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【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (32)総悲観の時も、熱狂に包まれた時も、株価は本来の企業価値を基準に動いている【市場マップ】

「ターゲットプライス」をトレードに活かそう
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆PBR分布マップ、純資産を基に割高・割安を判断する

 次に「PBR」をみていきましょう。PBRは「Price Book-value Ratio」の略称であり、「株価純資産倍率」とも呼ばれる投資尺度です。PBRは純資産を基に株価の割高・割安を判断する投資尺度で、「株価÷1株当たり株主資本(純資産)」で計算することができ、単位は倍となります。PBRはマーケットが評価した株価(時価総額)が、会計上の解散価値(株主資本)の何倍であるかを表します。1株当たり株主資本は、仮に会社が解散した場合、1株主に資産がどの程度配分されるかを意味しています。

 一般的にPBRの値が大きければ大きいほど割高、小さければ小さいほど割安となります。PBR1倍は、株価と株主資本が等しい、プラスマイナスゼロの状態であることを表し、会計上の解散価値にあたります。もし、PBRが1倍を割り込んでいる(=解散価値を下回る)のならば、会社を解散して資産を分配した方が株主にメリットがある状況といえます。この場合、株価が過小評価されている可能性があり、適性水準への修正が期待できるのではといった判断をすることも可能なわけです。

 PBRの分布マップでは、純資産を基に各業種にどれだけ割高(割安)な銘柄が分布しているのかが一目でわかります(図5)。PBRの数値で「0.5倍以下」から「2倍以上」を11段階に分け、濃い緑色から濃いオレンジ色まで濃淡をつけて識別しています。緑(割安)はPBRの数値が小さくなるほど濃くなる一方、オレンジ色(割高)は数値が大きくなるほど濃くなります。なお、グラフ中の赤い「×」は債務超過の状態であることを表しています。

図5 11段階に色分けされた「市場マップ」のPBR分布マップ(東証1部)
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 PBRの分布マップ内の小さな四角形の上にマウスのポインタを移動すると、業種と市場、コード番号、銘柄名、株価、上昇・下落率、PBRの値をポップアップウインドウで確認することができます。この四角形のマス目をそのままクリックすると、個別銘柄の「基本情報」ページに移動します。

 「PBR」の項目を「東証1部」で表示させると「情報・通信」「電力・ガス」「サービス」で濃いオレンジ色が目立ちます。PBRから見るとこれらの業種が割高な水準まで買われていることがわかります。「新興市場」でみても、同様に「情報・通信」「サービス」が割高な水準まで買われています(図6)。「情報・通信」「サービス」の状況からはテレワークやEC(電子商取引)、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった新型コロナ対応の需要を取り込んで、ハイテク関連を中心に上場市場に関係なく関連企業が買われたことがわかりますね。

図6 「新興市場」のPBR分布マップ
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