【特集】中国の物流回復後に躍進、マーケティング革命「インフルエンサー関連株」 <株探トップ特集>
パンデミックによる消費への影響が懸念されるなか、巣ごもり消費によるネット通販は順調だ。そのなか、インフルエンサ―の影響力に着目する動きが今後一段と強まりそうだ。
―新型コロナウイルスが収束後、SNSを活用したマーケティング新時代到来へ―
新型コロナウイルスの中国以外の感染者数が、イタリアなど欧州で急拡大している。中国以外の感染者数が5割を超えるなど、世界は新型ウイルスの感染問題という試練に直面している。米国ではトランプ大統領による「非常事態宣言」を経て、米連邦準備制度理事会(FRB)も再び臨時の会合を開き、政策金利を一気に1%引き下げ、事実上のゼロ金利政策に踏み切ることを決定した。これに続き、日本銀行は金融政策決定会合を前倒しで開催し、ETF買い入れの年間目標額を現行の6兆円から「当面12兆円」に拡大する追加の金融緩和を決めた。
しかし、各国政府や中央銀行による大規模な金融政策がとられるなか、米国ではそれが逆に投資家の恐怖感に繋がり、16日のマーケットではNYダウが一時3000ドルを超える過去最大の暴落に見舞われた。日本においても日銀の発表当日は判断が見極めづらいなかで、AIアルゴリズム売買に大きく振らされる展開となった。ただ、日銀のETF買い入れによる押し上げ効果は限られるとしても、ショックアブソーバー的な役割は期待される。17日のTOPIX型の断続的な買いを見る限りでは、不安視しながらも日銀のETF買い入れの期待感は根強いだろう。
●中国経済は正常化の方向に向かう
新型コロナウイルスの感染拡大が鈍化し、より効果的な抑え込みが可能になったとしても、多くの活動が一気に回復するといった見方は期待しづらい。回復が勢いづくのは、ワクチンや治療薬が開発され、広く普及してからになりそうであり、リセッションが長引く可能性は意識しておきたいところだ。
このようなパニック的な状況のなかではあるが、震源地であった中国においては、2月半ば以降、新たな感染者は減少傾向を示している。中国にある店舗を休業していた「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング <9983> や良品計画 <7453> では、営業を再開する動きが広がっている。中国の多くの地域では工場の操業や物流も再開していて、一部の新商品を除いては、日本への供給も感染拡大の前の状態に戻りつつあるとされている。
アリババ・グループ・ホールディング傘下の物流・食品配達企業では新型コロナウイルス感染拡大前の人員水準に戻っており、政府が経済成長の確保を目指すなかで、中国国内の大手企業が業務を再開している状況があらためて裏付けられている。欧州の感染拡大といった懸念要因はあるが、中国依存の日本にとっては、物流が正常化に向かう状況は、動きのとまった経済活動を再び活発化させる、ひとつの要因になりそうだ。
●インフルエンサーを使ったマーケティングに脚光
これまで、中国から製品が届かないことで、販売さえもできない企業なども多く、物流の回復に伴い企業のマーケティング活動が活発化してくると考えられる。例えば、アマゾンでは商品が納入されないことで、「売り切れ」と表示されるが、これが続くと人気商品であっても、ランキングが低下する。当然ランキングが下がると、消費者の目にもとまらず、早期の回復は厳しい。そこで、 SNS上で大きな影響力をもつ「インフルエンサー」に製品やサービスをPRしてもらい、ランキングを上げていくといった、口コミを通して購買など消費者の行動に影響を与えるマーケティング手法がより増える可能性がある。
パンデミックに陥ったいま消費への影響が警戒される一方で、巣ごもり消費によるネット通販は順調だ。例えば、タレントの田中みな実さんがSNS上で紹介しているコスメ商品や洋服などの売れ行きが好調だという。フォロワーが多いインフルエンサーによる広告効果は当然大きく、業績の早期回復に向けた企業の広告戦略が期待されることになるだろう。テレビの視聴が減るなか、多くの消費者はSNS上で情報を収集していることもあり、インフルエンサーの影響力が、より顕著に表れることになりそうだ。米国ではアマゾン・ドット・コムが、国内の物流拠点や小売店で新たに10万人を雇用すると発表。これはネット通販や食料品の宅配サービスの需要が高まっていることが背景にある。
