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【特集】次世代移動サービス「MaaS」、モビリティー最前線を走る銘柄を追え <株探トップ特集>

交通手段の最適な組み合わせを通じ快適な移動を提供する「MaaS」が再び脚光を浴びている。政府の未来投資会議が昨年公表した中間報告ではMaaSの普及促進のための法案提出をうたっている。

―波乱展開でも有力テーマは健在、政府の普及後押しを背景に関連銘柄の商機拡大へ―

 2020年の新春相場は中東情勢の緊迫化で波乱のスタートとなっているが、こうしたなかでも有力テーマに乗った銘柄を個別に物色する動きは依然として旺盛だ。そのひとつが次世代のモビリティ(移動)サービス「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」で、自動車やITの両業界のみならず幅広い業種が関心を寄せている。政府の未来投資会議が昨年12月19日に公表した「新たな成長戦略実行計画策定に関する中間報告」では、MaaSの普及を促進するための法案を20年の通常国会に提出するとしており、関連銘柄から目が離せない。

東京五輪が普及の第一歩に

 MaaSとは、交通手段の最適な組み合わせを通じて快適な移動を提供するもの。具体的には、鉄道やバス、タクシー、レンタカーといった従来の交通サービスと、カーシェアリング、配車サービス、自動運転などの新しいサービスを融合し、ひとつのスマートフォンアプリでルート検索から予約、決済までを行えるようにすることで、利便性が高くリーズナブルな移動を実現する概念を指す。

 また、MaaSは移動の効率性向上だけでなく、膨大なデータが蓄積され、オープン化されることにより、輸送サービスを提供する事業者間の競争を促すことや、マーケティングに活用されることによって個人の好みにあわせたサービス提供が可能になることが期待できる。このほかにも、都市への人口集中に起因する交通渋滞や排ガスによる環境悪化の改善につながる効果などが見込まれ、7月24日に開幕する東京五輪では選手村などでトヨタ自動車 <7203> のAutono-MaaS専用EV「e-Palette」が利用されることになっている。

●実証実験に取り組む自治体が増加

 経済産業省と国土交通省が推進する新しいモビリティサービスの社会実装に挑戦する地域を応援するプロジェクト「スマートモビリティチャレンジ」などの後押しもあってMaaSに取り組む自治体が増えており、静岡県の伊豆エリアでは東急 <9005> とJR東日本 <9020> が観光型MaaSの実証実験を推進中。群馬県前橋市は昨年11月にNTTドコモ <9437> やNTTデータ <9613> 、ジョルダン <3710> [JQ]、システム開発ベンチャーの未来シェア(北海道函館市)と交通ネットワーク再編の有効化に向けた技術協力に関する基本協定を締結した。

 これ以外では、沖縄県石垣市と竹富町、TIS <3626> 、琉球銀行 <8399> などが組成した八重山MaaS事業連携体は昨年11月下旬から観光客を対象に島々までの交通手段を切れ目なく提供するサービスの実証に乗り出しているほか、ギフティ <4449> [東証M]とNECソリューションイノベータ(東京都江東区)などは沖縄県南城市と共同で今年2月からジャンボタクシーや小型モビリティなどを活用した実証実験を開始する予定となっている。

●レベル向上のカギを握る経路検索サービス

 MaaSの統合度は、それぞれの交通手段や情報サービス(運賃表、時刻表など)が独立して提供される状態の「レベル0」、情報サービスが統合された「レベル1」、予約や決済などがワンストップで提供される「レベル2」、複数の交通サービスをパッケージ化した「レベル3」、まちづくりとの連携や交通制御などによる人とモノがコントロールされた「レベル4」の5段階に分かれており、レベルの向上を図るうえでカギを握るのが、MaaSアプリのベースとなる経路検索を手掛ける企業だ。

 ジョルダンは18年7月にMaaS事業を本格展開するための子会社「J MaaS」を設立し、19年1月には英国の公共交通チケットサービスを提供しているマサビ社(ロンドン)と日本における総代理店契約を締結。同年12月にはJ MaaSが電通グループ <4324> と資本・業務提携しており、今後も連携する事業者を広げることで事業強化を進める。

 乗り換え案内サービスなどを手掛ける駅探 <3646> [東証M]は昨年10月に富山県3市の観光協会と観光型MaaSなど新たなサービスを見据えた実証実験を行い、20年の実用化を目指している。

 また、MaaSを構成するサービスのひとつであるカーシェアリングも今後の飛躍が期待され、個人間カーシェアサービスを展開するディー・エヌ・エー <2432> やIDOM <7599> 、クラウド経由で車の解施錠ができる鍵システムを開発済みのヨコオ <6800> などのビジネス機会が広がりそうだ。

●MONETコンソーシアム参画企業にも注目

 このほかでは、さまざまなデータや人工知能(AI)など最新技術を組み合わせたプラットフォームを用いて次世代モビリティサービスを手掛けるMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、東京都港区)の取り組みもマークしておきたい。

 同社が設立した次世代移動サービスを開発するための企業連合体「MONETコンソーシアム」には、ブレインパッド <3655> 、ユビキタス AIコーポレーション <3858> [JQ]、PKSHA Technology <3993> [東証M]、アイサンテクノロジー <4667> [JQ]、日本エンタープライズ <4829> 、イード <6038> [東証M]、レシップホールディングス <7213> 、サンオータス <7623> [JQ]、ゼロ <9028> [東証2]、スマートバリュー <9417> 、両毛システムズ <9691> [JQ]などが名を連ねている。

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