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【特集】海外投資家、景気敏感株「日本」を本格評価 世界的なワクチン相場に乗る <株探トップ特集>

日経平均株価は11月に入り一気に上放れに転じた。この牽引役を果たしているのが海外投資家だ。例年、年末にかけて海外投資家は攻勢を強めるだけに一段の上昇も期待できる。

―「物言う株主」など積極攻勢で上値余地、TOPIXベースで出遅れ感強い―

 東京株式市場が新たな上昇相場に突入している。日経平均株価は11月に入るとともに、一気に上放れに転じ2万6000円台へと駆け上がった。米大統領選が終わり不透明感は後退したほか、新型コロナワクチンの開発期待が膨らみ、経済正常化への思惑も高まっている。とりわけ、足もとの株式市場を牽引しているのが海外投資家だ。海外投資家は「世界の景気敏感株」として日本株を見直し始めており、年末にかけ買い攻勢を続ける可能性が高い。

●売り方の買い戻し流入し踏み上げ相場の様相強まる

 3連休明けとなった24日の日経平均株価は、前週末に比べ638円高の2万6165円と急伸して取引を終えた。一時、2万6261円と1991年5月以来、29年半ぶりの高値圏に上昇した。英アストラゼネカが、開発中の新型コロナワクチンの有効性は最大90%を確認したと発表した。また、米国の新財務長官にイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)前議長が有力と報じられた。足もとで東京株式市場は一気に上昇基調を強めているが、「先物を通じて売り方の買い戻しが入ったようだ」(市場関係者)との見方も少なくなく、市場は踏み上げ相場の様相を呈している。更に、「海外投資家の買いが全体相場を押し上げている」(市場関係者)との声は多い。

●足もとで海外投資家は2週連続で現先合計1兆円の買い越し

 実際、東京証券取引所が発表する投資部門別売買動向でも海外投資家の買い姿勢が目立つ。11月第2週(11月9~13日)は3842億3875万円と2週連続の買い越し。現物と先物を合計した現先ベースでは2週連続で1兆円の買い越しとなっている。短期売買のヘッジファンドなどは、売り姿勢から買いに転じているとみられるほか、中長期投資の年金や投信なども日本株に見直し買いを入れている様子だ。

 ワクチン開発への期待も高まり、先行きの経済正常化への思惑も膨らむなか「製造業が強く世界の株式市場のなかでも景気敏感株とみられている日本株に対する見直し買いが入っているようだ」(アナリスト)との観測が強まっている。ただ、足もとでは買い越してきたとはいえ、海外投資家は年初からみれば現物株ベースで4兆6000億円強売り越している。日本株をアンダーウエートとしている海外投資家は少なくなく、「ここから買い増す余力は十分あるだろう」(市場関係者)との見方は多い。とりわけ年末に向けては例年、海外投資家が買い姿勢を強める時期だ。

●TOPIXベースではようやく新高値

 なかでも、市場の関心を集めているのが、出遅れ感が強かったTOPIXが、ようやくこの日に年初来高値を更新したことだ。一部値がさ株の上昇に牽引される形で、日経平均株価が29年ぶり高値まで買い上げられた。しかし、TOPIXベースでは本格的な上昇基調に入ったばかりであり、「18年1月高値(1911ポイント)を視野に入れても、まだ上値余地は大きい」(アナリスト)とみられている。

 TOPIXの見直しで、時価総額の大きな三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> など銀行株やトヨタ自動車 <7203> 、ホンダ <7267> など自動車株、伊藤忠商事 <8001> や三菱商事 <8058> など大手商社株に今後本格的な出番が出てくることも予想される。また、鉄鋼 機械海運など景気敏感株に買い余地が膨らんでいる。

●オアシスなど「物言う株主」の積極攻勢も続く

 では、具体的に海外投資家はどんな銘柄に買いを入れているのだろうか。米運用大手キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントは足もとで、スクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> や日本M&Aセンター <2127> 、寿スピリッツ <2222> 、ディップ <2379> などを買い増している。Zホールディングス <4689> やメルカリ <4385> [東証M]などの大株主にもなっている。JPモルガン・アセット・マネジメントはピーバンドットコム <3559> やインフォマート <2492> 、ギフティ <4449> [東証M]などに投資し、弁護士ドットコム <6027> [東証M]やラクスル <4384> などの大株主に名前を連ねている。

 「アクティビスト(物言う株主)」として知られる英投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズは日本触媒 <4114> や日本化薬 <4272> 、奥村組 <1833> 、住友重機械工業 <6302> 、三菱マテリアル <5711> を買い増している。香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントはサン電子 <6736> [JQ]やサンケン電気 <6707> 、東京ドーム <9681> などの大株主となっている。旧村上ファンド出身者が設立しシンガポールに本拠を置くエフィッシモ・キャピタル・マネージメントは近畿車輛 <7122> やデクセリアルズ <4980> 、富士紡ホールディングス <3104> 、不動テトラ <1813> 、大阪製鐵 <5449> などに投資しており、海外ファンドの動向にも注目したい。

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