【市況】ネガティブ材料重なり下げ幅500円超、米中経済指標に警戒感/後場の投資戦略
日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより
日経平均 : 27441.12 (-536.03)
TOPIX : 1922.50 (-33.89)
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は500円超安と大幅に下落。前週末の米株市場で主要株価3指数は揃って上昇していた中での日本株の大幅下落の背景には、複合的な要因があるようだ。まず、前週末に発表された8月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想外に大きく低下したことで、景気回復けん引役の米国市場での先行き楽観論に陰りが差したことが挙げられる。17日には7月米小売売上高が発表される予定だが、やや警戒感が高まっている様子。
また、前場取引時間中に発表された中国の7月小売売上高および鉱工業生産は揃って前月から悪化し、市場予想も大きく下回った。米中二大国の経済指標の下振れが、景気減速懸念を改めて高めているようだ。前週に1.35%まで上昇していた米10年国債利回りは、時間外取引で本日1.26%まで再び下げており、日本株との連動性の高い米長期金利の低下も重しとなっている。
国内の新型コロナウイルス感染状況にも歯止めがかからない。14日にかけては全国の新規感染者数が2日連続で2万人を超えるなど、感染ピークアウトどころか、警戒感が一層高まる状況となっている。また、新規感染者数よりも重要視される重症者数も増加傾向にある。厚生労働省によると、全国の重症者数は14日時点で1563人になった。重症者数は7月中旬に400人前後まで減少していたが、8月に入ってからの2週間で倍以上に増えた。緊急事態宣言の延長や対象地域の追加があれば、日本株の下押し懸念となりかねない。
さらに、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが、15日、首都カブールに侵攻し大統領府を掌握したことを受けて、短期筋が中東情勢懸念を材料に売り仕掛けている可能性なども指摘されている。
ただ、業種別では、ほぼ全面安となっているが、海運業が唯一上昇しているなど、地合いの悪い中でも一部で旺盛な物色が見られている。本日は、複合的な要因が重なった結果、短期筋主導でオーバーシュート気味に下げている可能性が高い。今晩以降の米株市場の動向などを注視する必要はあるが、これまで、日経平均は27500円割れでは度々下げ渋る場面が見られており、明日以降にかけては短期的な突っ込み警戒感からの買い戻しなども想定される。後場も引き続き軟調な地合いが予想されるが、好決算銘柄などでは逆行高していたり、下げが限定的なものが散見される。焦って投げ売りすることは避けたいところだ。
《AK》
提供:フィスコ