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【市況】明日の株式相場に向けて=ノイズに過ぎない米経済指標

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(10日)の東京株式市場は、日経平均株価が97円高の2万8958円と3日ぶりに反発に転じた。前日の米国株市場ではNYダウが3日続落し、ここ強い動きを続けていたナスダック指数も終盤失速してわずかに前日終値を割り込んで引けたことから、東京市場も冴えない展開が予想された。しかし、マイナス圏に沈んだのは寄り後1分間だけだった。そこからはプラス圏に切り返し、次第高で“地味に”水準を切り上げる展開となった。

 しかし、上値の重さは拭えない。ひとことで言えば気迷い相場が延々と続いている。とりあえず、日本時間今晩9時半に発表が予定される5月の米消費者物価指数(CPI)の結果をマーケットは固唾をのんで見守ることになる。ただ、これによってよほどのことがない限り、今月15~16日の日程で行われるFOMCにおいて、パウエル議長はテーパリングに言及することはないと思われる。足もと1.5%台を割り込んだ米10年債利回りの動向が、それを代弁している。パウエル議長は再三にわたって、今の物価上昇圧力は一過性のものであるとの認識を強く主張している。テーパリング論議は「早くても8月のジャクソンホール」というのがマーケット関係者のコンセンサスであり、足もとの経済指標はあくまでノイズに過ぎず、政策の方向性を変えるようなものではないと考えておいてよさそうだ。

 個別では、量子コンピューター関連に物色の矛先が向かうなど、新たな資金潮流が生まれている。エヌエフホールディングス<6864>やフィックスターズ<3687>など、ここ1、2年の長期波動でみても高値からかなり下押した水準にあり、目先ではなく少し長い目で見て安心して買える強みがある。そうしたなか、同じ範疇の銘柄でユビキタス AIコーポレーション<3858>なども、株価600円台と値ごろ感があり、持ち前の俊足を発揮する可能性がありそうだ。22年3月期は業績も底入れ反転し黒字化が予想されている。

 また、世界的な自動車販売の好調や電動化シフト、業界再編の流れに乗る自動車部品関連も引き続きマーク。こちらはPERやPBRなどトラディショナルな株価指標でみて、割安に放置されたバリュー株の宝庫でもある。売上高ベースで約8割をトヨタ自動車<7203>向けで占めるトヨタ系スイッチ部品メーカーの東海理化電機製作所<6995>は5日移動平均線を絡めじりじりと水準を切り上げている。少し視点を離して週足でみても13週・26週移動平均線を足場とした次の上昇ステージがイメージできそうなタイミングにある。自動車部品会社にとって、製造業最強のトヨタが親であることは大きなアドバンテージだ。

 アフターコロナ関連ではここ上値追いに拍車がかかっているサニーサイドアップグループ<2180>をチェックしておきたい。東京五輪は観客などの問題についてはまだ不透明ながら、開催される可能性が高そうだ。これを前提に考えれば、新値街道を走る同社株だがまだ上値余地が十分に残されている。時価はちょうど1年前の6月上旬につけた戻り高値871円近辺に位置している。ここを首尾よくブレークして4ケタ指向となるかに注目。

 このほか、今月2日に21年12月期通期業績予想の上方修正を発表しマドを開けて買われた後、微調整を入れているGCA<2174>も1000円近辺は怖いところだが買い場となっている可能性がある。最終利益は修正後で29億円と前期比3.4倍の高変化を見込み、意外にも配当利回りが3.5%前後と高い。また同じく、全体気迷い相場で“強い株につけ”を実践するなら、新高値圏で軽い押しを入れているエンビプロ・ホールディングス<5698>。資源リサイクルの大手だが、こちらも足もとの業績絶好調で、21年6月期は営業利益段階で前期比2.4倍の19億1800万円を見込む。

 一方、高値圏を走る銘柄には素直につきにくいというニーズも当然ある。押し目買い狙いを基本線に考えるのであれば、グローバル・ニッチトップ銘柄の一角である放電加工機メーカーのソディック<6143>や、ノイズ除去フィルター及びコンデンサーなどを手掛け5G関連として人気化素地の高い双信電機<6938>。ファブレス半導体メーカーの元祖で電気自動車(EV)や自動運転分野で活躍余地を広げるザインエレクトロニクス<6769>などに注目してみたい。

 あすはオプションSQ算出日。また、国内でのイベントは4~6月期法人企業景気予測調査などが注目される。海外では13日までの日程でG7サミットが開催されるほか、6月の米消費者信頼感指数(ミシガン大学調査・速報値)など。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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