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【特集】Jトラスト Research Memo(3):2020年12月期は日本金融事業が好調に推移し業績を下支え(1)

Jトラスト <日足> 「株探」多機能チャートより

■業績動向

1. 2020年12月期の業績概要
Jトラスト<8508>では、ほとんどの海外子会社の決算期である12月末に決算期をそろえることで、経営情報の適時・適切な開示による経営の透明化をより一層図ることとした。決算期変更に伴い、2019年12月期は2019年4月1日から2019年12月31日までの9ヶ月間の変則決算となった。また、2020年12月期においては世界的なコロナ禍による経営環境の急激な悪化に対応して、抜本的な事業ポートフォリオ見直しに着手した。その結果、キーノート、Jトラストカード、JT親愛貯蓄銀行(株)、JT貯蓄銀行(株)、(株)KeyHolder及び同社子会社並びに同社関連会社については非継続事業に分類しており、決算では当該事業に係る営業収益、営業利益、税引前利益については除外して表示している。また、2019年12月期の関連する数値についても、遡及修正している。

2020年12月期における世界経済は、長期化する米中貿易摩擦問題や減速傾向にある中国経済、世界的な景気減速懸念等に加えて、コロナ禍に伴う経済活動停滞の影響により、極めて厳しい状況が続いている。ロックダウン(都市封鎖)や緊急事態宣言発令など各国で様々な対策が講じられているものの、経済回復への道のりは依然として先行き不透明な状況で推移している。また、わが国経済においても、コロナ禍に伴う経済活動の停滞等による景気後退懸念やそれに伴う企業の業績悪化等、影響が拡大している。緊急事態宣言解除後は段階的な経済活動再開により一時回復傾向が見られたが、未だ収束時期の目途は立たず、依然として先行き不透明な状況で推移している。

このような中で同社グループは、事業の収益性についての今後の見通しについて抜本的な見直しが必要と考えた。また、株式市場においては、企業に対する評価が会計上の資産等に基づくものではなく、将来の成長機会の先取りを重視するものとなっていることを受け止め、既存の事業ポートフォリオの価値や将来性を徹底的に見直した。上場企業として、現下の株式市場の動向を踏まえつつ、株主価値の最大化を目指すべき好機を迎えているものと考え、積極的な事業基盤強化や持続的な成長実現に向けた取り組みを実施した。

以上から、2020年12月期の業績は、営業収益32,652百万円(前期は24,728百万円)、営業損失4,752百万円(同5,130百万円の損失)、税引前損失2,978百万円(同5,526百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失5,342百万円(同3,260百万円の損失)となった。営業損益は、事業再編による非継続事業の損益を含まないこともあり損失を計上した。一方、親会社の所有者に帰属する当期損益は、JT親愛貯蓄銀行売却時に取得したNexus Bankの株式関連評価益の計上や非継続事業からの利益貢献はあったものの、 Nexus Bank株式に係る繰延税金負債の計上により法人所得税費用を計上したことなどから損失を計上した。なお、この繰延税金負債は、将来Nexus Bank株式の売却による売却益に係る税負担を会計基準に従い前倒しで計上しているものであり、繰延税金負債の範囲では、今後、Nexus Bank株式売却の都度、繰延税金負債が取り崩されるため、実際に税負担が発生した場合には税金費用は軽減され、一方で税負担が発生しない場合には、税金費用の戻入として利益計上されることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《YM》

 提供:フィスコ

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