市場ニュース

戻る
 

【特集】J-REITの逆行高相場は続くか、リスク回避先として人気再燃 <株探トップ特集>

世界の金融市場が、新型肺炎の感染拡大に揺れるなか、REIT市場にはリスク回避目的の投資資金が流入、逆行高を演じている。海外の有力指数への組み入れも予定されており目が離せない。

―新型肺炎による金利低下機運が強力な追い風、FTSEの新規組み入れにも期待―

 J-REITへの見直し機運が強まっている。世界の金融市場が、 新型肺炎の感染拡大に揺れるなか、REIT(不動産投信)市場にはリスク回避を目的とした投資資金が流入。 東証REIT指数は逆行高を演じている。海外ファンドなどが日本の不動産の割安さを背景に大型投資を進めていることも追い風だ。更に、今秋からは海外の有力指数への組み入れも予定されており、J-REIT人気は続くことが期待されている。

●1月相場では日経平均下落のなか東証REIT指数は上昇

 イラン情勢の緊迫化や新型肺炎の感染拡大で、年初から東京株式市場は波乱相場に見舞われた。このなか1月の日経平均株価は1.9%下落した。しかし、その1月に逆行高を演じたのがJ-REITだ。この間、東証REIT指数は3.2%上昇した。とりわけ、新型肺炎に対する警戒感が強まった1月16日から31日にかけて下落したのは2日間のみだった。足もとのリスクオフ相場で資金の逃避先となったのはJ-REITだったと言える。

 REIT指数は、昨年11月に約12年ぶりの高値をつけたが、その後、調整局面入りしていた。日米で長期金利が上昇したことが、高利回り商品であるJ-REITには売り要因となった。しかし、中国で発生した新型肺炎による景気減速リスクを背景に、長期金利は再度、低下。投資家の関心はJ-REITへと向かった。また、米大手投資ファンドが「日本の賃貸マンション群を一括取引で過去最大の約3000億円で購入する」と報道されたことも、日本の不動産の割安さを再認識させ、REITへの見直し機運を高めさせる要因に働いた。

●低空室率や賃料上昇の一方、超低金利続き高収益を実現

 東証に上場するJ-REITの平均利回りは3.5%前後。超低金利状態が続くなか、高利回り商品としての魅力は高く、国内外の機関投資家や個人の人気を集めている。また、足もとのファンダメンタルズも良好だ。三鬼商事(東京都中央区)によると、12月の東京都心のオフィスの平均空室率は1.55%と過去最低を更新。平均賃料も72ヵ月上昇が続いている。更に、ネット通販などの拡大で物流施設の需要は強く、同施設の空室率も低下基調を続けている。物流系REITでは、昨年12月に新規上場したSOSiLA物流リート投資法人 <2979> [東証R]は、順調に上値を切り上げている。

 加えて、首都圏のマンション販売価格は上昇している。足もとの新型肺炎の影響が懸念され、インバウンドに絡むホテル需要には不透明感が出ているものの、J-REITに組み込まれる物件の市場環境はおおむね堅調だ。その一方、不動産投資に使われる借入金の金利は超低金利状態にあり、良好なJ-REITの投資環境は続いている。

●FTSEの組み入れで9月以降、海外資金は一段の流入も

 東京五輪後の不動産市況には強弱感があるものの、秋口以降のJ-REITの投資環境を一段と改善させそうなのが、海外有力指数への組み入れだ。英国の指数算出会社であるFTSEラッセルは、同社のFTSEグローバル株式指数にJ-REITを組み入れ予定にある。同指数への組み入れは、9月以降、四半期ごとに4回に分けて実施される見込み。この組み入れに伴い、指数への連動を狙った新規資金の流入が予想されており、J-REITの買い要因となることが予想されている。

●住宅系や物流系REITなどに妙味も、ホテル系の動向に注目

 J-REITでは、オフィスビルへの投資を主力とする日本ビルファンド投資法人 <8951> [東証R]やジャパンリアルエステイト投資法人 <8952> [東証R]などが中核銘柄だが、足もとでは海外ファンドの投資が見込める賃貸マンションに絡む住宅系REITや、需要が強い物流系REITなどに投資妙味がありそうだ。住宅系REITでは、スターツプロシード投資法人 <8979> [東証R]やサムティ・レジデンシャル投資法人 <3459> [東証R]などの分配金利回りは4%を超えている。また、日本賃貸住宅投資法人 <8986> [東証R]やケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 <3278> [東証R]、アドバンス・レジデンス投資法人 <3269> [東証R]などの分配金利回りは3%超の水準にある。物流系REITでは、CREロジスティクスファンド投資法人 <3487> [東証R]、GLP投資法人 <3281> [東証R]、ラサールロジポート投資法人 <3466> [東証R]などの分配金利回りが3%を超えている。

 更に、ホテル系REITでは、インヴィンシブル投資法人 <8963> [東証R]やジャパン・ホテル・リート投資法人 <8985> [東証R]などが新型肺炎への影響が懸念され投資口価格(株価に相当)は急落し、分配金利回りは5%以上の水準に上昇した。新型肺炎に絡む展開には不透明要因が大きいものの、高利回りREITとなったホテル系への注目度は高まっている。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均