【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ ハイテク、医療、景気敏感の循環買いが続く
株式評論家 植木靖男
「ハイテク、医療、景気敏感の循環買いが続く」
●二番底がいつか知るのは相場の女神のみ
日経平均株価は本年3月19日の安値以降、順調な足取りをみせている。ここで順調という意味は、相撲でいえば土俵を一度も割ることなく上昇してきたことを指す。
むしろ、ここへきて放物線をなぞるかのように上昇ピッチを早めている。水準では200日移動平均線を突破。心理的なフシ目である2万2000円大台にほぼ到達した。一目均衡表では週足で厚い雲の下限を突破している。
一方、量的には出来高が2カ月ぶりに1日20億株に、売買代金もこれまた久しぶりに4兆円大台に乗せた。
ところで、市場では景気の実態悪と株高とのカイ離に疑義を挟む向きも多い。このギャップを埋めるのは、明らかにカネ余りにほかならない。つまり、いまの株高にあまり無理を言わない方がよいのである。
さて、1月20日高値から3月の安値までの下落の71%を戻している。仮に今後、さらに上昇し2万2500円処まで戻すと80%の戻りだ。ここまでくるともはや戻り相場というより本格上昇相場に入っているのかもしれない。米国では景気は3~4月に底打ちしているとの見方もある。そうであれば、3月の安値は大底との判断も可能だ。
目下、市場が懸念しているのが二番底であるかもしれない、という点だ。
想起するのは昭和の証券大不況時だ。当時大底を入れたのは1965年7月、その後、今回と同じように急ピッチで回復。そして、二番底をつけたのは、実に2年後の67年12月であった。今回、必ず二番底を見ると思うが、それがいつかは相場の女神しか分からないのも事実。いざというときは、ひたすら戦線をいち早く離脱する。それが全てである。
●交互に物色される3つのグループ
ところで目先的な株価をどう読むか。5月末の株価は小幅ながら一服だ。週末、月末だけに利食い先行を懸念していただけに安堵感も漂う。
次は6月初日。もし懸念があるとすれば、月末の終値を下回って寄り付き、終値で下げること。こうなると、少なくとも6月10日頃まで高値更新は難しいかもしれない。注意したい。
さて、物色は高値圏特有の目まぐるしい循環買いが続いている。いまのところ、 ハイテク、 医療、景気敏感の3つのグループが交互に物色されている。
この段階では、物色の基準となるのは業績よりむしろ材料、さらに言えば値動きそのものだ。しかも各グループともある程度、銘柄は絞られている感がする。
たとえば、ハイテクではオンラインを軸にした銘柄、また医療ではもちろん新型コロナ関連だ。景気敏感では航空、海運、鉄道などだ。
今回はオンライン関連、さらに医療の両方にまたがるメドレー <4480> [東証M]。また、ハイテクではクラウド関連のGMOクラウド <3788> 、医療用マスクや消毒液も手掛けるMonotaRO <3064> などに注目したい。
このほか、株価の牽引役であるエムスリー <2413> 、日本電産 <6594> 、テルモ <4543> などもおもしろそうだ。
2020年5月29日 記
株探ニュース