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【特集】芙蓉リース Research Memo(1):2020年3月期業績は過去最高を連続更新。中期経営計画は計画線を確保

芙蓉リース <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

1. 会社概要
芙蓉総合リース<8424>は、1969年に(株)富士銀行(現 みずほフィナンシャルグループ<8411>)や丸紅飯田(株)(現 丸紅<8002>)など芙蓉グループ6社にて設立された総合リース会社である。情報関連や事務機器、不動産リースなどに強みがあり、年間の契約実行高1兆3,597億円、営業資産残高2兆3,839億円に上る。資産管理やコストコントロール、専門性を生かしたノウハウなど、顧客の課題に対する高度なソリューション力を発揮することで営業資産を積み上げ、業績は順調に拡大している。

2. 中期経営計画
同社は2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「Frontier Expansion 2021」(5ヶ年)を推進している。「前例のない場所へ。」をスローガンに掲げ、新しいビジネス領域やビジネスモデルへ挑戦することにより、事業ポートフォリオの「フロンティア」を拡大し、国内リース事業を取り巻く環境が大きく変化するなかでも持続的に成長する企業グループを目指している。最終年度の目標は、営業資産残高2兆5,000億円、ROA(営業資産経常利益率)2.0%、経常利益500億円である。特に、経常利益目標のハードルが高いが、営業資産残高の積み上げとROA向上の両方(掛け合わせ)により実現するシナリオとなっている。

3. 2020年3月期決算の概要
2020年3月期の業績は、売上高が前期比15.2%増の7,123億円、営業利益が同16.1%増の414億円、経常利益が同12.6%増の440億円と大幅な増収増益となり、過去最高を連続更新した。また、中期経営計画に対しても順調に進捗している。「不動産」や「航空機」など戦略分野における「営業資産」の積み上げに加え、インボイス(株)及びNOCアウトソーシング&コンサルティング(株)(以下、NOC)の連結効果を含む、BPO※サービスの伸びが業績の底上げに大きく寄与した。ROAも良質な営業資産の積み上げやノンアセット収益の拡大により大きく良化している。戦略面においても、幅広いアウトソーシングサービスを展開しているNOCの連結化によりBPOサービス事業の強化を図ったほか、ヤマトホールディングス(株)<9064>の子会社であるヤマトリース(株)の連結化(2020年4月より)を実施し、モビリティビジネスの推進を進めている。

※ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略。顧客企業の業務プロセスの一部を受託することで、業務改善や効率化に貢献するサービスのこと。


4. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比1.1%増の7,200億円、営業利益を同1.4%増の420億円、経常利益を同2.2%増の450億円と見込んでいる。引き続き、各戦略分野の「営業資産」の積み上げやノンアセット収益の拡大、ヤマトリースの連結効果が業績の伸びをけん引する想定である。業績の伸びがこれまでと比べて緩やかになっているのは、コロナ禍による影響を一定程度見積もっていることが理由である。ただ、中期経営計画の達成に向けては計画線を確保する見通し。配当についても、前期比15円増配の1株当たり220円を予定しており、大幅な増配を継続実施していく方針である。

■Key Points
・2020年3月期業績は大幅な増収増益となり、過去最高を連続更新
・資産の積み上げとBPOサービスなどによる収益性向上の両面でベース利益の底上げを実現
・ヤマトリースの連結化によりモビリティビジネスにも取り組む
・2021年3月期はコロナ禍の影響により業績の伸びは緩やかとなる見通し
・ただ、中期経営計画達成に向けては計画線を確保するとともに、増配も継続実施予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《EY》

 提供:フィスコ

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