【特集】ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (30)大株主の動きから、株式市場のトレンドをつかもう【日本の株主】
大株主の動きは株価動向に影響を及ぼす
◆日本株の大株主でもあるGPIF・日銀
個人投資家のみなさん、こんにちは! 株が大好き、認定テクニカルアナリストの横山利香です。
日本国内では観光業向けに「Go Toトラベル」、飲食業向けに「Go Toイート」といった具合に、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ景気を回復させるためのさまざまな支援策が実施されています。「Go Toトラベル」ではようやく東京都民も対象となり、「待っていました!」と待ち望んでいた人も多いかもしれません。自粛生活を強いられたことによる景気悪化に耐えられずに閉店していくお店がある一方で、これを機に新たに開店するお店も表れています。ニューノーマル(新常態)と呼ばれる日常生活の変化が経済活動の新たな動き(ダイナミズム)につながっていくわけですから、今後、株式市場にどのような影響を及ぼしていくのか注目しておきたいところです。
日経平均株価は10月9日に2万3725円まで上昇し、コロナショック後の高値を更新する強い動きが続いています。その一方で、個人投資家の体感では地合いは日経平均株価が示す強さほどは良くないと感じている人が多いかもしれません。というのも、代表的な株価指数の一つであるTOPIX(東証株価指数)は、コロナショック後の高値圏の水準にあるものの、日経平均株価ほど強い地合いではないからです。
この背景としては、日経平均株価とTOPIXの構成銘柄の違いがあります。TOPIXは東証1部上場の全銘柄を対象としていますが、日経平均株価は日本経済新聞社が東証1部に上場している企業の中から独自の基準で選定した225銘柄を対象としています。日経平均株価にはハイテクを中心とする値がさ株の影響を受けやすいという特徴があり、指数寄与度の高い一部の銘柄が買われることで指数は押し上げられやすくなります。一方、TOPIXは東証1部の全上場銘柄を対象に時価総額加重により算出されるため、時価総額の大きい銀行など内需株の影響を受けやすいとされています。このため、ハイテク株優位の地合いでは総じて日経平均株価のパフォーマンスがTOPIXより良くなる傾向があります。
日経平均株価に比べるとやや物足りなさはありますが、TOPIXも高値圏にあります。この背景には日本銀行が異次元緩和の一策として、リスク資産であるETFの購入を行ってきたことの影響も大きいといえます。日銀が買い入れているETFの多くはTOPIX連動型であるといわれています。日銀によるETF買い入れは株価を下支える一方で、市場のダイナミズムを失わせているのではとの指摘もあります。日銀が実質的に(ETFを通じて間接的に保有することで)上位10以内の大株主となっている上場企業は全体の5割を超えていると推測され、年内に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をも上回る、事実上、日本最大の株主に躍り出ると予想されています。
日銀は直接に企業の株式を保有するものではありませんが、ETF買い入れを通じてマーケットに大きな影響を及ぼしています。もちろん、日銀ばかりが大株主というわけではなく、さまざまな機関投資家や企業、個人投資家が大株主として市場に関わっており、その売買は株価の行方にインパクトをもたらします。大株主がどのような個別銘柄を買い、保有し、そして売るのかに注目しておくことが大切になります。
そこで今回は、マーケットの動向に影響を及ぼす大株主たちを株探で探る方法を解説していきます。
株探ニュース
横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)
◆日本株の大株主でもあるGPIF・日銀
個人投資家のみなさん、こんにちは! 株が大好き、認定テクニカルアナリストの横山利香です。
日本国内では観光業向けに「Go Toトラベル」、飲食業向けに「Go Toイート」といった具合に、新型コロナウイルス感染症により落ち込んだ景気を回復させるためのさまざまな支援策が実施されています。「Go Toトラベル」ではようやく東京都民も対象となり、「待っていました!」と待ち望んでいた人も多いかもしれません。自粛生活を強いられたことによる景気悪化に耐えられずに閉店していくお店がある一方で、これを機に新たに開店するお店も表れています。ニューノーマル(新常態)と呼ばれる日常生活の変化が経済活動の新たな動き(ダイナミズム)につながっていくわけですから、今後、株式市場にどのような影響を及ぼしていくのか注目しておきたいところです。
日経平均株価は10月9日に2万3725円まで上昇し、コロナショック後の高値を更新する強い動きが続いています。その一方で、個人投資家の体感では地合いは日経平均株価が示す強さほどは良くないと感じている人が多いかもしれません。というのも、代表的な株価指数の一つであるTOPIX(東証株価指数)は、コロナショック後の高値圏の水準にあるものの、日経平均株価ほど強い地合いではないからです。
この背景としては、日経平均株価とTOPIXの構成銘柄の違いがあります。TOPIXは東証1部上場の全銘柄を対象としていますが、日経平均株価は日本経済新聞社が東証1部に上場している企業の中から独自の基準で選定した225銘柄を対象としています。日経平均株価にはハイテクを中心とする値がさ株の影響を受けやすいという特徴があり、指数寄与度の高い一部の銘柄が買われることで指数は押し上げられやすくなります。一方、TOPIXは東証1部の全上場銘柄を対象に時価総額加重により算出されるため、時価総額の大きい銀行など内需株の影響を受けやすいとされています。このため、ハイテク株優位の地合いでは総じて日経平均株価のパフォーマンスがTOPIXより良くなる傾向があります。
日経平均株価に比べるとやや物足りなさはありますが、TOPIXも高値圏にあります。この背景には日本銀行が異次元緩和の一策として、リスク資産であるETFの購入を行ってきたことの影響も大きいといえます。日銀が買い入れているETFの多くはTOPIX連動型であるといわれています。日銀によるETF買い入れは株価を下支える一方で、市場のダイナミズムを失わせているのではとの指摘もあります。日銀が実質的に(ETFを通じて間接的に保有することで)上位10以内の大株主となっている上場企業は全体の5割を超えていると推測され、年内に年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)をも上回る、事実上、日本最大の株主に躍り出ると予想されています。
日銀は直接に企業の株式を保有するものではありませんが、ETF買い入れを通じてマーケットに大きな影響を及ぼしています。もちろん、日銀ばかりが大株主というわけではなく、さまざまな機関投資家や企業、個人投資家が大株主として市場に関わっており、その売買は株価の行方にインパクトをもたらします。大株主がどのような個別銘柄を買い、保有し、そして売るのかに注目しておくことが大切になります。
そこで今回は、マーケットの動向に影響を及ぼす大株主たちを株探で探る方法を解説していきます。
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