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【市況】出遅れ物色に「海運」の示す先行き/後場の投資戦略

日経平均 <1分足> 「株探」多機能チャートより

日経平均 : 28730.97 (+389.02)
TOPIX  : 1886.81 (+21.69)


[後場の投資戦略]

 前日の米国市場ではNYダウが4日続伸し、S&P500指数とナスダック総合指数は過去最高値を更新した。本日のアジア市場では香港ハンセン指数が大幅反発しており、日経平均もこうした海外株高を背景に強含みの展開となっている。米個人投資家の過剰投機、中国人民銀行(中央銀行)の金融引き締め観測など様々な不安材料を抱えつつも、やはり「目先は強気」のスタンスに変更はないだろう。

 前日は香港ハンセン指数や上海総合指数が値を崩すとともに、日経平均も後場一段安となったが、香港ハンセン指数などは引けにかけてやや持ち直した。この日の日経平均先物の手口を見ると、ゴールドマン・サックス証券が売り越す一方、クレディ・スイス証券は買い越し。1月第4週(25~29日)の投資部門別取引状況で外国人投資家は日経平均先物を1600億円売り越していたが、今週に入ってからの買い戻しは緩やかなものにとどまっている感がある。実際、今週2日以降の日経平均先物の売買高はやや低調で、V字回復を演出したのは主に「現物株買い」だったのだろう。引き続き前日のようにアジア株安とともに下へ振らされる場面は出てくるかもしれないが、それも落ち着いてくれば日経平均先物の売り持ち解消の動きが一段と広がる可能性がある。

 さて、物色動向としては出遅れていた自動車株、空運株などの上昇が目立つ。決算を受けて急伸しているマツダなどを見ると、こうした出遅れ銘柄の業績改善に対する期待が高まるところだろう。一方でエムスリーや村田製の弱さが目を引くが、グロース・ハイテク株が軒並み売られているわけではなく、株価位置や株式需給に着目した物色と考えられる。川崎船などが軟調とあって、バリュー(割安)セクターでも海運業は逆行安だ。ただ、郵船<9101>は小幅ながらプラスを確保している。

 昨年後半、急ピッチの上昇を演じた海運株のこうした動きは示唆に富む。足元で出遅れ修正中の銘柄についても、循環的な業績回復を見届けた後は個別評価によって株価の強弱が分かれそうだ。

 なお、新興市場ではマザーズ指数が5日ぶりに反落しているが、今年最初のIPO(新規株式公開)銘柄であるQDレーザ<6613>はまだ買い気配のまま初値が付いていない。公募・売出しによる吸収金額が50億円超(オーバーアロットメントによる売出し含む)とマザーズ上場案件としてはまずまず大きいが、半導体レーザー技術のスタートアップ企業として注目度が高く、レーザアイウェア(メガネ型ディスプレイ)事業の急速な立ち上がりにも期待がかかる。既存銘柄の上値追いに慎重姿勢が広がるなかでIPO銘柄に物色の矛先が向きやすいとも考えられるが、個人投資家の物色意欲の強さを示しているとみていいだろう。(小林大純)
《AK》

 提供:フィスコ

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