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【特集】自動車軽量化の大本命、表舞台に躍り出る「CNF関連株」 <株探トップ特集>

木材の繊維を原料とする新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」。自動車向け需要が本格化すれば市場は1兆円規模に膨らむ可能性がある。

―車体用などセルロースナノファイバーの用途広がり、同関連銘柄に改めて注目―

 植物由来の新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」の用途が広がり始めた。環境省は10月24日に開幕した東京モーターショーに、CNFを用いた各種部品を搭載したコンセプトカー「Nano Cellulose Vehicle(NCV)」を出展、来場者の注目を集めている。CNFはこれまでに化粧品や食品などでの応用開発が進んでいるが、関連分野が多岐にわたる自動車でも本格展開となれば、2030年に1兆円ともいわれる市場規模が一段と拡大する可能性がありそうだ。

●部品単体で最大5割の軽量化を実現

 コンセプトカーは環境省主導のもと、「CNFを活用して、20年に標準的な自動車に比べて10%程度の軽量化を実現する」ことを目標に、京都大学をはじめ22の大学・研究機関・民間企業が参画するかたちで16年10月にスタートしたNCVプロジェクトの成果だ。同プロジェクトではトヨタ紡織 <3116> とデンソー <6902> が内装部材、宇部興産 <4208> がCNF複合材料の組成検討及び共同事業者への材料提供、ダイキョーニシカワ <4246> が内装部材及び垂直・水平外板部材、マクセルホールディングス <6810> が表面改質部材、アイシン精機 <7259> がエンジン周辺部材を担当。また、日本製紙 <3863> はCNF強化樹脂をサンプル提供した。

 CNFは木材から化学的・機械的処理により取り出したナノサイズの繊維状物質で、軽さや強度(鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度)、耐膨張性(ガラスの50分の1程度)などに優れているのが特徴で、コンセプトカーではドアトリムやボンネット、ルーフパネルなどに活用することで、車体全体で1割以上、部品単体では最大5割程度の軽量化を実現している。今後、ガソリン車への使用が広がれば二酸化炭素の排出量削減が期待できるほか、電気自動車(EV)では航続距離の延長につながることから他の企業でも研究開発が活発化している。

●王子HDはトヨタ子会社に技術提供

 王子ホールディングス <3861> は、トヨタ自動車 <7203> 子会社のトヨタ自動車東日本が東京モーターショーに出展した「CNFを複合した樹脂ガラス」に技術提供。日本製紙は住友ゴム工業 <5110> が12月に発売する低燃費タイヤにCNF「セレンピア」が採用され、大王製紙 <3880> は6月に開催された米国のカーレース「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に出場した日本チーム「SAMURAI SPEED」(東京都港区)にCNFを使用したシート成形体「ELLEX-M」を軽量化ボディパネル製作用に提供した実績を持つ。

●星光PMCは技術革新を推進

 CNFは既に建材や化粧品、食品、スポーツ用品、文具、電子材料などの分野で実用化されており、例えば王子ホールディングスはコンクリートをスムーズに流し込むための潤滑材向けを出荷しているほか、今春には化粧品原料向けを製品化。今後は車窓の軽量化や大面積化などにも適用範囲を広げ、10年後の販売目標として年200億円を掲げている。

 日本製紙のCNFは、日本製紙クレシアの大人用紙おむつ「肌ケア アクティ」シリーズ、田子の月(静岡県富士市)のどら焼き、コーヨー化成(静岡市)のローズフレグランスジェル、RBP(東京都文京区)のオールインワンマウスジェルなどで採用されている。こうしたなか、同社は更なる需要拡大を見据え、20年11月には江津工場(島根県)に高機能性セルロースの製造設備が新設される予定だ。

 また、サンプル販売を行っている中越パルプ工業 <3877> はこのほど、ダーカー(東京都新宿区)製の卓球ラケットに使用された。同社は21年4月に高機能CNFパイロットプラントが稼働する計画で、用途拡大が期待される。

 星光PMC <4963> のCNFはアシックス <7936> の高機能ランニングシューズのミッドソールに搭載されており、新中期経営計画(19-21年度)では事業化に向けた技術革新を進める意向を明示。大王製紙も早期事業化を視野に用途開発や量産化の取り組みを加速させる方針で、6月からは愛媛県と共同でCNFを用いた陶磁器などの塗料の実用化に向けた研究開発に着手した。

●北越コーポ、一工薬などにも注目

 このほか、北越コーポレーション <3865> は3月に、CNFと炭素繊維を融合させた複合材料の開発に成功したと発表しており、今後は自動車部品や電子機器部品・筐体、建材などに応用していく構えだ。

 これ以外では、発酵ナノセルロースの大量生産技術を持つ日本甜菜製糖 <2108> 、ボレガード社(ノルウェー)製のCNFを扱う三洋貿易 <3176> 、CNFの原料販売を目指す特種東海製紙 <3708> 、京都大学のCNF研究プロジェクトに参加した経緯がある阿波製紙 <3896> 、三菱鉛筆 <7976> とCNFを使ったゲルインクボールペンを実用化済みの第一工業製薬 <4461> の動向からも目が離せない。

 セルロースを原料とした各種化学品を手掛けるダイセル <4202> 、CNFを使用した電子材料を開発済みの太陽ホールディングス <4626> 、CNFを使った振動板をベースとした高音質スピーカーの開発に成功しているオンキヨー <6628> [JQ]も関連銘柄となる。

株探ニュース

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