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【特集】億マンさんはこんな人、投資スタイル別の注目指標、そして売買益期待の銘柄は

第6回 強い投資家はどんな人~日本株投資家3900人調査で解明!(データ分析・億マン編-2)

筆者/真弓重孝 = 『株探』編集部・編集統括プロデューサー
ビジネス誌、マネー誌などを経て、2018年4月にみんかぶ(現ミンカブ・ジ・インフォノイド)に入社。現在に至る。

前回に続いて、億マンさんのデータ分析編になる。

今回は、

投資スタイル別の注目指標および情報、
平均的な保有銘柄や投資期間、
今後6カ月の日本株の投資態度や方針、
売買益期待が最大&2番目に大きい銘柄、


――などを基本的に全回答データと比較しながら紹介する。まずは投資スタイル別の注目指標および情報を見ていこう。

まずは5つの投資スタイル別の注目指標および情報を見ていく(注:スタイル別の指標&情報で集計ミスがあったため、当初のグラフを割合表示を含めて変更。関連文章も修正しています)。

グロース派は「利益」「売上高」、バリュー派は「収益バリュー」「時価総額」

最大勢力のグロース派で最も多いのが、「利益の成長性」、次に「売上高の成長性」、そして3番目が「収益性の改善」となった。

回答者全体と比べると3位と4位の順番が入れ替わっている。億マンさんは「収益性の改善」「セクター・事業の成長性」の順になっている。

【タイトル】
注:回答は4つまで。回答総数と人数は、億マン102と37、全体3622と1309。合計は100%を超える。並びは億マンの降順

グロース派に並ぶ勢力のバリュー派が注目する指標&情報では、トップ3は「収益バリュー」「時価総額の水準」「配当利回り」になった。なお9つある項目の順番は全体と変わらない。

3番目の「配当利回り」では、取材した億マンさんでも注目している人が一定数いた。

その手法には、長期運用で収益基盤や財務基盤が底堅い銘柄を狙い、インカムゲインを得ながら、一定水準以上に値上がりしたら利確し、次の押し目を狙う――と安定志向で王道的なケースがあった。

一方で、配当利回りの変化を材料に、売買益を狙う独特の手法を駆使する人もいた。こちらも後日に、ケーススタディ編で紹介する予定だ。

【タイトル】
注:回答は4つまで。回答総数と人数は、億マン110と32、全体3255と1197。合計は100%を超える並びは億マンの降順

テクニカル・需給派は、大株主情報に注目する人が全体より高め

テクニカル・需給派では、「移動平均線のGC(ゴールデンクロス)・DC(デッドクロス)」「出来高の増減」「MACD(移動平均収束発散法)」の順となった。

全体と違いで目立ったのが、億マンさんの4番目に、売られ過ぎ・買われ過ぎの判断を示す「RSI(相対力指数)」が入ったこと。同指標は全体では10番目になる。RSIは『株探』のチャートでも確認できる。

値は0~100で表され、一般的に70~80以上で買われ過ぎ、逆に20~30以下で売られ過ぎと判断する。日足の場合、期間は14日間で求めることが多い(参考記事)。

なお全体の4番目は「移動平均線の乖離率」で、これは億マンさんの5番目になる。

【タイトル】
注:回答は4つまで。回答総数と人数は、億マン27と9、全体1624と513。合計は100%を超える並びは億マンの降順

イベント派では、「新高値更新」がトップで、「決算・業績」「株式分割」と「新製品・技術等」が2番目に並んだ。

億マンさんは、「株価モメンタム」への関心が高い人の割合が、全体と比べて2倍ほど高い結果となった。

【タイトル】
注:回答は4つまで。回答総数と人数は、億マン17と7、全体664と263。合計は100%を超える並びは億マンの降順

テーマ派では、億マンさんは「電気自動車(EV)」「脱炭素等」「IoT・AI(人工知能)」の順となった。

デジタルトランスフォーメーション(DX)は全体では4番目だが、億マンさんでは9番目になった点が目立つ。

【タイトル】
注:回答は4つまで。回答総数と人数は、億マン25と9、全体1083と434。合計は100%を超える並びは億マンの降順

保有銘柄数は「101以上」がトップ、信用取引の活用はやや高め

続いて保有銘柄の数、平均的な投資期間、信用取引の活用動向を見ていく。

まず保有銘柄の数は「101以上」がトップ。全体と比べると、銘柄数を多く保有する人が多い。

取材した個人投資家も、売買益狙う銘柄は数を絞る一方で、リスク分散や投資のお楽しみ目的で配当や株主優待狙いのため最初単元で多数の銘柄を保有している人がいた。

こうしたケースは、これまで紹介してきたすご腕投資家たちにも見られた。

【タイトル】
注:単独回答。回答数は億マン100、全体3920。並びは原則、左から銘柄数の小さい順

平均的な投資期間は「3年以上」の超長期が、「1カ月以上~1年未満」と並びトップだった点が、全体の傾向と大きく異なる。また「1週間以上~1カ月未満」と比較的短期の割合が全体と比べて低い点も特徴的だった。

億マンさんは超長期派が多いことは、踏まえておきたい点だ。

【タイトル】
注:回答は2つまで。回答総数と人数は、億マン140と100、全体5606と3920。合計は100%を超える
当初掲載から割合表示を変更済み


信用取引の活用では、「していない」人が44%で、全体の63%に比べて少なめ。

活用派では、「両方活用している人」が全体より高めだった。個人投資家の取材では、「売り」の活用で肉食派、草食派の双方がいた。

肉食派では、ファンダメンタルズをじっくり調べて経営破綻の可能性が高いと踏んだ場合に、空売りを活用してリターンを上げるのに成功した人がいた(このケース編は明日5月14日に掲載の予定)。

その一方で、株主優待の権利取りのクロス取引で使っている草食的な活用にとどめている人もいた。

【タイトル】
注:単独回答。回答数は億マン100、全体3920。並びは左から億マン投資家の比率が高い順

最後に回答時点で売買益期待の最大と2番目に挙がった銘柄のリストを紹介する。前回と同様、注意していただきたいのは、表の注で示したように母数が非常に少なく、順位はほぼ意味を持ちえないことだ。

■売買益期待が最大と回答した銘柄のトップ5
順位銘柄名<コード>
1三菱商事<8058>
2ソニーグループ<6758>
2任天堂<7974>
2エムスリー<2413>
5ファーマフーズ<2929>
5ソフトバンクグループ<9984>
5ENEOSホールディングス<5020>
5村田製作所<6981>
5三櫻工業<6584>
5アサヒホールディングス<5857>
5AI inside<4488>
注:回答数は45

■売買益期待が最大と回答した銘柄のトップ5
順位銘柄名<コード>
1レーザーテック<6920>
1三菱商事<8058>
1楽天グループ<4755>
1任天堂<7974>
1三井物産<8031>
1三櫻工業<6584>
注:回答数は31

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

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