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【市況】明日の株式相場戦略=コロナとの共生で浮上する銘柄群

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(17日)の東京株式市場は、前日の日経平均が先物主導で上げ幅1000円超えとなった反動が出たといえばそれまでだが、思った以上に強かった。取引開始後30分弱で260円強下落し、元来ならば波乱ムードが漂い始めるところだったが、その後はのらりくらりと下げ渋り結局2万2000円台半ばで着地。最近のハイボラティリティ相場では小幅安といってもいいだろう。北朝鮮絡みの地政学リスクも米中の感染第2波への警戒もアルゴリズムの売りプログラムが作動する形とはならなかった。何よりも東証2部や新興市場の強さが際立ち、個人投資家健在を印象づけた。

 個別では新型コロナウイルスとの共生を底流テーマに中小型株が芽吹いている。個人投資家はしたたかであり、今のようなAI取引に席巻されたマーケットでもちゃんと自らが戦う土俵を確保している。国内ネット証券への取材では、直近の個人マネーの振り向け先はバイオ関連がかなりのウエートを占めているという。大化けしたテラ<2191>は週刊誌の記事でミソがついた格好となってしまったが、これをきっかけにバイオ関連セクターから資金が逃避する可能性もあった。しかし、今回はそうならなかったことに今の相場の強さがある。そのこころは金融政策によってグローバル規模で横溢するマネー。米国株市場同様に東京市場もまた過剰流動性に支えられているが、もっともその恩恵に授かっているのがバイオ株のメッカである東証マザーズ市場といえる。

 マザーズ市場の時価総額が東証2部を上回ったことが最近話題となったが、それでも7兆円強に過ぎない。対して東証1部は約600兆円に達しており、例えば個別企業でみてもトヨタ自動車<7203>の時価総額は23兆円ある。トヨタ1社でマザーズ市場3個分という勘定だ。ただし、過剰流動性の波はこうした小さな入り江だからこそ波高が高くなる。逆に流動性が枯れれば、東証1部よりも敏感に察知するのがマザーズ市場だ。現在、マザーズ指数は位置的に見れば他市場に先行して買われているが、主役を張るのはダイナミズムに満ちた個人マネーに違いないとはいえ、その外側を包み込むカネ余りの環境こそが株高の源泉といってもよい。

 マザーズ市場の上昇を内側から見れば、それはバイオ株高による貢献が大きい。代表格のアンジェス<4563>は大引けにかけてしぼんだが注目度の高さは相変わらずで、材料が出たにせよ今朝寄り前の買い注文の厚さに目を見張る市場関係者もいた。前週後半に当欄で取り上げたのがイナリサーチ<2176>とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ<6090>の2銘柄だった。イナリサーチはジャスダック銘柄ながら、ここにきて連日のストップ高。マザーズ銘柄のHMTも足もと動意づいており、規制がかかっていることを認識したうえで引き続きマークしておきたい。このほか、マザーズのバイオ関連ではジーンテクノサイエンス<4584>、ブライトパス・バイオ<4594>、カイオム・バイオサイエンス<4583>が食指の動くチャートを形成している。

 新型コロナウイルスとの共生という点では巣ごもり消費もテーマとして色褪せることはない。分かりやすいのはゲーム関連株だ。きょうは、今晩の「ポケモン新作発表会」を前に任天堂<7974>が年初来高値に買われた。ゲーム関連で目先マークしてみたいのはgumi<3903>。20年4月期は営業損益の黒字転換を果たし、ブロックチェーンゲーム関連としての話題性も考慮して1000円トビ台のもみ合いは買いに分がありそうだ。

 更に巣ごもり消費では宅配関連が侮れないテーマ性を内包している。宅配や持ち帰り弁当など中食需要の高まりで、樹脂製食品容器メーカーに少なからぬ恩恵が及んでいる。その意味で業界を先駆する中央化学<7895>は目の離せない銘柄となる。また、同じ流れで通販などを手掛ける企業にも商機が膨らむ。女性を主要顧客ターゲットとする衣料品通販のベルーナ<9997>は、派手さはないもののジリジリと戻り足を強めており要注目といえそうだ。

 日程面では、あすは5月の首都圏・近畿圏のマンション販売が発表されるほか、5年国債の入札も予定される。また、東京都知事選の告示日となる。海外では中国全人代常務委員会が20日までの日程で開催される。このほか、英中銀が金融政策を発表、6月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数、5月の米CB景気先行総合指数なども発表される。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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