以下の「インフルエンサー」関連銘柄に注目したい。
◎UUUM <3990> [東証M]
Youtuberといえばこの人と言っても過言ではない“HIKAKIN(ヒカキン)”、そして配信動画のアカデミー賞とも称される「Streamy Awards」(※ストリーミー賞/アジア太平洋部門)を日本人クリエイターとして初めて受賞した“フィッシャーズ”、愛知県岡崎市を拠点に活動する大人気グループ”東海オンエア”、幅広い年齢層からの支持を獲得しているコンビ愛溢れる“水溜りボンド”など、業界をけん引する人気者(グループ)が多数所属している。マルチ系、ファッション&ビューティー、ゲームなど幅広いジャンルのYoutuberが所属しており、総体としての影響力は非常に大きい。
◎サイバー・バズ <7069> [東証M]
Instagramや、Twitterなどの特に影響力の高いインフルエンサーに、企業の商品・サービスをPRしてもらう「NINARY(ニナリー)」のほか、企業のソーシャルメディアアカウントの運用代行などを手掛ける。
◎SKIYAKI <3995> [東証M]
ファンクラブ・EC・電子チケット・コンサート・SNSなどファンが利用する全てのチャネルからファンの行動履歴を記録し、その熱量をポイント化することができる「bitfan(ビットファン)」という独自サービスを展開。指原莉乃さんなどのファンサイトを運営し、動物のインフルエンサーアカウントなども。
◎レッグス <4286>
「TikTok」のマーケティング活用に強みを持つインフルエンサーマーケティング企業のRERAISE社の株式を取得している。これにより、今後インフルエンサーを活用した販促プロモーションの企画・販売などの取り組みを加速させていくことが期待される。
◎アエリア <3758> [JQ]
同社の子会社が、世界のセレブ、タレント、アーティスト、アスリート、文化人、インフルエンサーなどに、パーソナルメッセージを簡単にオファーできるサービス『Celebrate Message(セレブレイトメッセージ)』を展開している。サービス自体の規模が更に拡大してくれば、個人のみならず、企業や団体向けにさまざまな展開が期待される。
◎サニーサイドアップグループ <2180>
企業のPR、広報代理業が主体。Gunosy <6047> との合弁会社Grillを設立しており、デジタルとリアル領域を横断する包括的なコミュニケーションサービスの提供を目的とした会社。マーケティングリサーチ事業・ライブ動画&ニュース動画制作配信事業・インフルエンサーマーケティング事業を行っている。
◎フリークアウト・ホールディングス <6094> [東証M]
インターネット広告のリアルタイム取引を日本で初めて事業化。動画やインフルエンサーを用いたコンテンツマーケティングソリューションを提供するシンガポールのSpice Labを買収している。また、インフルエンサーマーケティング事業を展開するVAZに出資している。
◎ソーシャルワイヤー <3929> [東証M]
主要サービスはプレスリリース配信代行サービス。そのほか、インフルエンサーマーケティングサービス「ファインドモデル」を展開しており、足もとでは案件数が大幅に増加している。
◎コパ・コーポレーション <7689> [東証M]
4月2日にマザーズ市場に上場予定の企業。インフルエンサーは、SNSを活用するという固定観念が生じやすいところだが、世代によって効果的なアプローチは当然異なる。同社は「実演販売」をフックに生活用品などの商品を販売する企業であり、TVショッピングや店頭販売で話題の“実演販売士”を多数擁している。
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