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【特集】カドカワ Research Memo(2):出版、映像・ゲーム、Webサービスの3事業が主軸(1)

カドカワ <日足> 「株探」多機能チャートより

■事業概要

KADOKAWA<9468>は、出版事業、映像事業、版権事業、デジタルコンテンツ事業、ネットワーク・エンタテインメントサービス及びコンテンツの企画・開発・運営、動画サービスの運営等を行う、総合エンターテインメント企業グループである。

2020年3月期のセグメント別売上高構成比を見ると、出版事業が55.9%と過半を占めており、次いで映像・ゲーム事業が23.0%、Webサービス事業が11.8%、その他事業(教育、CDやグッズ類等のMD事業、インバウンド関連事業)が9.3%となっている。また、営業利益についてはその他事業の赤字分を出版事業と映像・ゲーム事業、Webサービス事業でカバーする構造となっている。現在は出版事業が売上高・利益ともに主力事業となっているが、今後は自社IPによるメディアミックス戦略により映像・ゲーム事業のトップラインを伸ばし収益性の向上を図っていくほか、2020年3月期より黒字に転換したWebサービス事業についても、ファンコミュニティの構築と新サービスの開発・提供により再成長を目指していく。

1. 出版事業
KADOKAWAの主力事業で、紙媒体の単行本、文庫、ライトノベル、コミックスなどの書籍や、電子書籍・電子雑誌の出版・販売等を行う。加えて、「ザ テレビジョン」「ファミ通」「レタスクラブ」などの雑誌やムック誌のほか、カスタムメディア及びWeb広告の販売などを手掛けている。

紙媒体の書籍販売はメディアミックスによる作品展開を強みとしており、年間5千点規模の新刊を継続的に発行している。長年にわたるマーケティング実績とデジタル技術の活用により製作・出荷の適正化に取り組んでおり、2020年3月期の書籍返品率は、業界平均よりも低い30%台の水準となっている。

一方、電子書籍では、直営の電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」にて自社及び他社の作品を販売しているほか、Amazon<AMZN>や楽天<4755>など他社の電子書籍ストアでも販売している。また、電子雑誌ではNTTドコモ<9437>と協業し、雑誌読み放題サービス「dマガジン」を展開している。ドワンゴが運営していた「ニコニコ漫画」「ニコニコ書籍」「読書メーター」は、2019年3月期に「BOOK☆WALKER」を運営する(株)ブックウォーカーの下に統合され、グループ全体による電子書籍・電子雑誌事業の強化が図られている。

2. 映像・ゲーム事業
映像事業は、映画の企画・製作・配給、パッケージソフトの販売、アニメの海外版権販売、映像配信などを手掛けているほか、(株)角川大映スタジオ、グロービジョン(株)でスタジオ事業を展開している。出版事業や映像・ゲーム事業から生み出されるグループIPの映像化、実写映画及びアニメ作品の製作配給に注力している。

ゲーム事業は、同社、フロム・ソフトウェア、スパイク・チュンソフト、(株)角川ゲームスがパッケージゲームソフト及びネットワークゲーム、アプリゲームの企画・開発・販売を行っている。ヒットタイトルには「DARK SOULS」「Bloodborne」「SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE」(フロム・ソフトウェア)、「GOD WARS」(角川ゲームス)、「喧嘩番長」「ダンガンロンパ」「ARK:Survival Evolved」(スパイク・チュンソフト)などがある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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