【特集】筆記試験も面接も自宅、「オンライン試験」普及で活躍必至の有望株特選 <株探トップ特集>
コロナ禍により、入試や資格試験にもオンライン化の流れが波及している。不正防止の観点から敬遠されがちだったペーパーテストも、AIを用いたサービス導入で普及が進みそうだ。
―従来の実施方法による3密リスクを回避、受験シーズン目前に注目度は急上昇へ―
入学試験や資格試験などを、インターネットを使い自宅から受ける「オンライン試験」がコロナ禍で注目されている。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、より一層の3密回避が求められている状況下、大人数が一斉に会場に集まって受験を行う従来の試験のあり方も見直しを余儀なくされている。既に、面接試験においては ビデオ会議システムを活用して遠隔で行うことも多くなってきている。これに加え筆記試験においても、カンニングなどの不正を防ぎつつ、オンラインでの受験を可能にする取り組みが目立ってきた。これからシーズン本番を迎える入試をはじめ、各種資格・検定試験、企業内テストなど、ウィズコロナ環境の長期化が予想されるなか、さまざまな場面で行われる試験をオンライン化する流れが強まっていきそうだ。
●オンライン実施の動き広がる
仙台育英学園は6日、運営する秀光中学校の入試の一部をオンラインで行うと発表した。首都圏1都3県への緊急事態宣言発出に伴い、同校と都内の大学施設で実施予定だった筆記試験を自宅での受験に変更した。大学入試では、日本経済大学が2021年度入学試験にオンライン入試を導入している。総合型選抜や一般選抜などすべての入試で、来校型かオンラインかを選ぶことができ、オンラインでの実施にはビデオ会議システム「Zoom」を活用する。5日には、一部のオンライン入試に、EduLab <4427> が提供するオンライン試験監督システムを導入することを発表した。同システムは、大正大学が昨秋に実施したオンライン入試でも導入されている。
そのほか、英語検定試験「TOEIC」を実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(東京都千代田区)は、昨年4月から団体受験に限り、同試験をオンラインで受けられる制度を開始している。このオンライン試験には、リモートで本人確認や試験中のモニタリングを行うサービスを導入しているが、更に今年3月からは人工知能(AI)を用いた試験監視サービスを開始する予定だ。
●AI活用し不正防止へ
エデュラボは、昨年7月からAIを活用したオンライン試験監督システム「Check Point Z」を展開している。目線の動きを追うアイトラッキングなどの技術を用いており、試験実施中の受験者の様子やパソコンの操作ログなどをすべて記録することで、厳密な本人確認や不正行為チェックが可能になるという。同サービスは、旺文社(東京都新宿区)と提携して大学向けへの販売を進めており、既に前述した2大学への導入が実現した。また、日本英語検定協会(東京都新宿区)と共同で、「英検」を在宅で受験できる新サービスの提供に向けた開発にも着手している。同社の業績は高成長が続いており、21年9月期の連結営業利益予想は、前期比17.7%増の22億円と2ケタ増益が継続する見込み。
ユーザーローカル <3984> は昨年4月、オンライン試験でのカンニング行為を自動検出するシステムを開発した。ディープラーニングによる視線・人物・年齢・姿勢の推定、物体検出といったAI技術により、受験者のパソコンのWebカメラやスマホカメラ映像から不正行為を自動で検知するという。同システムは、他社サービスへの技術提供や民間検定試験での採用実績があり、今後の業容拡大に期待ができそうだ。
●関連システム手掛ける企業も要マーク
企業向け適性検査テストや人事評価ツールなどを手掛ける日本エス・エイチ・エル <4327> [JQ]は、Web上で受験が可能な新卒採用向け適性テスト「C-GAB plus」を提供しており注目したい。同社が昨年10月に発表した20年9月期単独決算は、売上高29億6400万円(前の期比1.7%増)、営業利益13億9100万円(同13.2%増)だった。顧客企業が3密リスクの高い会場テストを避け、Webテストを採用したことから会場費用などが減少し、これが業績の押し上げにつながった。21年9月期は売上高、営業利益ともに小幅ながら増加を予想しており、これにより12期連続での増収増益を達成する見込みだ。現在の株価は昨年9月の上場来高値2608円に迫る水準で、商い薄である点には注意が必要だが、面白い存在といえそうだ。
ODKソリューションズ <3839> は、独立系のシステム開発会社で教育や金融、医療関連のサービスなどを手掛けている。同社が強みを持つ教育分野では、Web出願システムや動画面接サービスのほか、入試業務におけるさまざまなサービスを提供しており、オンライン試験の普及で商機を捉えそうだ。株価は12月下旬、東証2部から1部への市場変更を発表したことを受け急伸し、その後も昨年来高値圏で堅調な展開を続けている。足もと業績はさえないが、これは同社の業績が下期偏重であることによるもので、期末決算に向け後半の巻き返しを株価が織り込みにいく展開が見込まれる。
企業向け販促物制作や学生募集に関わる広報業務を展開するアクセスグループ・ホールディングス <7042> [JQ]は、子会社のアクセスネクステージがオンライン面談・面接のスムーズな運営を実現するシステム「AeOS(イオス)」を運用している。同システムは、桜美林大学と連携し開発したもので、受験生への個別通知やスケジュール設定、個人の認証特定、不正防止、ネット環境の確認など、オンライン実施におけるさまざまな業務を効率化するという。同社では今後、導入校の拡大に取り組むとともに、キャリア支援分野の学内合同企業説明会などでの活用も視野に入れて機能を拡張し、学校教育機関のオンライン対応を支援していくとしている。
これ以外では、パーソルホールディングス <2181> のグループ会社が、人によるリアルタイム監視と、受験申し込みから結果通知までをトータルサポートするIBT(インターネット検定試験)サービスを昨年12月から開始している。リクルートホールディングス <6098> 傘下のリクルートマネジメントソリューションズは、企業の採用活動などで利用される適性検査「SPI」を手掛けており、マークシート方式に加え、パソコンでの受検にも対応している。
そのほか、Webテストシステムなど教育関連のサービスを手掛けるグループ会社を持つ内田洋行 <8057> 、傘下企業がインターネット試験の導入支援サービスなどを行っているナカバヤシ <7987> 、19年から「Web試験配信プラットフォーム」のクラウドサービスを提供している日本サード・パーティ <2488> [JQ]なども関連銘柄としてマークしておきたい。
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