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【特集】大幸薬品 Research Memo(2):感染症流行発生による需要増で足元の生産はフル稼働

大幸薬品 <日足> 「株探」多機能チャートより

■今後の見通し

大幸薬品<4574>の2020年3月期通期の業績予想は、売上高で前期比30.5%増の13,600百万円、営業利益で同47.8%増の3,000百万円、経常利益で同45.9%増の2,750百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同30.7%増の1,850百万円と大幅な増収増益に上方修正された。

医薬品事業の修正された通期売上高予想は5,640百万円となり、期初から微減となった。第3四半期を終わった段階の通期売上高予想に対する進捗率は71.1%(前年同期は71.6%)であり、前期並みである。国内医薬品事業では、マーケティング施策を強化し、正露丸商品群全体としての新しいメッセージ「全下痢対応」の更なる浸透を図るため、積極的な広告宣伝を行う。「全下痢対応」の意味としては、「ウイルス・菌」による下痢のときは「正常な腸の動きを止める」下痢止めは飲んではならないとされるが、同社の正露丸は一般的な下痢止めと異なり、「正常な腸の動きを止めない」ため、「ウイルス・菌」による下痢でも飲むことができる、というもの。海外医薬品事業は、2020年3月期も中国・台湾を中心に成長を予想。第4四半期には中国向けの出荷が予定されている。

感染管理事業の修正された通期売上高予想は7,949百万円となり、期初の5,560百万円から大幅増となった。第3四半期を終わった段階の通期売上高予想に対する進捗率は76.4%(前年同期は66.0%)であり、前期を上回って順調に推移する。例年、クレベリンの売上高を左右するのが、インフルエンザの流行の度合いやその報道の多寡であったが、進行期は新型コロナウィルスの発生が第4四半期以降大きな影響を及ぼしている。感染症予防意識が高まった結果、クレベリン製品の需要が増加し、主力の京都工場はフル稼働に近い状態が続く。さらに、2020年3月期は「クレベ&アンド」のブランドでの日常除菌製品分野の新商品3アイテムが発売され、出荷がスタートした2019年9月以降好調に推移している。海外に関しても、台湾市場を中心に伸びが期待できる。

2020年3月期の利益は、マーケティング施策等のために販管費が増えるが、増収効果及び返品の減少による売上総利益率向上で吸収し、大幅増益となる予想だ。

弊社としては、通期業績の更なる上方修正の余地に関しては、修正計画を若干上回ることはあっても、あまり大きなギャップはないと考えている。感染管理製品の生産ラインはフル稼働に近い状態が続いており、出荷量には限界があり、既に修正計画に織り込んでいるためである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SF》

 提供:フィスコ

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