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【特集】巣ごもり長期化で増えるのは? 脚光“家計防衛”関連株 <株探トップ特集>

景気の急減速とともに、家計の見直しも待ったなしの状況だ。この需要を取り込む企業はどこに?

―膨らむ通信料金、光熱費… 家計見直し需要取り込みカギに―

 緊急事態宣言から約3週間が経過し、 新型コロナウイルスの感染状況について、まだ予断は許さないものの1日あたりの感染者数は東京都で4月17日の201人をピークに減少傾向がみられている。人との接触機会の8割削減などに一定の効果はみられているようだ。東京都が徹底して外出の自粛を呼びかける「ステイホーム週間(4月25日~5月6日)」が始まり、感染拡大をくい止める効果が注目される。

 しかし、政府内ではゴールデンウイーク明け5月6日までの緊急事態宣言を全面的に解除するのは難しいという意見が強まっているようだ。西村経済再生担当大臣は、テレビ番組において、ある程度、事前に判断したいという考えを示している。ただし、全面的に解除するのは難しいという見方は多くの国民の共通するところであり、少なくとも5月いっぱいの緊急事態宣言の延長は覚悟しておく必要がありそうだ。

●新型コロナで生じた出費対象の変化

 新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の毎日の生活行動を大きく変えており、 テレワーク、外出自粛、休校などのさまざまな環境の変化により、一般家庭の家計にも影響を及ぼしている。総務省が4月7日に公表した2月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の実質消費支出は前年同月比0.3%減だった。ただし、うるう年で通常の年より1日多かったため、うるう年調整では同2.7%減との試算を示している。前年比減少は昨年10月の消費増税以降5ヵ月連続であり、増税以降の消費減少傾向とあいまって厳しい状況である。

 具体的には、外出自粛やイベントなどの中止が相次いだために交際費、交通費・旅費、外食費、レジャー代、趣味・習い事代などの出費が減ったと思われる。一方で、食費、日用品、医療用品の出費は増えている可能性が高い。特に学校が休校になり、子どもがいる世帯では昼食代が食費に大きく影響してくる。その他、テレワークの推進によるネット通信の増加はもちろん、自宅で楽しめる動画配信サービスの利用なども増えている。外出抑制の長期化が警戒されるなか、こうした利用にともなって通信料金が膨らむことも家計に重くのしかかる。更に、自宅で過ごす時間が増えるほど、支出が増えるものの代表格が、電気、水道、ガスといった光熱費だ。新型コロナウイルスの影響で収入が減ってしまった家庭を中心に、「家計」を見直す流れが強まると考えられ、こうした需要を取り込む企業も出てくることになる。

●食品関連で注目度高まるスーパー

 家計が厳しくなった場合、真っ先に「食費」の節約を考える家庭が多くなるとみられるが、安易な節約によって摂取量が増えやすいのが、米や麺類、パンなどの炭水化物だ。外出自粛によって運動不足となっている中で炭水化物の摂取量が増えると、糖尿病など成人病になるリスクも高まる。そのため、健康面も考慮しつつ、安くて量が多い食材を求める流れに向かいやすくなる。業務スーパーを展開する神戸物産 <3038> に対するマーケットの関心が高いのはこうした思惑が底流している。食品に関わらず、高級品ではなくとも、安くて良い商品を選ぶことになるほか、同じサービスにおいては価格面を重要視するため、同業の競争激化を促すことになる。

 食品スーパーの中核銘柄としては神戸物産だが、好調な月次動向からみても相当織り込まれていると考えられ、同社株以外の割安感のある他の 食品スーパー株へも物色が広がりを見せてくる可能性がある。そういった点では、広島・岡山・香川・愛媛・徳島・兵庫で24時間営業の食品スーパーマーケットを展開するハローズ <2742> 、岡山を地盤に24時間営業の食品ディスカウントストアを展開する大黒天物産 <2791> 、イオン系の食品スーパーであるマックスバリュ東海 <8198> [東証2]、マックスバリュ西日本 <8287> [東証2]、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> などに妙味がある。更に、リテールパートナーズ <8167> [東証2]、スーパーバリュー <3094> [JQ]、JMホールディングス <3539> 、いなげや <8182> 、Olympicグループ <8289> 、ベルク <9974> 、アオキスーパー <9977> [JQ]なども注目されよう。各地域地盤の食品スーパーはいずれも需要拡大が見込めそうだ。

●通信需要の増大も大きな特徴に

 通信分野では、データ量の増加に伴い、通信回線が停滞するリスクがあるという。足元では、国内携帯3社が学生の通信料金を一部無料にする方針を発表しており、今後更にデータ量が増えるのは必至だ。テレワークの普及に伴いビデオ会議や動画配信などのサービスは伸び続けるだろうが、家計への負担を考えて割安なサービスに移行する流れもある。米アップルの 5G対応の新型「iPhone」の投入時期が遅れるとみられるほか、新型コロナウイルス感染拡大による影響から通信工事の遅れも懸念される。新型「iPhone」投入が本格的な5Gへの移行と考えるならば、それまでは割安な携帯サービスにいったん切り替える動きも意識されやすい。

 楽天 <4755> 傘下の楽天モバイルは、月額2980円(税別)でエリア内であればデータ通信が無制限になる、というのが大きな特徴。インターネットイニシアティブ <3774> では、個人向けモバイルサービス「IIJmio(アイアイジェイミオ)」を展開。用途にあわせて機能とデータ量を自由に組み合わせられる多彩なプランが用意されている。このほか、日本通信 <9424> は、月額990円から使える音声対応格安SIMなどの商品を揃える。また、イオン <8267> が展開するイオンモバイルは30種類の料金プランがあり、全国のイオン店舗で販売・サポートをしている。世界的にみて日本の通信料金が割高であることを考えると、格安スマホへの移行が更に進む可能性がありそうだ。

リユース関連銘柄にもスポットライト

 また、家にいる時間が長くなったことで、ゲームなどの需要が伸びていることは多くのメディアで報じられている。他にも、家での時間の増加は、捨てられずに押入れに仕舞っていたものを整理する良い機会にもなっている。昔は廃品回収で済ませていたが、現在は自分にとっていらないものでも、お金に換金できる時代である。中古品を買い取って販売するリユース市場も伸びる可能性が見込まれる。ジモティー <7082> [東証M]は、「地元の掲示板」を標榜し、地域の「売ります・あげます情報」などを無料で掲載するサイトを運営する。メルカリ <4385> [東証M]は、フリマアプリ「メルカリ」を手掛ける。また、最近では利用者が中古品を出品するたびに、新型コロナウイルス対策の活動に同社が寄付を行う取り組みを始めた。また、楽天ではフリマアプリ「ラクマ」を運営しており注目できよう。

 リユースでは、パソコン・家電・家具・衣料などを扱うリサイクル店を全国に展開しているハードオフコーポレーション <2674> が挙げられるほか、トレジャー・ファクトリー <3093> は首都圏でリサイクル店を展開。家電・家具・雑貨など品揃えが豊富であり、専門店も展開している。

 またマネーフォワード <3994> [東証M]は、家計見直しの無料相談サービスをWEB面談の形で始めると発表した。同社は利用者がパソコンやスマートフォンなどを使って、自宅からファイナンシャルプランナーに相談できるようにしている。貯金や資産運用のアドバイスなど家計に関する課題を解決することができる。

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