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【特集】「クリーンエネルギー革命」の大奔流、再生可能エネ銘柄が蘇る日 <株探トップ特集>

今年11月の米大統領選でバイデン氏が勝利すれば、米国の環境政策は歴史的な転換点を迎える。物色の圏外にあった太陽光・風力やEV関連株には見直し機運が高まっている。

―米大統領選でバイデン氏優勢、太陽光発電・EV関連株の人気は本格復活へ―

 米大統領選まであと3ヵ月。現在、優勢を保っているのが、民主党のバイデン前副大統領だ。同氏と現職のトランプ大統領の政策スタンスで最も大きな違いがあるのが「環境政策」だとみる声は多い。トランプ大統領が、経済優先の姿勢を強めたのに対して、バイデン氏は「クリーンエネルギー革命」を掲げ環境重視の姿勢を示す。こうしたなか、市場では太陽光・風力発電など再生可能エネルギー関連株や電気自動車(EV)関連株に復活期待が強まっている。

●民主党・バイデン候補は「パリ協定」復帰を公約

 米大統領選挙は11月3日に予定されている。トランプ大統領は新型コロナウイルス対策のため、大統領選の延期についてツイートしたが法改正が必要であり日程の変更は難しいとみられている。その大統領選で、トランプ氏に対して世論調査で優勢を保っているのが、民主党のバイデン候補だ。大統領選の終盤の情勢などに左右されるが、このままの勢いが続くのならバイデン大統領が誕生する。

 そこで注目されているのが、バイデン氏の「環境政策」だ。トランプ大統領は、地球温暖化防止のための国際的枠組み「パリ協定」から離脱を決めたが、「クリーンエネルギー革命」を掲げるバイデン氏は同協定へ復帰し、環境分野で世界をリードすることを表明している。

●環境・インフラ投資に2兆ドル投資も

 また、同氏は7月にクリーンエネルギーなどのインフラに4年間で2兆ドル(約212兆円)を投資することを発表。太陽光や風力発電、EV、次世代省エネ住宅などへの投資を進めることで、雇用を創出するとともに経済成長を促進させる意向だ。また、2035年までに発電網による排ガスのゼロを目指すことを表明している。このためには、原子力を利用しながら、太陽光・風力発電などを増やすとともに、電力貯蔵施設の設置を進めることなどを掲げている。

 再生可能エネなどの環境重視の姿勢は、「グリーン・ニューディール」を掲げたバーニー・サンダース氏など民主党左派の支持層を取り込むためにも、必須の政策とみられている。今月17日から予定されている民主党の全国大会で、バイデン氏が大統領候補に正式指名されるとともに、同氏の環境政策が本格的に注目されることが予想されている。

●米テスラ急騰は環境関連株人気を先取り

 そんななか、米国では、バイデン大統領の誕生を視野に環境関連銘柄がいち早く人気化している。例えば、トヨタ自動車 <7203> の時価総額を上回ったことが話題となったEV最大手・テスラの株価急騰は「環境重視姿勢のバイデン政権が誕生する可能性を先取りしたもの」(アナリスト)との見方も少なくない。また、世界最大の風力・太陽光発電事業者である米ネクステラ・エナジーのような銘柄も注目され、上昇基調を強めている。

●レノバやウエストHD、三谷商やガイシなどが再脚光も

 米国の環境政策の大転換も予想されるなか、東京市場でも、これまで人気薄局面が続いていた再生可能エネ関連など環境関連株は再び脚光を浴びることは必至だろう。

 例えば、太陽光発電やバイオマス発電を手掛けるレノバ <9519> や同じく 太陽光発電を軸にしたグリーンエネルギー事業などを展開するウエストホールディングス <1407> [JQ]、国内最大級のバイオマス発電所を運営するイーレックス <9517> などが再評価されることが予想される。また、風力発電関連では三谷商事 <8066> [東証2]や風車を手掛ける駒井ハルテック <5915> 、軸受けを扱う日本精工 <6471> やNTN <6472> なども見直されそうだ。

 EV関連では、電池・部材に絡みFDK <6955> [東証2]や田中化学研究所 <4080> [JQ]、戸田工業 <4100> 、ダブル・スコープ <6619> 、安永 <7271> なども再び脚光を浴びよう。更に、蓄電池関連では、日本ガイシ <5333> がメガワット級の電力貯蔵システム「NAS電池」を手掛けているほか、電力グリッド・システムでも実績を持つ。ニチコン <6996> やオムロン <6645> 、高島 <8007> なども蓄電池関連として注目できる。

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