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【特集】猛威奮う新型ウイルス、強まる石油需要の下振れ懸念と中国経済沈下への警戒感 <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司
 中国発の新型コロナウイルスの蔓延によって、石油需要の下振れが現実となっている。中国政府は武漢など各都市で公共交通網を閉鎖したほか、都市間の移動や海外旅行なども制限し、新型肺炎の感染拡大に躍起になっている。中国国務院は春節の休暇を来月2日まで延長することを発表しており、企業活動も自粛を余儀なくされることから、感染拡大が止まらなければ石油需要は縮小しそうだ。

 石油輸出国機構(OPEC)の月報によると、2020年の中国の石油需要は日量1339万バレルと見通されている。世界の石油需要の約1割を中国が占めることから、産油国にとって重要な市場であることは言うまでもない。OPECは中国の20年の石油需要が前年比で日量33万バレル増加すると想定しているが、下方修正は避けられないのではないか。米中通商協議が第1段階の合意に達したとはいえ、新型肺炎が収束する兆しは今のところなく、中国経済の減速は続きそうだ。

●中国景気減速で世界経済に負のフィードバックループも

 19年の原油市場は需要見通しの変化を軸に揺れた。米中通商協議が今後も続くことから、世界経済の展望は不透明感と隣合わせのままであり、需要には下振れリスクが依然として伴う。新型コロナウイルスの蔓延によって景気や需要をさらに見通しにくくなったといえる。

 景気見通しが悪い方向へ移る余地があることは、原油相場が一段安となる可能性があることを示唆する。中国の武漢を中心に広がっている新型肺炎は、人々だけでなく中国経済を確実に蝕んでいるが、中国景気の減速スピードが加速すると、世界経済の下振れ懸念が強まることになる。米国や欧州、日本など各国に経済的な逆風が強まれば中国もまた圧迫され、負のフィードバックループが回転を始めると歯止めは掛かりにくい。主要国の中央銀行で、金融緩和の選択肢がそれなりにあるのは米連邦準備理事会(FRB)だけであり、世界経済が縮小を始めた場合に利下げという“痛み止め”はあまり無い。

●新型肺炎の収束後を見据える市場

 ただ、トランプ米政権による通商リスクに持ちこたえてきた世界経済がコロナウイルスによって崩され、リセッション入りすると考えるのはあまりにも早計であり、悲観的である。これまでのように中国経済が減速するにしても、石油の需要見通しが大幅な下方修正を強いられるとは考えにくい。感染者や死者が拡大していることを背景に脅威を感じつつも、収束した後の反転を見据えるのが市場参加者の性ではないか。

 米国とイランの軍事衝突が危惧され、一気に中東リスクがしぼんだ後は新型肺炎と、これだけ慌ただしい年始はあまり記憶にない。今年の米大統領選も含めて、大荒れの一年となりそうな気がしてならない。

(minkabu PRESS CXアナリスト 谷口 英司)

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