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【特集】桂畑誠治氏【日経平均2万2000円台回復、6月相場の上値は】 <相場観特集>

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

―経済活動再開の動き、コロナ後をにらみ新局面入りか?―

 週明け1日の東京株式市場は日経平均株価が反発し2万2000円台を回復。前週の急騰の反動もあって後場後半は利益確定売りも出て伸び悩んだが、それでも断続的な買いが下値を支え、頑強な値動きを維持した。6月相場は引き続き強調展開が続くのか、それとも反落局面が訪れるのか。ここからの見通しについて、市場第一線で活躍し、分析力に定評のある第一生命経済研究所主任エコノミストの桂畑誠治氏に話を聞いた。

●「金融緩和と財政出動期待で底堅い動き」

桂畑誠治氏(第一生命経済研究所 主任エコノミスト)

 全体相場は強い動きが続いている。きょうは朝方に発表された1~3月の法人企業統計で設備投資額が事前コンセンサスの前年比5.0%減から同4.3%増と予想を大きく上振れしたことが投資家心理にポジティブに働いたほか、きょうから東京都が経済活動の規制を緩めた(休業要請の緩和の対象を拡大した)ことなどを受けリスクオンの地合いが継続した。

 米中対立の先鋭化がしきりに言われるが、そうしたなか中国や米国の経済指標も気にかかるところ。直近、5月31日に発表された5月の中国製造業PMIは市場予測を下回ったが、きょう民間の財新から発表された中国製造業PMIについては市場予測を上回った。いずれにしても今後は中国政府による何らかの景気刺激策が出ることへの期待は根強く、相場の下支え材料となる。また、米国の重要指標も相次ぐが、雇用以外の指標、例えば景況感関連などについては改善傾向が強い。差し当たっては週前半に開示される5月の米自動車販売などが消費動向を示唆するものとしてマーケットの注目を集めることになる。

 6月相場は欧米の中央銀行による金融緩和の動きや、財政出動の動きが株価の押し上げ要因として意識されそうだ。一方で、リスク要因を挙げるとすれば、日米欧で新型コロナウイルス の感染第2波の兆しが出てくることだが、それが見られない限り日経平均は過熱感から下押しても押し目買いの動きが出て下値は固いと思われる。

 日経平均は向こう1ヵ月くらいのタームで下値2万1000円、上値2万3000円のレンジでの推移を想定している。物色対象としては新型コロナウイルスの影響はあっても、5Gなどで中期的な需要拡大が見込まれる半導体関連や、内需では医薬品セクターの株価に優位性があるとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(かつらはた・せいじ)
第一生命経済研究所 経済調査部・主任エコノミスト。担当は、米国経済・金融市場・海外経済総括。1992年、日本総合研究所入社。95年、日本経済研究センターに出向。99年、丸三証券入社。日本、米国、欧州、新興国の経済・金融市場などの分析を担当。2001年から現職。この間、欧州、新興国経済などの担当を兼務。

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