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【特集】生活重要拠点「食品スーパー」、コロナ禍で高まる市場価値 <株探トップ特集>

新型コロナウイルスの影響による外出自粛が続くなか、食品スーパーは生活インフラとして価値を一段と高めている。足もとの販売は好調で株価にも見直し機運が膨らむ。

―学校休校、テレワークで家庭内需要が急拡大、月次売上高も増加基調―

 株式市場で「食品スーパー」が高い関心を集めている。 新型コロナウイルスの感染拡大で、外出の自粛が求められ、 テレワークを実施する企業が急増するなか、食料や日用品の調達に欠かせないインフラとして、市民生活に占める比重はかつてなく高まっている。ここ人工知能(AI)5Gに絡む銘柄などにスポットライトが当たるなか、食品スーパー株は長く物色対象の圏外にあった。しかし、コロナ禍のもとで月次売上高も伸び、株価も上昇基調を強めている。

●高まる家庭需要で食品スーパーの収益環境が改善

 日本スーパーマーケット協会が3月に発表した全国270社の スーパーマーケットを対象とした2月の経営動向調査では、中核店舗の景況感を示す業況判断指数(DI)が現状判断で売上高、収益ともに2ケタプラスとなり、前月から大幅な改善が見られた。同時に発表された既存店売上高も前年同月比で16ヵ月ぶりに前年実績を上回る5.5%増となった。

 政府は2月下旬に小・中・高等学校、特別支援学校に3月2日から春休みまでの臨時休校措置を求めたが、これに伴い子供たちへの給食が無くなったほか、外出の自粛要請でテレワークへのシフトが活発化し、家庭での食品需要が急増した。同時に新型コロナウイルスによる危機意識の高まりによる食品の買いだめも需要を刺激したようだ。

●「業務スーパー」運営の神戸物産の2月売上高は25%増

 実際、食品スーパーの足もとの月次業績は好調だ。株式市場で人気を集める「業務スーパー」を運営する神戸物産 <3038> の2月の売上高は、前年同月比25.2%増を記録した。同社は、生鮮食品を扱わず常温・冷凍商品をメインとするラインアップで、国内に自社工場を所有していることから、他の中小スーパーの追随を許さない低コストなオリジナルプライベートブランドを開発できるという強みがある。更に冷凍食品の容器を自前で作り、Webチラシで広告費用を抑えるなど、細部に至るまでコストコントロールを徹底している。20年10月期営業利益予想は前期比5.5%増の203億円と最高益更新を見込むが、市場では増額修正への期待が強い。また、業務スーパーのフランチャイズチェーンの展開を行うG-7ホールディングス <7508> にも注目できる。

●ヤオコーは連続増益基調を継続、USMHは3期ぶり増益へ

 また、埼玉を地盤に食品スーパーを展開するヤオコー <8279> の2月既存店売上高は前年同月比11.0%増、3月は同12.9%増と大幅な伸びを示した。同社の20年3月期連結営業利益は前の期比2.2%増の183億円と31期連続増益が見込まれている。食品スーパー最大手のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス <3222> も傘下のマルエツとカスミの2月既存店売上高が、それぞれ前年比5.9%増、同3.3%増とプラスに転じた。同社の21年2月期営業利益見通しは、前期比6.9%増の100億円と4期ぶりの増益を見込んでいる。

 首都圏を中心に展開するライフコーポレーション <8194> の既存店売上高も2月が前年同月比8.6%増、3月が同6.9%増と大幅に伸びた。同社の21年2月期業績は、新型コロナウイルス感染症の事業への影響を現時点で合理的に見積ることが困難としながらも、営業利益は前期比6.6%増の148億円と最高益更新を予想している。

●地方地盤のバローHDやアオキスーパーなども堅調

 地方では、中部地盤で食品スーパーやドラッグストアなどを展開するバローホールディングス <9956> のスーパーマーケットの既存店売上高が2月が前年同月比2.4%増、3月が同3.2%増と2ヵ月連続で前年実績を上回った。20年3月期の連結営業利益は、前期比16.8%増の166億円と最高益に迫る勢いだ。また、愛知地盤のアオキスーパー <9977> [JQ]は、20年2月期の営業利益を従来予想の10億4000万円から14億6600万円(前期比11.7%減)へ上方修正して着地した。主力商品の価格改定が進んだことに加えて、野菜などの相場が安値で推移したことで売上総利益率が改善し利益を押し上げた。

●オイシックスなど食材通販需要も順調に伸びる

 食品スーパーが売り上げを伸ばすなか、共働きの子育て世帯では、店舗に足を運ばずネットを活用した通信販売で手軽に注文することも増えている。青果物やミールキットなどをネット販売するオイシックス・ラ・大地 <3182> は、特に感度の高い都市部のワーキングママに支持されている。同じく食材宅配のショクブン <9969> [東証2]もAIを使った配送ナビゲーションで業務効率化への期待が持たれている。

 家食へのシフトが加速するなか、需要の増加が見込まれるのは料理レシピ関連だ。クックパッド <2193> が代表銘柄だが、お菓子レシピ関連を提供するcotta <3359> [東証M]は8日、運営する菓子・パン作りの通販メディアサイト「cotta(コッタ)」と「cotta business(コッタビジネス)」における3月の新規会員登録数合計が前年同月比約3倍の1万5895件に伸長したと発表した。同社では、巣ごもり需要で菓子・パン作りの材料をネットで購入する人が増えていることなども寄与したと分析している。

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