【市況】明日の株式相場に向けて=米国にあるGAFAMという名の市場
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
東京市場は今週に入り動きを一変させているとはいえ、相場の波動を変えるような明確な材料が具現したわけではない。前週の日経平均の大幅な調整も、今週の切り返しも、動きこそ派手だが、波の上下動と捉えておくところで新たなトレンドは発生してない。先物の買い戻しが一巡してしまえば上値に対する過度な期待も後退する。
前日の繰り返しになるが、6月中旬以降の調整局面は、典型的な下値切り下げとなっており、日経平均はリバウンド局面で25日移動平均線の上に頭を出すのだが、そのたびにモグラたたきのように叩かれて下値模索の局面に移行する。25日線を足場に陽線を上に足していく形になって初めて波動転換の動きとなる。当然ながらそうならなければ25日線も下向きのままだ。今週27日のジャクソンホールはオンライン形式の1日開催となり、パウエルFRB議長の講演も世界的な新型コロナウイルスのデルタ株蔓延の状況下で、テーパリングを示唆する言及はないという見方がコンセンサスとなっているが、27日は実質月内最終商い日であり、日柄的にもこの前後はひとつのポイントとなる可能性がある。
市場関係者の話では、米国ではバイデン大統領の支持率がここにきて急低下しているという。傍目(はため)からはアフガン撤退問題で信用を落としているのかとも思えるが、国民目線はそこではない。「食品価格の上昇など、川上インフレが庶民の日常生活に色濃く影響を与えている。貧しきものの味方であるはずの民主党政権で、このインフレ放置は許されない、ということらしい」(ネット証券アナリスト)。コモディティ価格の上昇は超金融緩和政策の弊害であり、いったんはバブル崩壊とも言われたビットコイン価格も背景は一緒で、ここ最近は大復活して5万ドル台を回復している。コロナマネーが生んだ超金融相場は株式市場だけに与えられた冠ではない。
バイデン政権が打ち出す財政出動も巨額の資金を投入し、その意味では過剰流動性の源泉となる。コロナ禍で一度広げた風呂敷を畳むわけにはいかないから、景気対策は万難を排して遂行されるはずだが、とすれば、今後はやはりFRBの金融緩和政策に間接的な圧力がかかる可能性が高い。テーパリングの前倒し自体は蛇口を締めるわけではないので、緩和政策のベクトルの向きは変わらず、マーケットは相応に織り込むことができるが、問題となるのはテーパリングを少々早める程度で国民の不満が解消されるような状況とはなりにくいということ。つまり物価上昇に歯止めがかからないとすれば、その先の利上げが早い段階で俎上に載ってくる可能性も否定できない。スタグフレーションのシナリオをどうかわしていくのか、FRBも難しい舵取りを迫られることになる。
個別株に目を向けるとDX関連株が花盛りとなっている。9月1日発足のデジタル庁がひとつのメルクマールとなって、システム開発・運営やITソリューションを展開する銘柄群に投資資金を誘導している。アイエックス・ナレッジ<9753>やフォーカスシステムズ<4662>、アイティフォー<4743>、ニーズウェル<3992>といった銘柄が一つの太い流れの中で買われている。きょうは板の薄いクロスキャット<2307>も人気に火がついた。このほかでは、キューブシステム<2335>やシステム情報<3677>も注目しておきたい。また、AI関連の一角で業績も絶好調なサイオス<3744>は見直し余地がありそうだ。
あすのスケジュールでは、7月の企業向けサービス価格指数、20年物国債の入札など。海外では韓国中銀の金融政策発表、4~6月期米実質GDP改定値の発表など。(銀)
出所:MINKABU PRESS