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【特集】山田勉氏【日経平均6日ぶり反発、目先底入れかそれとも…】(2) <相場観特集>

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

―新型コロナの懸念続くなかも、売られ過ぎの反動表面化―

 週明け2日の東京株式市場は日経平均株価が安くスタートした後、プラス圏に切り返した。日銀の黒田総裁が緊急談話で潤沢な資金供給に向け前向きなコメントを出し、世界的な協調緩和に対する期待感が、空売り筋の買い戻しを誘う形となった。ただ、自律反発ともいえる戻りで上げ幅は小さくトレンドそのものが変わったようには見えない。ここでの投資スタンスはどうあるべきか、第一線で活躍する市場関係者に意見を聞いた。

●「行き過ぎた悲観相場にとりあえず歯止め」

山田勉氏(auカブコム証券 投資情報室 マーケットアナリスト)

 東京株式市場は、朝方はリスクオフの売りに晒される展開で始まったが、米国ではパウエルFRB議長が利下げの可能性を示唆したことに加え、日銀の黒田総裁もきょうの緊急談話で協調利下げに前向きともとれる発言を行っており、これによりとりあえず行き過ぎた投資家の不安心理に歯止めがかかった格好となっている。

 今後の見通しとして、当然ながらきょうの値運びで下値リスクが解消したとはいえないが、日経平均がPBR1倍の水準である2万700円どころを下回ることなく反発に転じたことは評価でき、中期的にも底入れを果たした可能性はゼロではない。前週末の米国株市場ではNYダウが350ドルあまりの下落をみせたとはいえ、一時1000ドル超の下げをみせていたところからは大きく切り返した。2万5000ドルを割り込んだところでいったん目先の底に届いた感触もあり、米国株がここで立ち直れるのであれば、日本株もそれに追随する展開が想定される。

 安倍首相は新型コロナウイルスに関する緊急対策の第2弾として2700億円の予備費活用を打ち出し、インパクトに見合うだけの必要かつ十分な経済財政政策を明言している。これがリーマン級の事態に陥らないためのなりふり構わぬ政策発動であるならばポジティブだ。日経平均は昨年の3月末2万1205円、あるいは月中平均2万1414円を意識した戻り売りをこなしつつ、当面の戻りメドとしては200日移動平均線が横に走る2万2200円近辺が意識されそうだ。

 物色対象としては、目先テーマ買いの動きに乗るのであれば中小型のテレワーク、オンライン医療や教育関連株などが挙げられるが、もっと中期的な視点で好実態株の押し目買いを考えるのであれば、村田製作所 <6981> やソニー <6758> 、東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> といった5Gや半導体関連株などを軸に考えておきたい。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(やまだ・つとむ)
マーケットアナリストとして証券界で十数年活躍。2004年5月、カブドットコム証券(現auカブコム証券)入社。『こちカブ』(ラジオNIKKEI)『まーけっとNavi』(日テレNEWS24)『マーケットホットライン』(ストックボイス)などに出演。

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