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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「2万円接近だが、慎重姿勢を忘れず」

株式評論家 富田隆弥

◆東京都など7都府県に緊急事態宣言が出されたが、東京都では9日に感染者が最多の181人に上るなど、全国で新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。小池都知事が外出自粛要請に加え休業要請など「スピード感を持って対策を」と強い危機感を抱いて行動するが、それに対して政府は専門家会議を重ねるばかりでなかなか策を打たない。百貨店ホームセンター、理髪店などの休業要請でもめている場合ではない。事情はいろいろあるのだろうが、危機に対するこの温度差は気になる。

◆株式市場では、外出自粛要請もあって個人投資家のデイトレが増えているようだ。デイトレでの「頭の体操」は悪くない。最近は「巣ごもり」関連がテーマとして物色されており、関連銘柄を調べてみると面白いだろう。

◆直近では出前館 <2484> [JQ]が大阪府による出前代行業者への補助新設方針もあって急騰している。日本KFCホールディングス <9873> [東証2]は2月12日に20年3月期経常利益予想を3.5倍上方修正。4月7日に発表した3月度の既存店売上高も前年同月比8%増と好調だ。出前や持ち帰りが増えることで、食品トレーを扱うエフピコ <7947> の株価も人気づいている。

◆ただ、デイトレが増えているせいか株価の動きは気まぐれで、人気が長続きしないケースも目立つ。例えば、新型コロナ治療薬として期待される「アビガン」を手掛ける富士フイルムホールディングス <4901> 、そのアビガンの原料生産を始めるデンカ <4061> は話題となって人気化したが、騒がれた時に高値をつけ、その後は調整となっている。話題株であっても株価が上げたところを追いかけると「高値づかみ」のリスクが高まるということだ。

日経平均株価(9日時点、1万9345円引け)は想定通りに「乱高下、もみ合い」を続け、落ち着き処を探っている。25日移動平均線(同、1万8594円)をクリアして2万円に迫る構えも見られる。

◆だが、戻り歩調がいつまでも続くとは限らない。日米とも当面の経済指標の悪化は株価に織り込み済みであったとしても、企業の業績悪化や減配懸念を織り込んでいるとは言い難い。米国は4月中旬から、日本では4月下旬から決算発表が本格化する。日経平均は3月19日の安値1万6358円から3週を経過、大台の2万円に迫って当面の“戻り達成感”を募らせてもおかしくない。

◆上昇基調に大きな亀裂を入れた相場だ。いまは買い戻しを誘っている局面でもあり、先行き「二段下げリスク」を抱えていることは否定できない。このような地合いであれば慎重姿勢を忘れず、個別株には一層デイトレ感覚(割り切り、短期売買)で臨むことが求められよう。

(4月9日記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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