掛けるCRI・ミドルウェア <3698> [東証M]やシリコンスタジオ <3907> [東証M]のほか、ボルテージ <3639> 、ブロードリーフ <3673> 、ピー・ビーシステムズ <4447> [福証Q]なども押さえておきたい。

●VRの進化系「メタバース」に脚光

 エンターテインメント分野を中心に活用が進むVRだが、その進化系としてここ注目度が高まっているのが「メタバース」だ。メタバースとはインターネット上の仮想空間のことで、アバターを介して空間内を自由に移動したり、参加者同士で交流したりすることができるというもの。8月にバーチャル会議室「Horizon Workrooms(ホライゾン・ワークルーム)」を発表した米フェイスブックA<FB>をはじめ、アップル<AAPL>やマイクロソフト<MSFT>など米IT大手の動きが注目されるほか、今年3月にニューヨーク証券取引所に上場したオンラインゲーム運営の米ロブロックス<RBLX>にマーケットの視線が向かっている。

 国内では、NTTが昨年に3D空間型のオウンドメディア「DOOR(ドア)」を提供開始、KDDI <9433> も昨年から渋谷区と連携した配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」などをサービス展開している。グリー <3632> は8月にメタバース事業へ参入することを表明した。

 関連銘柄としては、メタバース自体がまだ立ち上がり途上にある新しい分野だけに、取り組みを進めている企業は限られるのが現状だ。メタバースプラットフォームの構築とその空間内で提供するゲーム開発などを手掛けるガーラ <4777> [JQ]、自治体向けWi-Fi敷設事業を展開する企業と協業し、観光名所のメタバース化や特産品のNFT化など地方創生を目指した事業に取り組む燦キャピタルマネージメント <2134> [JQ]など。また、寺院運営を行う法人と納骨堂の共同販売をはじめ、寺院のデジタルトランスフォーメーション(DX)化やメタバース化に向けて提携したGFA <8783> [JQ]などがある。

 このほか今後の展開が期待される銘柄として、まずはゲーム関連株に着目したい。特に、バーチャル空間が舞台のゲームを手掛ける企業は要マークで、ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」を販売する任天堂 <7974> 、オンラインゲーム「フォートナイト」を開発した米エピック・ゲームズに出資するソニーグループ <6758> などからは目が離せない。また、メタバース内での経済活動にNFTを活用する動きもあり、ブロックチェーンに絡む銘柄群にも目を配っておきたい。

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