【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):日立造、リコー、ロゼッタ
日立造 <日足> 「株探」多機能チャートより
日立造船<7004>がストップ高。4日の日本経済新聞が、「日立造船は容量が世界最大級の全固体電池を開発した。容量は1000ミリアンペア/時で同社の従来品から約7倍に増えた」と報じた。これを材料視する形で買い人気が集中した。現在の2次電池市場はリチウムイオン電池が主流だが、電解液の発火性などが課題となっており、電解液の部分を固体材料に変えた全固体電池はそのリスクを解消できるほか、電気貯蔵能力やエネルギー効率の高さから次世代電池として注目度が高い。そうしたなか、今回の報道は日立造船の株価を強く刺激する格好となった。
■リコー <7752> 1,117円 +150 円 (+15.5%) ストップ高 本日終値 東証1部 上昇率2位
リコー<7752>がストップ高。3日の取引終了後、大規模な自社株買いと自己株消却を発表しており、株式需給の好転や自己資本利益率(ROE)など資本効率の改善を評価する買いが膨らんだ。自己株式を除く発行済み株式総数の20.02%に相当する1億4500万株、1000億円を上限に、3月4日~22年3月3日の期間に取得する。株主還元の充実ならびに資本効率の向上を目的としている。また、現在保有する2000万株と今回取得する自己株全てを22年4月30日に消却する。
■第一稀元素化学工業 <4082> 1,259円 +114 円 (+10.0%) 本日終値 東証1部 上昇率4位
第一稀元素化学工業<4082>は全体相場に逆行して上値追いを加速させている。きょうで4連騰となり連日の新高値。自動車排ガス触媒や電材向けジルコニウム化合剤の大手メーカーだが、燃料電池材料や電気自動車(EV)向け2次電池材料も展開していることが注目を集めている。きょうは日立造船<7004>が世界最大級の容量持つ全固体電池の開発報道を受けストップ高に買われる人気となったこともあって、その連想買いの動きも加わっているもようだ。業績面でも21年3月期営業利益を従来予想の7億円から17億円(前期比45%減)に大幅増額しており、22年3月期は更に回復色を強める見通し。
■Jティッシュ <7774> 802円 +72 円 (+9.9%) 本日終値
ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング<7774>が急騰。3日の取引終了後、2月1日から実施していた帝人<3401>によるTOB(株式公開買い付け)が終了したと発表。帝人が議決権ベースで57.72%を保有する親会社となり、TOBに応じた富士フイルムホールディングス<4901>傘下の富士フイルムとの資本業務提携を解消することを明らかにした。同社株はTOB発表後に急騰し2月は790円前後で推移していたが、今週に入り大きく下げ前日終値は730円だった。きょうはTOB成立が好感され大きく買い優勢となった。
■ロゼッタ <6182> 2,826円 +243 円 (+9.4%) 本日終値
ロゼッタ<6182>は全体地合い悪のなか投資資金の攻勢が続き3連騰、急勾配の5日移動平均線を絡め上値追いを加速している。同社は人工知能(AI)を活用した自動翻訳サービスを展開しており、コロナ禍の新サービスとしてバーチャルリアリティー(VR)分野にも積極的に踏み込んでいる。3日取引終了後、外国語が話せなくても自由に外国人と会話できる言語フリー・スペース「友コネクト(YouConnect)」を5月からサービス開始することを発表、これを材料視する買いを呼び込んだ。
■平和 <6412> 1,815円 +149 円 (+8.9%) 本日終値 東証1部 上昇率5位
平和<6412>が続急伸。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が3日付で同社の投資判断を「ニュートラル(中立)」から「オーバーウエート(強気)」に引き上げ、目標株価を1990円から2520円へ増額しており、これを好感する買いが入った。レポートでは、従来の遊技機主体企業からゴルフ主体企業へ転換し、22年3月期以降、ゴルフが牽引する新たな収益拡大局面に入ると評価。同証券による22年3月期から25年3月期の営業利益予想について、事業環境悪化で遊技機利益を減額する一方、事業環境の好転からゴルフ利益の増額幅が上回るとみて上方修正している。
■イーレックス <9517> 1,787円 +124 円 (+7.5%) 本日終値 東証1部 上昇率7位
イーレックス<9517>が急反発。3日の取引終了後、21年3月期の連結業績予想について、売上高を958億8000万円から1367億円(前期比54.2%増)へ、営業利益を83億1100万円から152億円(同64.4%増)へ大幅に上方修正した。営業利益は従来の1割減益予想から一転して6割増益見通しとなっており、これが好感されている。売上高については、販売電力量の順調な増加により電力小売事業の売り上げが伸長したことや、卸販売の増加などが寄与した。また利益面では、自社発電所の順調な稼働や相対電源の活用などで、電源調達コストの低減が見込まれることなどが押し上げ要因となった。
■ワールド <3612> 1,378円 +59 円 (+4.5%) 本日終値
ワールド<3612>が続伸。3日の取引終了後に発表した2月度の国内小売事業売上高で、既存店売上高は前年同月比18.3%減となったものの、前月の同39.8%減に比べて減収率が大幅に改善しており、これが好感された。2月は営業日と休日数が前年同月と比べて1日少ないほか、2回目の緊急事態宣言の影響で低調な滑り出しとなった。ただ、中旬以降の気温上昇により春物商品が活発となり、最終週には既存店売上高が前年同月を超過する水準に回復したという。ブランド別では、家での過ごし方を充実させる生活雑貨ブランド「ワンズテラス」や「212キッチン」、ゴルフウェア「アダバット」が好調に推移。EC販路では、前月発生した物流センターからの一時的な出荷遅延が解消し、同17.1%増と2ケタ伸長した。
■三櫻工業 <6584> 1,034円 +38 円 (+3.8%) 本日終値
三櫻工業<6584>が全体波乱相場のなかで強さを発揮、続伸で4ケタ大台に復帰してきた。自動車配管部品などを手掛けるが、コロナ禍にあっても自動車販売は米国・中国などを中心に好調で同社の収益環境は順風に変わっている。21年3月期業績は従来予想を大幅増額、営業利益段階で7億円から31億円(前期比43%減)に修正しているが、22年3月期は回復色が一気に強まる公算が大きいとみられている。またきょうは、日立造船<7004>が前日に都内で開催された展示会で世界最大級の容量を持つ全固体電池開発に成功したことを明らかにしたと伝わり、一時ストップ高に買われる人気となった。三桜工も同社が出資する米ソリッドパワーが全固体電池を開発・出荷していることで、全固体電池関連の一角として改めて注目が集まったことも株価を刺激しているもようだ。
■スターゼン <8043> 4,485円 +140 円 (+3.2%) 本日終値
スターゼン<8043>は大幅続伸。3日の取引終了後、3月31日を基準日として1株を2株に株式分割すると発表したことが好感された。投資単位当たりの金額を引き下げることで、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を図ることが目的としている。
株探ニュース