【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):武田、日本取引所、ファストリ
武田 <日足> 「株探」多機能チャートより
武田薬品工業<4502>が全体波乱相場のなかもディフェンシブストックとしての強みを存分に発揮し、きょうで11連騰という異色の上げ足をみせた。日経平均寄与度の高い値がさ株の下げが全体相場を波乱に導いたが、同社は米長期金利の上昇などに影響されにくく、新型コロナワクチンに絡む思惑材料を内包しているほか、4%を超える高配当利回りであることも株価の上値追い材料となっている。
■日本取引所グループ <8697> 2,533円 +12.5 円 (+0.5%) 本日終値
日本取引所グループ<8697>は後場切り返す。正午ごろ、21年3月期の連結業績予想について、営業収益を1260億円から1330億円(前期比7.5%増)へ、営業利益を655億円から740億円(同8.0%増)へ、純利益を455億円から515億円(同8.2%増)へ上方修正して減益予想から一転して増益予想にするとともに、期末配当予想を26円から42円へ引き上げたことが好材料視された。最近の市況動向を踏まえ、前提となる1日平均の売買代金・取引高について、株券などや日経平均株価指数オプション取引の想定を引き上げたことが要因としている。なお、年間配当は68円(普通配当58円、特別配当10円)となり、前期実績に対して14円の増配となる予定だ。
■ココナラ <4176> 2,606円 +7 円 (+0.3%) 本日終値
ココナラ<4176>が大幅高。19日にマザーズ市場に新規上場し、公開価格1200円に対して2300円で初値を形成し、初日は2599円で取引を終えたが、上場2日目となるこの日は、朝方から順調に買いを集めた。同社は、個人のさまざまな分野の知識・スキル・経験に基づくサービス・役務をユーザー間で売買するマーケットプレイス「ココナラ」の運営が主な事業で、足もとではビジネス利用の多い制作・ビジネス系が伸びており、ビジネス系の伸びによる業績拡大のほか、直近IPO銘柄ならではの値動きの軽さへの期待が高まったようだ。
■アンジェス <4563> 1,088円 -98 円 (-8.3%) 本日終値
アンジェス<4563>が急反落。21日付の日本経済新聞で「2021年春の臨床試験(治験)終了を予定していたアンジェスのワクチンは、大規模な追加治験を求められたことから、治験時期の終了が遅れることがわかった」と報じられており、これが嫌気された。記事によると、条件付き承認を実質的に活用できなくなったため、追加治験が必要になるが、海外に比べ感染者数が少ない日本で数万人単位の治験を進めるのは難しく、海外での治験が必要となるという。また、実用化時期も予定していた21年中から22年以降にずれ込む見通しとしており、失望感が出たようだ。
■AOKIHD <8214> 696円 -62 円 (-8.2%) 本日終値 東証1部 下落率4位
19日に業績修正を発表。「今期経常を赤字拡大に下方修正、配当も13円減額」が嫌気された。
AOKIホールディングス <8214> が3月19日大引け後(15:30)に業績・配当修正を発表。21年3月期の連結経常損益を従来予想の30億円の赤字→84億円の赤字(前期は55億円の黒字)に下方修正し、赤字幅が拡大する見通しとなった。
⇒⇒AOKIHDの詳しい業績推移表を見る
■ルネサス <6723> 1,168円 -60 円 (-4.9%) 本日終値
ルネサスエレクトロニクス<6723>がウリ気配。主力の那珂工場(茨城県ひたちなか市)で19日に火災が発生し、車載用半導体の生産ラインが停止したことが嫌気された。生産再開には1カ月程度、正常化には3カ月超かかるとみられており、自動車メーカーの生産に影響が波及することも警戒された。同社は自動車などの機器制御に使うマイコンと呼ぶ半導体で約2割のシェアを持っている。
■ファーストリテイリング <9983> 86,890円 -4,130 円 (-4.5%) 本日終値
ファーストリテイリング<9983>が続急落、一時3600円を超える下げとなった。前週末と合わせて9000円を超える大幅安。日経平均は前週末に続き600円を超える下げで目先波乱展開となっているが、日経平均寄与度の高い同社株への売りが大きく影響している。前週末まで行われた日銀の金融政策決定会合ではETF買い入れについて年6兆円の下限撤廃だけでなく日経平均連動型を除外すると発表したことが、全体相場を大きく崩す背景となった。このほか、225先物を絡めたインデックス売りで、ファナック<6954>やダイキン工業<6367>など値がさ株への売り圧力が目立つ展開に。
■日経レバ <1570> 32,300円 -1,500 円 (-4.4%) 本日終値
NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信<1570>が続急落、一時1650円安と大きく売り込まれた。前週末まで行われた日銀の金融政策決定会合で、ETF買い入れについて年6兆円の下限撤廃だけでなく日経平均連動型を除外すると発表したことが波紋を呼び、前週末の後場に日経平均株価は波乱安の展開となったが、きょうもその流れが続いた。日経平均にリンクされたETFで変動率が2倍に基本設定されている日経レバも下値模索の動きが加速した。全体相場のボラティリティが高まると個人投資家をはじとした短期筋の売買が活況となる傾向がある。
■トヨタ自動車 <7203> 8,362円 -282 円 (-3.3%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>、ホンダ<7267>など自動車株が総じて軟調な動きを強いられた。外国為替市場では米長期金利の上昇を背景とした日米金利差拡大思惑からドルが買われ、足もとは1ドル=108円台後半の円安水準に傾いている。これは、自動車セクターにとって輸出採算改善につながる追い風材料だが、一方で半導体不足による生産調整が長引く可能性が出ており、株価の重荷となっている。車載マイコン大手のルネサスエレクトロニクス<6723>の工場火災で供給正常化には時間がかかるとの思惑がマイナス材料となった。
■アイ・ピー・エス <4390> 2,909円 -89 円 (-3.0%) 本日終値
アイ・ピー・エス<4390>は続落。前週末19日の取引終了後、従来無配を予定していた21年3月期の配当予想について、期末に10円を実施し年間配当を10円(前期無配)にすると発表したが、市場の反応は限定的のようだ。20年12月25日にマザーズから東証1部へ市場変更したことを受けて、10円の記念配当を実施するという。
株探ニュース