【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「20日の米国SQがポイントに」
株式評論家 富田隆弥
◆暴落の流れが止まらない。日米欧の政府・金融当局は「できることを何でもやる」との姿勢で利下げや資金供給、財政出動など矢継ぎ早に策を打ち出している。だが、日経平均株価、NYダウとも2月高値からの下落率はすでに30%を超えるが、一向に下げ止まる気配がない。それだけ、今回のコロナショックは厄介と言える。
◆世界的なウイルス感染拡大の終息が待たれるが、相場の最大の材料は「需給」である。11年にわたる超過剰流動性(マネーバブル)の上昇相場に亀裂を入れたことで、需給が一気に「負のスパイラル」に転じた。リーマン・ショックにせよ、サブプライム・ショック、ブラックマンデーにせよ、暴落に入った相場は売りが収まるのを待つしかなく、どこが下値(底)になるかは「相場に聞く」しかない。チャートで「流れに従え」といわれるのはそのためで、日足の上値抵抗線突破が待たれる。
◆ただ、そろそろ下値を見て落ち着く可能性はある。前回触れたように、いまの急落には日米とも先物とオプションのSQ(清算日)が関わっていると思われる。米国のSQ=トリプルウィッチング(株式先物、株価指数オプション、個別株オプション取引の3つの取引の決済が重なる日)は3月20日。これまで上昇相場が長く続いたことで、先物やオプションは「買い(上昇観測)」に手口が偏っていた。それだけに今回の急落で買い方は焦り、損切りや売りヘッジなど損失回避の対応に迫られ、それが下落に拍車をかけたとも言える。
◆日経平均のメジャーSQは13日ですでに通過し、それ以降の動きは米国株の下落もあって軟調だが、1万7000円前後でもみ合うなど下げの勢いは鈍化している。当面の需給悪化局面を脱することでNYダウも20日前後が下値のポイントになる可能性はある。
◆日本株は騰落レシオが16日に40.12%を、新安値銘柄が13日に1721を数え、信用買い残は13日申し込み時点で1兆9681億円と前週から4040億円も減少するなど、テクニカル的に「セリング・クライマックス」と言えるような状況だ。日本の20日は「お彼岸」で、サクラの満開も近づく。そのようなことで「彼岸底」をイメージして突っ込み買いを入れてみるのも面白そうだ。もちろん、「もうはまだなり」という格言もあり、ここでの買いは割り切り前提の打診買いであり、リバウンド狙いとなる。
(3月18日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース