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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─7~8月相場は我慢のしどころか

株式評論家 植木靖男

「7~8月相場は我慢のしどころか」

●冷え込む東京市場、重しとなる市場環境

 東京市場は、戸外の猛暑とは対照的にここへきて急速に冷え込んできた。2万9000円処の“肝”を上抜けなかったことが決定的な敗因であるが、いくつかの市場環境を改めて眺めるとこの状況も納得がいく。

 1つは、オリンピック・パラリンピック(オリパラ)だ。開催に否定的な世論を振り切って強行に突き進んだがために、「日本の3つの恥」とも称される不祥事がよりダメージを深めている。すなわち、オリパラ大会組織委の会長だった森氏の女性蔑視発言、次いで佐々木宏氏の女性タレントを侮蔑するかのごとき演出案、さらに小山田圭吾氏の過去の障害者虐待報道の3つである。開会前からこれではもはや五輪崩壊寸前といったところ。海外筋の売りに拍車をかけることになった。また、コロナ変異株の感染拡大懸念もある。分科会の尾身会長は8月にも東京で3000人/日の新規感染者が出るとみる。

 五輪が終わった後、世間はよかった、と言えるだろうか。景気は相変わらず内需不振で低空飛行だ。

 では、海外環境はどうか。世界市場への影響が大きい米国市場はまだ崩れていない。だが、インフレ懸念はくすぶっているし、ワクチン接種の進展で経済は正常化に向かったが、早くもピーク感が出ているという。ワクチン接種率の上昇も鈍化している。株価指数は史上最高値を超えて日が浅いことから、なお更新期待は残る可能性は否定できないが、ここへきての下げっぷりが気になる。十分に気をつけたい。

 となると、あとは需給だ。これまで東京市場では海外からの売りに対し、個人の信用買いが相対してきたが、ここでの下げにさすがの個人の信用買いも急速に減り始めている。いつまでも押し目買いが通用するとの考えが間違っていることに気づいたかのようだ。となると、売り方は信用の投げと海外勢、一方、買い方は下げによって買いに余裕が出る年金ぐらいといった構図か。

 しかし、株価の期待材料もある。幸か不幸かワクチン普及が遅れたために、コロナ禍の経済正常化も欧米に比べ後ずれし、10-12月期に訪れるという。これは朗報だ。とはいえ、このまま素直に上昇が10-12月まで続くのかどうか。

●米国市場と五輪に対する世論の動向がカギに

 やはりカギを握るのは米国市場だ。いまインフレ率が上昇していることは事実。こうした中で、景気回復がストップすればスタグフレーションへの懸念が強まろう。長期金利が下げ止まらないことがなによりの証しと言える。

 それとポイントとなるのは、移ろいやすい人心だ。オリンピックが終わるのが8月8日。パラリンピックが始まる前に、オリパラに対する世論はどう変わるのか。これによって株価の騰落も見えてくる。まして、その後の衆院選への影響も変わってくるだろう。ひょっとしたら、若年層のワクチン接種率も浮上してくるかもしれない。好材料が好材料を呼び寄せることはよくあることだ。もちろん、逆もある。いずれにせよ、今年後半に向けての分岐点が8月、最も暑い時期に訪れることは確かなようだ。

 では、そうしたなかで物色はどう変わっていくのであろうか。前述の個人の信用買い残の動向次第では、半導体関連株の人気度合いが変化する。信用買い残が大きく減少すれば、再び日本の誇る半導体製造装置同関連部材株の人気再燃も早いかもしれない。

 しかし、一方で10-12月期以降にコロナ禍の中で景気回復のピークを迎えるとすれば、いま急落している景気敏感株にも妙味があろう。

 前者の代表は、パワー半導体への期待が大きいタムラ製作所 <6768> だ。相変わらず買い残が多く持久戦になるか。

 また、景気敏感株では日本航空 <9201> だ。そろそろ下値に届く頃合いだ。年末高を期待したい。EC事業者を顧客としているバリューコマース <2491> も妙味がありそうだ。チャートが美形だ。

2021年7月21日 記

株探ニュース

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