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【特集】タナベ経営 Research Memo(7):2021年3月期の業績計画はコロナの影響が夏頃には落ち着くことを前提に策定

タナベ経営 <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

1. 2021年3月期の業績見通し
タナベ経営<9644>の2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比横ばいの9,395百万円、営業利益で同29.1%減の700百万円、経常利益で同28.1%減の730百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同29.6%減の490百万円と減益に転じる見通し。新型コロナウイルス感染症の影響により第1四半期の業績が落ち込む見込みであることが響く。半期ベースでは上期の営業利益が前年同期比76.8%減の80百万円となり、下期は対上期比で回復するものの前年同期比では3.5%減の620百万円と慎重な計画となっている。

2020年6月までの新型コロナウイルス感染症の影響とそれに対する同社の対策について見ると、経営コンサルティング事業では、経営コンサルティングやオーダーメイド教育(研修)において、開始時期の延期や月単位での休止が発生している。一方で、緊急経営対策やテレワーク導入等の働き方改革支援、企業再生のための経営戦略、M&A等の新たなコンサルティングニーズが発生しているほか、同社が推進しているデジタル教育コンテンツを活用する「FCCアカデミー(企業内大学)設立」の引き合いも増加している。同社ではこうしたニーズに対して、オンラインコンサルティング等で対応している。

FCCセミナーや戦略ドメイン&ファンクション研究会については、リアルでの開催を中止し、Web上でのオンラインコミュニケーションツールを用いた「ライブ配信」や「オンデマンド配信」などに切り替えてサービス提供している。また、今後はリアルでの開催についても感染防止策を行ったうえで再開していく予定にしている。

マーケティングコンサルティング事業※については、各種イベントが中止となり、プロモーショングッズ等の販売が減少した一方で、新型コロナウイルス感染防止策用のソリューション商品(マスク・消毒液等)や各種テレワークグッズなどの引き合いが活発化しており、委託生産先であるパートナー企業のチャネルを活用してこうした需要に対応している。また、対面型販売が制限されるなかでECに取り組む企業が増えており、デジタルマーケティング分野のコンサルティングニーズも増加している。

※SPコンサルティング事業は、2021年3月期より「マーケティングコンサルティング事業」に改称。同様に、セールスプロモーションは「ブランドプロモーション」へ、SPデザインは「デザインプロモーション」となる。本章より、新セグメント名を使用する。


業界別で見ると、外食、小売業や宿泊業、自動車業界などは新型コロナウイルス感染症の影響による企業収益悪化もあり、受注状況は厳しくなっているものの、建設業などその他の業種については比較的影響は軽微にとどまっている。夏以降は徐々に需要も回復する見込みであり、ポストコロナにおいて発生する新たなコンサルティングニーズを確実に取り込むことで、業績の早期回復を図っていく方針となっている。

なお、売上高が前期比横ばいであるのに対して、売上総利益が同9.4%減となるのは、研修や各種セミナーなどの延期・中止の影響に加えて、付加価値の高いチームコンサルティングの売上高が、契約社数の減少(前期比6社減の610社)により、前期比2.6%減の4,200百万円と減少を見込んでいること、コンサルタント人員の増員による人件費の増加などを見込んでいることなどが要因だ。コンサルタント人員については前期末比15名増の260名を予定している。一方、販管費についてはシステム投資費用の減少により、前期比3.5%減を見込む。前期までにERPパッケージの導入やテレワーク環境の全社導入などを実施しており、2021年3月期はシステム投資費用が減少する。


経営コンサルティング事業ではM&Aコンサルティング及びDXコンサルティングの旺盛な需要をどれだけ取り込めるかが成長のカギを握る
2. 事業セグメント別見通し
(1) 経営コンサルティング事業
2021年3月期の売上高は前期比2.1%増の5,695百万円、営業利益は同16.4%減の1,225百万円を見込む。主力の経営コンサルティングは、延期や月単位での休止はあるものの、中止や単価の低下といった影響は軽微にとどまっており、新型コロナウイルス感染症の影響も夏頃には落ち着く前提で、第2四半期から売上げも徐々に回復に向かい、通期では若干の増収を見込んでいる。

オーダーメイド教育(研修)は、第1四半期の延期・中止等の影響が響き、通期で減収となる見通し。同様に、FCCセミナーや戦略ドメイン&ファンクション研究会についても第1四半期の落ち込みが響き、通期で減収を見込む。一方、M&A・アライアンスは、成長を目的としたM&Aのコンサルティングニーズが増えてきているが、成約に至るかどうか流動的なため、保守的に前期並みの数値を計画している。また、DXコンサルティングについても、デジタルマーケティングの旺盛な需要を取り込んでいく予定で、(株)リーディング・ソリューションの売上高については通年で寄与する見込みだが、保守的に見て前期並みの数値を計画している。ただ、DXに対する企業の関心は高く、コンサルティングニーズも旺盛と見られる。同社では上期に(株)リーディング・ソリューションと共同開発したコンサルティングメニューをリリースする予定で、増収となる可能性も十分あると弊社では見ている。

利益面では、オーダーメイド教育(研修)やFCCセミナー、戦略ドメイン&ファンクション研究会の減収に加えて、コンサルタントの増員に伴う人件費の増加が減益要因となる。経営コンサルタントは前期末比7名増の160名、人材開発コンサルタントは同2名増の30名を予定している。

(2) マーケティングコンサルティング事業(旧SP コンサルティング事業)
2021年3月期の売上高は前期比3.0%減の3,700百万円、営業利益は同29.0%減の120百万円となる見通し。ブランドプロモーションコンサルティング(旧 セールスプロモーションコンサルティング)(月契約型)は、中止等の影響は現状小さく、通期では若干の増収を見込んでいる。また、SPツールも新型コロナウイルス感染防止策商品やテレワークグッズ等の販売が好調で、通期で増収を見込む。ダイアリーに関しても前期並みの水準を見込んでいる。

こうしたなか減収減益を見込んでいるのは、デザインプロモーション(旧 SPデザイン)において、第1四半期に主要顧客で失注が発生し、通期で減収を見込んでいることが要因となっている。また、マーケティングコンサルタントも前期末比6名増の70名と増強を進めており、人件費の増加も減益要因となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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