市場ニュース

戻る

【特集】迫る米バイデン新政権発足、「ブルーウェーブ」相場の行方を探る <株探トップ特集>

今月20日にバイデン新政権が誕生する。上下両院を民主党が制したことで、大型インフラ投資などの政策は通りやすくなった。その一方、金利の上昇が懸念要因に浮上している。

―民主党の政策実現の期待高まるが金利上昇懸念、年後半に不透明感残る―

 今月20日に民主党のジョー・バイデン氏が米大統領に正式就任する。これに伴い、共和党のトランプ政権は終わり、この先4年間にわたるバイデン政権時代が始まる。足もとでは民主党が大統領に加え上下院の議会選挙も制したことが好感され、NYダウは最高値を更新している。新政権を評価する「ブルーウェーブ」相場は、いつまで続くのか。

●米ジョージア州上院決選投票を経て株価は一段高に

 11日のNYダウは前週末に比べ89ドル安の3万1008ドルと5日ぶりに反落した。それまで連日の最高値に沸いていただけに、利益確定売りが優勢となった格好だ。ただ、NYダウは、昨年11月3日の米大統領選後の2ヵ月強で約13%上昇し、11月下旬には初の3万ドル乗せも達成している。特に、市場の注目を集めた1月5日の米ジョージア州の上院決選投票では民主党が残る2議席を獲得。民主党が大統領に加え、上下両院の過半数を握る「ブルーウェーブ」が実現した。大統領と議会を民主党が制覇することは、増税懸念が高まることもあり、市場にはマイナス材料とみる声もあった。しかし、「民主党の主導による積極的な財政政策が見込める」(市場関係者)と期待する見方は多く、ジョージア州での選挙結果は前向きに評価されている。

 「足もとの米株価は、やや期待先行の感もあるが、市場は追加経済対策やインフラ投資などを織り込む動きを強めている」とフィリップ証券の笹木和弘リサーチ部長は指摘する。「民主党政権による増税や規制強化などの具体的な話が出てくるのはまだ先だろう」ともみている。

●最初の試金石は追加経済対策の動向

 また、バイデン政権の動向をみるうえで、まず注目されるのは「米追加経済対策の行方だと思う」と上田ハーローの山内俊哉執行役員は予測する。バイデン次期大統領は14日にも「数兆ドル規模」の追加経済対策を新政権の発足を前に議会に提案すると報道されている。数兆ドルの具体的な数字が気になるが「市場は2ケタに近い1ケタを期待しているのでは」(山内氏)との見方がある。7~9兆ドル前後が期待され、規模が小さいようなら出尽くし感が出てくることもあり得る。

 バイデン次期政権は雇用創出を最大の政策課題としているといわれる。この米追加経済対策が市場の評価を得ることができるかは最初の試金石になりそうだ。更に20日の新大統領就任式を経て、市場の関心は来月以降に予想される一般教書や予算教書の内容などに向かいそうだ。

●米国の「パリ協定」復帰は環境関連株の追い風に

 一方、バイデン次期大統領は就任とともに気候変動対策の国際的な枠組みである「パリ協定」に復帰することを表明している。このことは、再生可能エネルギー関連株などにはポジティブ材料となることが期待されている。また、新政権は4年間で2兆ドルの巨額インフラ投資も計画している。米国では、 環境関連のネクステラ・エナジーやファースト・ソーラーといった銘柄が堅調なほか、 公共投資関連のキャタピラーやバルカン・マテリアルズなどが値を上げている。日本でも環境関連のオリックス <8591> やエフオン <9514> 、サニックス <4651> など、公共投資関連でコマツ <6301> や太平洋セメント <5233> 、三菱マテリアル <5711> などが注目されている。

 前出の笹木氏は「民主党の巨額な財政支出を評価するうえで、グロース株からバリュー株への物色のシフトが進むかもしれない」ともいう。アップルやアルファベット(グーグル)、アマゾン・ドット・コム、フェイスブックといったGAFA株の行方は、プラットフォーマー規制の動向などに左右されそうだ。米株式市場には1月は株が上がりやすいというアノマリー(経験則)の「1月効果」という言葉もある。そのなか今後、春先に向けてNYダウは3万2000ドル乗せからの一段高を意識する展開も予想される。ただ、「現在1.8%台にある米30年債利回りが2%を超えてくると警戒感が出てくるかもしれない」(笹木氏)との声もある。

●イエレン氏とパウエル氏の政策手腕が問われる局面も

 第一生命経済研究所の嶌峰義清首席エコノミストは「米12月雇用統計などが振るわず経済の先行きに不透明感が台頭しているだけに、民主党の財政政策が通りやすくなったことを足もとの市場は、素直に評価している」という。ただ、「コロナワクチンの効果が出て、給付金が積み増され個人の消費が回復基調に入り景気が堅調になってくれば、年後半に向けての市場の関心は、米連邦準備制度理事会(FRB)のテーパリング(量的緩和縮小)を意識したものになることもあり得る。民主党の増税策が浮上するかもしれないし、新政権の対中政策も不透明だ。年前半はいいが、後半の株価は上がりにくくなるかもしれない」と指摘する。

 特に、「長期金利の上昇が続けば、株式市場から債券市場に資金の流れが変わることもあり得る。その意味で、金利上昇を抑えながら歳出拡大を維持できるかがポイントだ」とみる。こうしたなか、新財務長官に指名されたイエレン前FRB議長と現職のパウエルFRB議長とのコンビによる政策手腕も高い関心を集めそうだ。

株探ニュース

日経平均