【市況】米国株式市場見通し:米中合意を好感した相場展開か
米中貿易交渉が第一段階の合意に達し、15日に予定される追加関税措置が回避される見通しとなったことから、週明けの株式相場は投資家心理の改善が反映された内容となりそうだ。17日にダラス、ボストン、ニューヨークの連銀総裁がそれぞれ講演を行う予定で注目したい。
年末の為、節税目的での含み損の確定が増える時期となることに注意が必要だ。米国では株式売買による損益通算が認められており、損失が大きい場合にも、控除が認められる一定額以上を無制限に翌年以降に繰り越すことが可能だ。特に年初来で下落率の大きい銘柄で、流動性の低い銘柄(小型株)ほど売られる傾向がある。またウォッシュ・セール・ルールと呼ばれる規定があり、一旦売却した同一銘柄を30日以内に買い戻すと、損失が認められないという制限がある。従って、将来的に買い戻す意図で一旦売却した場合でも、暫くの間は買い戻しを躊躇する要因となる。
一方で、1月効果と呼ばれるアノマリーがあり、特に12月中旬頃から1月にかけての株価上昇率が統計的に高いことが知られている。年末の損失確定の反動で、大型株よりも小型株ほどその効果が顕著に現れることも指摘されており、中小型株への投資を検討する良い機会となるだろう。
個別企業では、運送会社のフェデックス(17日)、半導体のマイクロン・テクノロジー(18日)、クルーズ客船運航のカーニバル・コーポレーション(19日)、レストランチェーンのダーデン・レストランツ(19日)、食品のコナグラ・ブランズ(19日)、スポーツ用品のナイキ(19日)などの決算発表が予定されている。ナイキは6-8月期決算で、女性用スポーツ衣料品の販売が大きく伸びた。北米事業の更なる業績拡大が株価上昇の鍵を握ると考えるが、女性用スポーツ衣料品分野は成長余地が大きく、注目したい。
経済指標では、12月NY連銀製造業景況指数(16日)、12月NAHB住宅市場指数(16日)、11月住宅着工・建設許可(17日)、11月中古住宅販売件数(19日)、11月景気先行指数(19日)、7-9月期GDP確報値(20日)、11月個人所得・支出(20日)などの発表が予定されている。7-9月GDP確報値では個人消費の拡大を確認できるかが焦点となるだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