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【特集】USJが第1号、チケット販売開始で「Go To イベント」の号砲鳴る! <株探トップ特集>

「Go To イベント」が本格スタートした。「Go To キャンペーン」は「トラベル」「イート」も関連業界活性化に一定の効果があっただけに「イベント」にも関心が高まっている。

―音楽ライブや映画、スポーツ観戦の代金2割引き支援でイベント客数の回復加速に期待―

 「Go To キャンペーン」が盛り上がりを見せている。同キャンペーンは、「トラベル」「イート 」「イベント 」「商店街」の4つのキャンペーンからなり、「トラベル」「イート」はスタート当初こそ混乱があったものの、人の動きを活発化させ、地域を活性化させる一定の経済効果を生み出している。特に「Go To トラベル」に関しては、公明党が事業の実施期間を2021年春の大型連休が終わるまで延長するよう申し入れ、政府も延長する方向で検討していると伝わっており、更なる効果に期待が持たれている。

 この「トラベル」「イート」に続いてスタートするのが、文化芸術やスポーツなどの入場料を割り引く「Go To イベント」と、商店街が企画したイベント費用などに支援金を出す「Go To 商店街」で、団体を支援する「商店街」とは異なり、「トラベル」「イート」と同様に個々の出費に対して支援を行う「イベント」は消費者の関心も高い。

 折しも、映画館では社会現象ともなっている「鬼滅の刃」が上映中であり、文化芸術やスポーツなどの盛り上がりが期待されている。こうしたなかでのキャンペーンスタートだけに、大きなインパクトを与えそうだ。

●「Go To イベント」とは

 「Go To イベント」は経済産業省の制度概要によると、イベント主催者と参加者の双方の人々に対して、「『新たな生活様式』を取り入れたイベントの開催方法や楽しみ方」=「新たなイベントのあり方」への認識や関心を促し、社会に普及・定着させることが狙いという。ここでいう「新たな生活様式」は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の実施を促し、3密(密閉・密集・密接)リスクを回避した生活様式のことで、これに対応した新たなイベント手法の推進と定着を促すとしている。

 主な事業内容としては、チケット代金の割引やクーポンの付与などで、チケット代金の2割相当分の割引支援、またはチケット代金の2割相当分の会場などでの物販で利用できるクーポンの付与となっている。消費者がイベントに参加する販売会社からチケットを購入すると、割引やクーポンなどの特典が受けられる仕組みで、21年1月31日にまでに行われるイベントが対象だ。

 対象となるイベントの種類は、全国で行われる音楽コンサートやライブ、歌舞伎などの伝統芸能、演劇、ミュージカル、映画館、博物館、美術館、遊園地、展示会、野球やサッカーなどのスポーツ観戦、マラソン大会などのスポーツイベントなど。また、新型コロナウイルス感染防止に対応する無観客ライブ配信などの新たな形式のイベントも対象となる。

 経産省は10月26日、イベント主催事業者の募集を開始したが、29日には第1号としてユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が決まったと発表した。30日にチケット販売を始める11月4日分から12月31日までの入場券を2割引きで買えるようになるという。

●チケット販売会社に注目

 「Go To イベント」キャンペーンでメリットを受けるのは、まずチケット販売会社だろう。

 ぴあ <4337> は、会員数1750万人、年間7500万枚のチケット発券の実績(19年度)を有する国内最大手クラスの「チケットぴあ」を展開している。第1四半期(4-6月)連結業績は、新型コロナウイルス感染症の影響により全国規模で興行やイベントの中止・延期が広がり、営業損益は赤字に転落。11月中旬に発表予定の上期業績も厳しい数字が予想されるが、下期は「Go To イベント」によるプラス効果に期待が持てる。また、5月にライブ配信サービス「PIA LIVE STREAM」をスタートさせたことや、10月26日にスマートフォンアプリ「チケットぴあ」をリリースしていることも注目したい。

 ローソン <2651> は、マルチメディア端末「Loppi」での販売や電子チケットによる購入を可能にした「ローソンチケット」のほか、ライブ配信サービス「ローチケ LIVE STREAMING」なども展開している。上期(3-8月)連結決算は、営業利益が166億9000万円(前年同期比54.6%減)で着地し、なかでもエンターテインメント関連事業はイベント中止や延期によるチケット取り扱いの減少などが響き減益の大きな要因となった。ただ、チケット取扱高は6月を底に回復基調にあり、「Go To イベント」がこれを加速させることが期待されている。

 エムアップホールディングス <3661> は、電子チケット「チケプラ」のほか、ライブ配信サービス「StreamPass」を展開している。第1四半期(4-6月)決算は、ライブやコンサートのほとんどが中止・延期されたことを受けて電子チケット事業が落ち込んだが、ファンクラブサイト運営やデジタルコンテンツ配信を行うコンテンツ事業やグッズ販売などを行うEC事業などが伸長し、営業利益は2.3倍に拡大。11月中旬に発表される上期業績も要注目だ。

●イベント主催者にもメリット

 また、「Go To イベント」キャンペーンでイベントに人出が戻ってくれば、主催者にもメリットが大きい。

 アミューズ <4301> は、福山雅治やサザンオールスターズ、星野源などを擁する大手芸能プロダクションだが、新型コロナウイルス感染症の影響で、第1四半期(4-6月)は、ライブイベントや舞台公演などの開催を自粛、それに伴いグッズなどの販売も減少し、業績は大きく落ち込んだ。ただ、ライブや舞台などは徐々に再開しており、「Go To イベント」が追い風になると期待されている。

 また、音楽ライブに強みを持ち、チケット予約・購入・委託販売・イベント告知などのサービスを行う「Live Pocket」を運営するエイベックス <7860> 、傘下に新日本プロレスや女子プロレス団体のスターダムを有し、2.5次元舞台なども手掛けるブシロード <7803> [東証M]、同じく2.5次元舞台を手掛けるボルテージ <3639> 、アエリア <3758> [JQ]などにもメリットがありそうだ。

 更に、9月28日に「美女と野獣」をテーマとした新エリアをオープンしたオリエンタルランド <4661> や、プロ野球で読売巨人軍のセ・リーグ連覇目前で集客増が期待できる東京ドーム <9681> などにも注目したい。

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