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【特集】「6月株主優待」期待株ピックアップ、還元縮小“無縁銘柄”は <株探トップ特集>

空前の大逆風が吹き荒れた上半期。業績悪化を受け優待制度を見直す企業も相次いだなか注目したいのが、株主還元を維持できる可能性が高い銘柄だ。

―緊急事態宣言解除で需要回復に期待、優待見直し低リスク株を追う―

  新型コロナウイルス感染拡大の影響による急激な業績悪化を受けて、株主優待制度や配当政策を見直す企業が増えている。先週までに一巡した直近3ヵ月の1-3月期決算では、半数を超える企業の業績が前年同期比で落ち込み、赤字決算に陥った企業も多くみられた。4-6月期は更なるマイナスが懸念されており、株主還元を縮小する動きは一段と広がる可能性がある。今回はこうしたリスクに注意を払いながら、6月に株主優待と配当の権利確定日を迎える銘柄を探ってみたい。

●緊急事態宣言解除で外食に需要回復期待

 6月に株主優待を実施するのは123社。なかでも、すかいらーくホールディングス <3197> や日本マクドナルドホールディングス <2702> [JQ]など食事優待券の人気が高い。こうした外食企業の株価は足もとで戻り歩調をみせている。新型コロナウイルスの感染拡大に一定の歯止めがかかり、政府が5月25日に緊急事態宣言を全面解除したことを受けて、需要回復への期待感が高まっていることがその背景だ。株主優待の人気銘柄は、権利付き最終日に向けて権利取りを意識した買いが入る傾向があり、一段高への期待も膨らむ。

 以下では、足もとの業績動向や財務状況、株主還元姿勢からみて、株主優待と配当の減額リスクが少ないとみられる銘柄に注目し、 外食企業を中心に利便性の高い優待品を贈呈している6社を紹介していく。なお、株主優待や配当を手に入れるには権利付き最終日に株式を保有している必要がある。権利付き最終日は権利確定日の「2営業日前」で、月末締めの場合、6月26日に株式を保有することが必須条件となる。

●マクドナルドの食事券は根強い人気

 6月の人気優待株である日本マクドナルドホールディングスの株主優待品は「バーガー類、サイドメニュー、ドリンク」3種類の無料引換券が1枚になったシート6枚で、これを半年ごとに100株保有で1冊、300株保有で3冊、500株保有で5冊を贈呈する。好きなハンバーガーと交換できるほか、ポテトやドリンクはサイズも選べる。一方、配当は12月末の期末一括で、20年12月期は前期と同額の33円を予定している。足もとの業績は、3月に既存店売上高が4年4ヵ月ぶりに前年割れとなったものの、4月はドライブスルーの好調などでプラスに切り返している。新型コロナウイルスの業績への影響は限定的とみられ、今後も収益成長が期待される。

●物語コーポは業績予想未定に変更も配当は維持

 物語コーポレーション <3097> は「焼肉きんぐ」を中心とする焼肉部門を主軸に、「丸源ラーメン」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵」などを直営店とフランチャイズ方式で全国展開している。株主優待は6月末と12月末時点で100株以上を保有する株主に、食事券または米を贈呈するというもの。食事券は保有株数に応じて2500円から1万5000円相当が半年ごとに配布される。5月8日に店舗休業などの状況を踏まえ、通期業績予想を未定に変更したが、期末配当の55円(前年同期比10円増)は維持する方針を示している。

●ALサービスは低価格路線で内食需要捉える

 続いて紹介するのはとんかつ店「かつや」を運営するアークランドサービスホールディングス <3085> 。4月は多くの外食企業で売上高が急減したが、同社は既存店ベースで前年比1割減にとどまった。強みとする低価格戦略が消費者ニーズを捉えているほか、テイクアウトの強化も奏功しているようだ。株主優待では毎年6月末と12月末時点で100株以上を保有する株主に対し、保有株数に応じて1100円から1万1000円分の食事券をそれぞれ贈呈する。また、配当は前期まで11期連続で増配するなど、株主還元に積極姿勢をみせる。先に紹介したマクドナルド、物語コーポとともに自己資本比率50%超と安定した財務基盤を背景に、株主還元を維持することが期待される。

●カワニシは6月末にクオカードと配当を一括ゲット

 医療機材販売会社のカワニシ <2689> は毎年6月末時点で100株以上を保有する株主を対象に、保有株数と保有期間に応じて1000円から5000円分のクオカードを贈呈する。配当の権利月は株主優待と同じ6月の期末一括で、20年6月期は40円を見込んでいる。配当は上場以来、前期まで18年連続で減配したことがない。リーマン・ショックの直撃で最終赤字に転落した09年6月期も前の期と同額の配当を出しており、減配リスクは少ないとみて良さそうだ。権利付き最終日にあたる6月26日に100株保有していると、クオカード1000円分と配当金4000円をまとめて獲得することができる。

●ユニバー園芸は業績好調で配当増額に期待

 観葉植物レンタル大手、ユニバーサル園芸社 <6061> [JQ]の株主優待品はカワニシと同じくクオカードだ。100株以上保有する株主に対し、6月末に2000円分、12月末は1000円分をそれぞれ配布する。一方、配当の基準日は6月の期末一括で、20年6月期は前期と同額の20円を予定している。業績に目を移すと、5月21日に発表した第3四半期決算は、主力のグリーン事業で契約を伸ばしたうえ、経費削減も進み、営業利益9億2100万円(前年同期比35%増)と大幅増益を達成。通期計画に対する進捗率は90%を超えており、業績上振れや配当上積みが期待される。

●ゲンキ―の優待品は選択制、長期保有特典も

 中部圏でドラッグストアを展開するGenky DrugStores <9267> は株主優待に選択制を採用している。毎年6月20日と12月20日時点で100株以上を保有していると、「カタログギフト3000円相当」「自社ブランドのサプリメントまたは化粧品6000円相当」「福井県産こしひかり5kg」のいずれかがもらえる。更に、長期保有特典として、2年以上保有すると2000円の買い物券が追加で年2回支給される。権利確定日は20日で6月の優待と配当の獲得には17日に保有していることが条件となる。足もとの業績はコロナ関連特需に加え、生活必需品の値下げ戦略も奏功し、既存店売上高は5月まで3ヵ月連続で20%成長と絶好調にあり、株主還元の縮小リスクは少ないとみられる。

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