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【特集】和島英樹の「明日の好悪材料Next」~第17回

食品関連が上方修正、手術関連は想定より落ち込まず

和島英樹和島英樹(Hideki Wajima)
株式ジャーナリスト
日本勧業角丸証券(現みずほ証券)入社。株式新聞社(現モーニングスター)記者を経て、2000年にラジオNIKKEIに入社。東証・記者クラブキャップ、解説委員などを歴任。現在、レギュラー出演している番組に、ラジオNIKKEI「マーケットプレス」、日経CNBC「デイリーフォーカス」毎週水曜日がある。日本テクニカルアナリスト協会評議委員。国際認定テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

【今回チェックした「明日の好悪材料」記事一覧】
9月11日分
9月14日分
9月15日分
9月16日分
9月17日分

9月11~17日では引き続き新型コロナが影響している企業が目立つ。内食の流れを受けた企業は好調。食品スーパーや食肉企業が上方修正。一方、コロナ影響で手術が滞るとみていた医療関連企業では想定よりは落ち込まなかったという。政府の認証強化での連携、バイオ関連では復活の兆しが見えた銘柄も。

9月11日分 ハローズ<2742>
■好悪材料~上期経常を52%上方修正・2期ぶり最高益、通期も増額、配当も4円増配

広島・岡山県が地盤の食品スーパー。ドミナント出店し経営効率化。24時間営業に特色がある。

2021年2月期の上半期(3~8月)の売上高は前回予想を64億円上回る763億9000万円(前年同期比15.1%増)、営業利益は12億8000万円増額の38億円(同52.8%増)となった。

新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛による生活者の購買行動の変化し、食料品を中心とした在宅消費が増加したことが要因だ。感染防止対策を強化しつつ、顧客がいつでも買い物ができる365日24時間営業の継続や商品仕入れ策を講じたことも後押しとなった。

■『株探』プレミアムで確認できるハローズの業績修正履歴
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下期は予想を据え置き、上期の上乗せ分だけ通期業績予想を修正した。売上高1484億円(前期比10.2%増)、営業利益67億2000万円(同27.0%増)、1株利益は228.9円となる見通し。年間配当は従来予想比4円増配の32円(前期比でも4円増配)に。中間配と期末配に2円ずつ増配する。

食品スーパーではライフコーポレーション<8194>、アークス<9948>、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールデングス<3222>、平和堂<8276>、ヤオコー<8279>なども堅調に推移している可能性がありそうだ。

9月14日分 サンバイオ<4592>
■好悪材料~再生細胞薬「SB623」の慢性期脳梗塞を対象とした米国フェーズ2b臨床試験の追加解析結果が良好だったことを受け、脳梗塞・脳出血プログラムの後期臨床試験の準備を開始。一方、今期開始予定としていたSB623外傷性脳損傷グルーバルフェーズ3試験は来期以降に延期する。上期最終は赤字拡大で下振れ着地

創薬ベンチャー。同社が開発している再生細胞薬の「SB623」は、健康な人から採取した骨髄液を加工・培養して作製された他家(他人)由来の間葉系幹細胞で、神経組織に投与すると、損傷した神経細胞の再生を促す効果が期待されている。

他家由来細胞を利用して同一の製品を大量に作ることができることから、自家(患者本人)由来細胞を用いる治療で必要となる医療機関での個別の細胞調整などが不要で、多くの患者に均質な医薬品を提供することが可能になる。

同薬の適応を目指している1つの「慢性期脳梗塞」を対象として試験では、かつて運動機能障害を呈する患者に有効性、安全性の検討を行ったが、2019年1月29日に統計的な有意差を示さず、主要評価項目を達成できなかったことを公表している。株式市場ではこれに失望し、いわゆる「サンバイオ・ショック」で株価が暴落した経緯がある。

■サンバイオの週足チャート(2017年9月~)
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注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同

今回は、同社グループで継続実施していた追加解析の結果を報告、それによれば偽手術群26名のうち19%の改善に対し、SB623群51%のうち49%において改善が認められ、統計学的に有意な成果を示した。

この結果を受けて、同薬による脳梗塞および脳出血のプログラムで、後期臨床試験の準備を開始した。両プログラムの具体的な臨床試験デザインや開発内容については確定後速やかに公表するという。

同社は開発をグローバル展開しているが、このプログラムでは、経営資源の選択と集中のため国内開発を優先する方針だ。そのため今期に開始予定としていたSB623の「外傷性脳損傷グロルーバルフェーズ3試験」は来期以降に延期する。

脳梗塞・脳出血は外傷性脳損傷より患者数が多いが、一度頓挫しかけた分野だけに、株式市場は将来の市場規模を再びどの程度、折り込みにかかるのかが注目される。

9月15日分 ディーブイエックス<3079>
■好悪材料~上期経常を一転黒字に上方修正

循環器分野の医療機器を販売する。不整脈分野が主力で、ペースメーカーのほか、不整脈の診断や薬効評価に欠かせない心臓電気生理検査に使用する「電極力カテーテル」や、頻脈性不整脈の根治療法である「アブレーション(心筋焼灼術用)カテーテル」などに展開する。

カテーテルでの治療は手首や足の付け根からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、狭くなった血管を広げることで治療が行える。従来主力だった開胸による手術に比べると痛みが少なく、入院日数や治療費も少なくて済む。

2021年3月期の第2四半期(4~9月)の売上高は前回予想比12億9900万円増額の192億7900万円(前年同期比12.8%減)、営業利益は2億700万円増額の1億5500万円(同65.2%減)と、前回の赤字から黒字に予想を転換した。

■『株探』プレミアムで確認できるディーブイエックスの四半期業績の成長性推移
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当該期間での新型コロナの影響が当初想定よりも小さかったこと、営業活動制限による旅費交通費の削減、研究開発費など一部販管費の予算執行の遅れなどが要因としている。通期業績予想については変更なし。記載はないがカテーテル関係も想定以上だったとみられる。

類似ではカテーテルなど心臓血管分野に強みがあるテルモ<4543>、シリコン製カテーテルのクリエートメディック<5187>、バルーンカテーテルのウイン・パートナーズ<3183>、朝日インテック<7747>など。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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